ヨモツヒラサカ
マフが死んだ。
その知らせとともにマオはターマと一緒に聖地、すなわち、キーリスの下に来るように召還命令が来た。
自分の天空神殿で報告を受け取ったマオは憤慨した。
マオ「何だってんだ、こんな時にキーリスは!」
マフの葬儀に参列しようと準備していたので、長距離移動の準備はできていた。
飛行機でひとっ飛びすればいい。一応、資材輸送用の滑走路は各村にできていた。
ターマ「とりあえず、行きましょう。」
2人はキャリーバックを転がしながら村の飛行場に向かった。
キーリスの天空神殿につくと魔法研究所と化した部屋に2人分のリクライニングチェアが並べてありコード類が周りを埋め尽くしていた。
マオ「これって……」前に見たことがある、マフがカクリヨにダイブしようとしてた時の様式と同じだった。
キーリス「これからお前達にカクリヨに行ってもらう。」
マオ「なにしに?!」
マオは男の身体でも足を組んでいつもの席に座っているキーリスに質問した。
マフの葬儀に参列するよりも重要なこと?そのようにはマオには見えなかったし、理由も思いつかなかった。
キーリス「マフが使っていたカクリヨのインベントリ。それへのアクセス権限を確立して欲しい。アソコには数々のマジックアイテムが眠っている、武器もだ。今後の作戦に欠かせない。」
ターマ「それで私ですか?」
キーリスは頷いた。
キーリス「マオは一度、カクリヨに行けてるし、マオと一番絆の結ばれているのはターマだ。そのターマは魔女でインベントリへのアクセス権限が取れるだろうから。」
マオ「これが終わったらマフの墓参りに行こうぜ三人で。」
キーリス「そのつもりさ、なぁ?ソフィ?」
以前、変わり者の魔女達を統べる立場にいた、いかつかった魔女リーダーは子を身ごもってからはずいぶんと丸く、しおらしくなっていた。
ソフィ「はい、お父さん。」
キーリスの席の隣でゆったりとした椅子に座って子供の服のカタログを見ている。時折、気に入ったページをお腹の子の父親、キーリスに見せて互いに何か小さく囁いていた。
マオ「さっさと、行ってくるか。」
ターマ「ですね。」『我らも、あのカタログ、後でもらいましょう!』
マオの頭にターマの声が聞こえた。
マオ『そうだな。』
白い空間、そこに気づいたらマオは立っていた隣には手をつないだターマの姿もあるがその顔はどこか虚ろだった。
マオ「ついたぞ?ターマ。しっかりしろ。」
ターマはその言葉にハッとしてマオの顔を見た。
ターマ「ここが、カクリヨなんですね?」
マオ「前、来た時はあんなのなかったけどな。」
真っ白だった空間に真っ暗な領域ができている。2人は初めて見る物に興味がわいた。壁?のように真っ暗な領域には入れない。2人は、はぐれないように手をつないで白と黒の境界に沿って歩いた。
しばらく進むと赤い縁の扉が境界線にあった。
ターマ「ここから入るんですかね?」
マオ「かなぁ?」
2人は恐る恐る扉を開けた。
中は満天の星空で丸い月(?)が浮かんでいた、2人は山?の中腹におり、眼下に大きな都があった。
マオ「なんたろうここ?」
そこへ聞き覚えのある声が響いた。
???「よく来たマオ。私の都。いいだろ?上がって行きなさいな。」
間違いないマフの声だった。2人は顔を見合わせた。
マフはここで生きている?
マオは安堵した。
マオ「行ってみよう。」
ターマ「はい。」
2人はマフの声に導かれて都に入り、宮殿に入った。
そこにはマフが玉座にござをかいてすわっていた。
その前には2人分の宴席が設けられている。
マオ『ゴブリンたちの食事様式が、確かこんな地べたに座って食べるやつだったな……』
2人は席に着いた。
マフ「まぁ飲みなさいよ、遠慮なんてせずに。口に合うかは知らないけど。」
マオは苦く感じた。ターマはそれをおいしく感じたようだった。
マオ「……?」
マフ「それで?用件を聞こうかしら?」
マフは上から目線で二人に聞いた。
ターマ「私たちはインベントリへのアクセス権限を確立するためにここに来ました。どうすればいいんでしょう?」
マフ「あれは私のよ。誰にも渡さないわ!」
マオ「そこをなんとか?」
マフはしばらく考えた。その口がにたりと笑う。
マフ「そんなに欲しけりゃ、マオ、あなたの同等のものと交換しましょう。」
マオ「なんだよ?同等のものって?」
マフ「まぁまぁ、私と握手するだけでいい。それで交渉は成立。君等は晴れてインベントリへのアクセス権限をもらえる。」
マオはマフの手を取りに行った。
マフの顔が笑みに歪む。
マフ「確かに受け取った。」
その瞬間ターマが悲痛な声を上げた。
マオ「!?ターマ。しっかりしろ!」
マフの高笑いが宮殿に響いた。
マフ「あっははははは!やっぱりそうなったかぁ!」
あー、スッキリしたとマフは言う。
ターマ「……あなた。私、大丈夫だから。」
マオ「そうだな。」確かに、目の前のターマに何の変化もなかった。
マフ「あらあら、もう帰るの?土産くらい持ってきなさいよ。」
マフの投げた物をマオは受け取った。
マフ「女のお尻みたいでしょ?桃っていうの、それ。」
マオは胸騒ぎがして直ぐにその場を具合の悪そうなターマを気遣いながら立ち去った。
元来た坂道を帰り、赤い縁の扉に向かう。そこでターマは立ち止まる。
マオ「どうした?ターマ。」
ターマ「あなた先に行ってくださいな。私、マフ様に言うことがあるんです。」
マオはなんだかターマとこれっきりなんじゃないかと思った。
マオ「君も一緒に……!」
マオはリクライニングチェアで目覚めた。
周りの魔女達が慌ただしく右往左往している。
マオ『なんだ?どうしたんだ?』
キーリス「マオ!ぶじか!?あっちで何があった!」
キーリスの剣幕にマオはビックリした。
マオ「何って?マフと会ってたような?」
記憶があいまいだった。そうだ、ターマは?
マオが横を向いたら隣にあったリクライニングチェアは
弾けた人(?)がグチャグチャになっていた。
マオ「あれ?ターマは?なんだこれ……?」
その滴る赤い液体の中で胎児らしきモノがピクピクとしていた。
マオ「あ、あ。ああぁ、うわぁぁぁぁ!」




