<十五>
なんだか内容に間延び感があります。
テンポが上がらない。
アルガの18日夜。
シィンはシェルズの館にいた。
シィンと向かい合わせで1人の魔導師が座っている。
部屋の中だというのにフードを目深に被り、顔の上半分が見えない。
この館の主、シェルズである。
2人の間にはカヒのカップが2つ。
しかし、手のつけられぬまま冷めてしまっている。
「…ということになるかな。」
丁度、シェルズの説明が一区切りついた所でシィンが訊ねる。
「つまり、邪神は顕現してしまったら終わり、ということだな?」
「そう。この世界に邪神が顕現したのなら、神に勝てる者はいない。」
「邪神召還を考えている奴らは、何を望んでいるんだ?」
「召還自体が目的だね。」
「なら防ぐ方法は…」
「召還自体を防ぐこと。」
あっさりとシェルズが答える。
続けてシィンが確認のためにもう一度声を掛ける。
「で、やはり協力はしてもらえんのだな?」
「アザトー通りの魔導師が関わってるからね。」
「邪神召還は理由にならないか?」
「それで他の魔導師の妨害をしたならともかく、ね。」
「一般人を巻き込んだのも?」
「難しいね。」
黙り込むシィンにシェルズが声を掛ける。
「『テゴス』というのは本来は邪神の名前だ。」
黙ったまま眼で問いかけるシィン。
「それを名乗っている以上、かなり危険な相手だよ。」
「それは…その邪神の加護を受けている、ということか…。」
「そうだね。」
邪神にしろ何にしろ、「神」と呼ばれる存在の加護は非常に強力なものになる。
「個人的心情としては手伝いたいんだけどね。」
「分かった。情報だけでも助かった。」
そう言って立ち上がるシィン。
そのまま扉に向かうとシェルズが声を掛ける。
「ちょっと待ちたまえ。」
振り向くシィンに、シェルズが懐から護符を3つ渡してきた。
「邪神の眷属ぐらいになら有効な護符だよ。」
「感謝する。」
「此方こそ、このくらいしかできなくて申し訳ない。」
扉の向こうにシィンの姿が消えた後。
暫く扉を見つめていたシェルズが、扉に背を向けフードを取る。
「彼も相変わらずだね。」
そう苦笑を浮かべながら呟いたシェルズの顔。
そこには眼に当たる部分に黒い穴が空いているだけだった。
「僕は邪神から逃げるために両目を失ったけど、邪神に挑む彼は…。」
シェルズは「初めて」会った旧知の友人の無事を願わずにはいられなかった。




