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Watch ~監視者~  作者:
「風鳴りの魔都」
90/98

<十五>

なんだか内容に間延び感があります。


テンポが上がらない。

 アルガの18日夜。

 シィンはシェルズの館にいた。

 シィンと向かい合わせで1人の魔導師が座っている。

 部屋の中だというのにフードを目深に被り、顔の上半分が見えない。

 この館の主、シェルズである。

 2人の間にはカヒのカップが2つ。

 しかし、手のつけられぬまま冷めてしまっている。

 「…ということになるかな。」

 丁度、シェルズの説明が一区切りついた所でシィンが訊ねる。

 「つまり、邪神は顕現してしまったら終わり、ということだな?」

 「そう。この世界に邪神が顕現したのなら、神に勝てる者はいない。」

 「邪神召還を考えている奴らは、何を望んでいるんだ?」

 「召還自体が目的だね。」

 「なら防ぐ方法は…」

 「召還自体を防ぐこと。」

 あっさりとシェルズが答える。

 続けてシィンが確認のためにもう一度声を掛ける。

 「で、やはり協力はしてもらえんのだな?」

 「アザトー通りの魔導師が関わってるからね。」

 「邪神召還は理由にならないか?」

 「それで他の魔導師の妨害をしたならともかく、ね。」

 「一般人を巻き込んだのも?」

 「難しいね。」

 黙り込むシィンにシェルズが声を掛ける。

 「『テゴス』というのは本来は邪神の名前だ。」

 黙ったまま眼で問いかけるシィン。

 「それを名乗っている以上、かなり危険な相手だよ。」

 「それは…その邪神の加護を受けている、ということか…。」

 「そうだね。」

 邪神にしろ何にしろ、「神」と呼ばれる存在の加護は非常に強力なものになる。

 「個人的心情としては手伝いたいんだけどね。」

 「分かった。情報だけでも助かった。」

 そう言って立ち上がるシィン。

 そのまま扉に向かうとシェルズが声を掛ける。

 「ちょっと待ちたまえ。」

 振り向くシィンに、シェルズが懐から護符アミュレットを3つ渡してきた。

 「邪神の眷属ぐらいになら有効な護符アミュレットだよ。」

 「感謝する。」

 「此方こそ、このくらいしかできなくて申し訳ない。」

 扉の向こうにシィンの姿が消えた後。

 暫く扉を見つめていたシェルズが、扉に背を向けフードを取る。

 「彼も相変わらずだね。」

 そう苦笑を浮かべながら呟いたシェルズの顔。

 そこには眼に当たる部分に黒い穴が空いているだけだった。

 「僕は邪神から逃げるために両目を失ったけど、邪神に挑む彼は…。」

 シェルズは「初めて」会った旧知の友人の無事を願わずにはいられなかった。



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