表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中学二年生  作者: 深澄
4/15

曲決めー高瀬日和

 一学期も終わりに近づいてきたある日、日和が学校に着くと、有希と華乃が何か話していた。

「おはよう!何の話してるの?」

「おはよー!そろそろ合唱祭の曲決めあるよねって」

「あー確かにね。今年の候補曲何だろうね」

「わかんないけど、私は『落葉松』やりたいんだよねー!」

「そうなんだ!私は『虹』がいいなぁ。日和ちゃんは?」

 二人ともガチなんだな。

 日和は笑って何も答えず、代わりに言った。

「ちょっとちょっと、合唱祭で盛り上がるのもいいけど、もっと近くに楽しい行事があるよ?」

「あ、夏期学校!行動班も部屋班も一緒だよね。楽しみだなぁ」

「華乃正解!…でも有希、大好きな京都への旅行、忘れてたんじゃない?」

「忘れてないっ…忘れてた…かも」

「あはははっ」

 慌てる有希を見て、思わず涙を浮かべて笑ってしまった。二人もつられて笑っている。

 そのとき、担任の宇佐美が話しかけてきた。有希が華乃と顔を見合わせる。

「田中、横田ちょっといい?今日のロングホームルームで合唱祭の曲を決めたいから、仕切ってくれる?候補曲リストはそれまでに配っとくから。あとはCDがあるから、それ流して多数決でいいと思う。じゃ、よろしくね。お前らには期待してるからね」

「わかりました!ありがとうございます!」

 二人は声をそろえ、さっそくリストを見始める。

「あ、虹も落葉松も入ってる!あとは…この作曲者さんの曲は審査員にウケがいいかな」

「さすが合唱部!それは伝えなきゃね」

 楽しそうに話し合う二人を見て、日和は取り残されたような気分になり、そっと二人から離れた。


 七時間目。ロングホームルームの時間として、木曜日だけにある。

 有希が司会、華乃が書記で、話し合いが始まった。

「これから、合唱祭の自由曲を決めたいと思います!課題曲はまぁ知ってると思うけど、『大地讃頌』です。今からみんなに配ったリストに載ってる曲を流すんだけど、他にやりたい曲ありますか?」

 日和はそれとなくまわりを見回した。案の定、誰も手を挙げていない…と思ったら、服部光一郎が手を挙げている。有希が指すと、服部は言った。

「俺、『愛を込めて花束を』がやりたいでーす」

 ポップスっていいんだっけ?

 有希が何か言おうとするのを、別の声が遮った。「おい服部、誰に愛をこめるんだよ?」

 くだらない。面白くもなんともないわ。

 日和はため息をつく。

 服部は首をすくめたが、他の人はニヤニヤして有希を見ている。

 運悪く担任は不在で、彼らはふざけ放題だ。さっき服部をからかった沢口と、その取り巻きである飯田、久保田が騒ぎ立てる。

「もしかして?Tさん?田中…」

「ちょっと!ふざけたこと言ってないで、真面目に参加したらどうなの?」

 思わず怒鳴っていた。クラスメイトたちがびくっとして日和を見つめる。それも気にならないほどに腹が立っていた。

 私の大事な親友をバカにしないで。

 静まり返った教室に、沢口の舌打ちが響いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ