心の穴から覗く者
夢
灰色の街、亜人達が聖地とよんでいた街。によく似ているが、マオにはここが街のどの辺にあたるのか見当もつかない場所だった。
マオ「まぁ、夢だし……」
俺はなぜここにいるのだろう?
???「……た、……アナタ、アナタ。」
マオは目を覚ました。ここはどこだ?
俺はあの後どうなったんだ?そこは自分の個室のベッドの上。
どうやら、いつの間にか天空神殿の自分の部屋に運ばれてたらしい。
マオ「……ターマ。」
泣きはらしたはず無のに、まだ涙が出る。
このままではいけないと分かっていても。
そこへ、個室のドアを激しく叩く音がする。
扉の向こうの声「マオ様!緊急です!」
声からして女性、天空神殿の女性と言ったら魔女だ。
マオは無意識に扉を開けた。
魔女「あぁ、よかった!起きてらした!」
何もよくない。たぶんひどい顔だったと思う。
魔女「アナタの天空神殿、その下の村が飛竜に襲われてます!」
マオ「!なんだって!?」
自分の担当の大陸に飛行機で急行する。もうすでに飛竜たちの姿はなく。炎と立ち登る煙だけが見えた。
マオ「天空神殿が落ちてる……」
空中に浮いていたはずの天空神殿は地面に落ちて真っ二つになっていた。真下の村は潰滅して炎で燃えている。
着陸した飛行機からマオは居てもたっても居られずに、無理やりハッチを開けて飛び降りた。炎の中を走った。
マオ『生存者は?』「だれか!誰かいないのか!?」
炎のバチバチという音だけが帰ってきた。
マオはその光景に絶望して村の広場にへたり込んだ。
後ろから魔女がついてきて雨を降らす魔法を行使する。
ざぁぁ……
目の前に黒焦げの親子だったものが転がっていた。形からして人だろうか?親が子を庇うように抱いてるように見える。
マオは三角座りで顔を伏せる。
後ろにいる魔女に亜人達が四方から駆け寄る音がする。
亜人A「生存者は、居ませんでした。」
亜人B「コッチもです。」
魔女「殲滅か……飛竜どもめ容赦がないな。」
これは呪い?悪い夢だ。何もかもなくしてマオは途方に暮れた。
魔女がマオの肩を叩く。
マオ「今は一人にしてくれ。」
簡易で建てられた家で目を覚ました。
もう何も目からはでない、そのかわり、腹の底から否応なく怒りが湧いてくる。誰への怒りだろう?
マオにはそれがわからなかった。
マオ「とりあえず、竜種は皆殺しだ。」
次の世界樹はジャングルの中だ。
マオは下調べもせず。現地に向かい世界樹を目指して歩いていった。
当然、巡回していた飛竜に見つかり。マオの前に立ちふさがった。
マオ「どけよ。」マオはノーモーションでインベントリを展開し空間から様々は武器を飛竜に射出した。
飛竜はずたずたにされ、地面に突っ伏した。マオはそれを踏んで前に進んだ。
マオ「きたねぇな……」
次々に飛竜が飛来するがマオの歩みを止められなかった。
その腕の一振りであるものは両断され、
あるものはインベントリの武器でズタズタにされ、
また、あるものは無数の光弾でミンチになっていく。
マオの後ろにはグチャグチャになった飛竜だったものの肉塊の道ができていた。
世界樹につくとそこには青いリュウオウがいてマオを見るなり高圧の水流を放った。
マオはそれを避けず体に大穴が空いた。
青いリュウオウ「ははは!は!?」
しかし、その穴は直ぐに塞がれた。マカル返しの玉が発動したのだ。
マオ「……死ねると思ったのにな。死なねーのかよ!」
青いリュウオウ「コイツ、なにを?!」
インベントリから無数の光の剣が射出された青いリュウオウを穴だらけにする。
青いリュウオウ「ぐくっ……!」
虫の息のリュウオウにマオが近づいてくる。
青いリュウオウ「お前、勝、だ、助け……れ。頼む……」
マオ「しね。」
無数の光弾が青いリュウオウの首から上をミンチにした。
滑走路が整備され、輸送機からイギギや亜人、ゴブリンが運ばれてくる。マンパワーが無いと村は再建されない。
マオはその様子を近くの丘の上で三角座りをしながら、うつろな目で見ていた。
魔女「明日には巨人がグルジを持ってきます。」
マオ「……ふ~ん。」
マオの後ろに控える魔女が言った。が、今のマオには心底どうでもいいと思えた。
マオ「マフの大陸まだ世界樹あったよな?」
マオは湧き上がる怒りをぶつける相手が欲しかった。
魔女の答えを聞かず、おもむろに立ち上がると輸送機に飛び乗り、行先をマフの天空神殿を指定した。
パイロット「えぇ!?燃料が持ちませんよ!」
マオ「大陸まで行ければいい。行け。」
輸送機はしぶしぶ飛び立った。
マフが担当の大陸上空、
マオ「ありがとうよ。ここまででいい。」
パイロット「え?着陸は?」
マオは輸送機の後ろのハッチを開けて、そこから飛び降りた。
グチャ!
高高度から落下し地面に叩きつけられる。マオはひどく損壊していたが、直ぐに元通りになった。どんだけ死のうとしても、どれだけ体が損壊してもマカル返しで蘇ってしまう。
マオ「……痛みはあるんだよなぁ。」
うつ伏せだった体を仰向けにする。
マオ「ターマ。まだ俺に生きろっていうのか……」
満天の星空に手を伸ばす。その手を掴んで起こしてくれる人はだれも居ない。マオの頬を一筋の涙が流れた。
マオはそのまま眠りに落ちた。
マオは暗いところで目が覚めた。
まだ夢の中?振り返るとそこには、薄く白んで見えるヒビのはいった球体があり穴が空いてるのか、そこだけ黒い。
マオ「なんだこれ?」月の光りだろうか?目に映る景色は輪郭だけが光って見える。他は何も見えない、無明というやつだろうか?
よく見ると、球体の穴から何かがマオを見ていた。
マオ『誰だ?』
???「俺はお前だよ。」
そう穴の目から聞こえると球体のヒビが割れて白っぽい殻が地面に落ちる。
???「ようやく、解放される。ようやく俺はお前と一つになる。」
そこに懐かしい妻の声が聞こえてきた。
ターマ「ただいま!アナタ。」
ターマはマオに抱きついた。久しぶりの再会にターマは泣いている。
マオ「ターマ、どうして?」
???「そいつも連れてきたぜ。穴にははめ込む玉が必要なんだ。」
ターマ「我らは一つになったんですよ、アナタ。」
マオは目を覚ました。大地は白んできている。
頭の中でターマの声がする。
ターマ「行きましょう。アナタは私が守ってますから。」
マオは口を開かずに心でターマと会話した。
マオ『俺はターマをこの手で抱きしめたいよ。』
脳裏に映る彼女は苦笑いをしている。
マオは地平線から登ってくる太陽を見た。
マオ「行こう。」
ターマ「えぇ。」




