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俺だけレベルが上がらないのに、補助AIの「最適行動」で世界最強に!?  作者: qp46


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第21話 観測者

第21話です。


今回は20話の続きで、夜の森での出来事になります。

戦闘というよりは、その後の違和感や空気感を意識して書いています。


『最適解を提示します』


その表示が消えたあとも、しばらく体は動こうとしていた。だが一歩踏み出しかけたところで、意識的に止める。


(……やりすぎか)


呼吸は乱れていない。足取りも軽いままだ。それでも、これ以上踏み込む理由が見つからない。


『推奨:帰還』


視界の端に浮かぶ文字に、わずかに目を細める。


(珍しいな)


いつもなら押し進めるはずなのに、今回は引く判断を出している。


(まあいいか)


小さく息を吐き、体の向きを変える。来た道を戻り始めると、張りついていた緊張が少しだけほどけた。


夜の森は静かだった。葉の擦れる音が、やけに遠く感じる。


(……さっきまでと、同じはずなのに)


ふと、違和感が浮かぶ。


足を止める。


何かが違う。


音でもない。気配でもない。それでも、確かに“何か”が引っかかる。


(……見られてる?)


その考えが浮かんだ瞬間、背筋に冷たいものが走る。


振り返る。


暗闇と木々の影が広がるだけで、動くものはない。


(気のせいか)


そう思おうとする。


だが、一歩踏み出した瞬間。


ぞくり、とした感覚が背中をなぞった。


(……なんだ今の)


敵意ではない。殺気でもない。もっと曖昧で、輪郭のない何か。


視線を感じる。


 


上から。


 


無意識に顔を上げる。


枝の隙間から夜空がのぞく。星は見える。だが、それだけだ。


(……いる気がする)


確証はない。だが、確かに“見られている”感覚だけが残る。


『異常は検出されません』


表示が浮かぶ。


(……そうかよ)


短く息を吐く。


納得はできない。


むしろ、その一言だけなのが妙に引っかかる。


(見えてないのか)


それとも――


(見えてて、言ってないだけか)


思考がそこに向かいかけて、止める。


考えても答えは出ない。


それでも、足は自然と早くなる。


森の出口が見え始める。街の灯りが滲むように広がっていた。


(……まだ、いるな)


背中に貼りつく感覚は消えない。


振り返らない。


ただ、そのまま歩く。


森を抜ける直前、ふと風が揺れた。


葉の音に紛れて、わずかな気配が動く。


――気のせいかもしれない。


だが、その瞬間だけ、確かに何かがそこに“いた”。


視線だけを残して。


 


街の光に踏み出す。


それと同時に、その感覚はふっと消えた。


(……なんだったんだ)


答えはない。


だが――


さっきまでとは違う種類の違和感が、胸の奥に残っていた。

第21話を読んでいただきありがとうございます。


今回は戦いの続きではなく、“見えない何か”に焦点を当てた回でした。

はっきりとは描いていませんが、今後に繋がる要素になっています。


引き続き更新していきますので、よければブックマークや感想などいただけると嬉しいです。

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