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Watch ~監視者~  作者:
「悲しみの森」
35/98

<三十二>

第1話終了です。


 あれから2週間。

 カイト達はフィリアをエルフの里に送り届けた。

 アルフォード達の遺髪と、言霊の水晶と共に。

 水晶には今回の事件の顛末。

 シィンの追跡は無意味なので取り止めること。

 フィリアの今後を頼むこと。そして…。

 「フィリア、すまない。」

 という言葉が記録されていた。

 先に逝くことを謝ったのか。

 それともシィンを連れ戻せなかったことを謝ったのか。

 シィンと闘うことになったのを謝ったのか…。

 その言葉を聞いたフィリアは、ただ黙っていた。

 その瞳から一筋の涙を零して。


 フィリアには里に来るまでに、シィンの呪いのことを全て話してあった。

 その話を聞いた時にも、フィリアは黙ったままだった。

 そして、同じように一筋、涙を零していた。


 (強い娘じゃ。)

 グレンはそう思った。

 フィリアくらいの年頃なら泣き叫び、崩れ落ちても不思議ではない。

 父親代わりと、師匠、そして好きな男との別れ。

 それだけの出来事を、二筋の涙だけで耐えたエルフの少女を、素直に強い、そう思った。


 (アルフォード、ビロウズ命を賭けた意味はあったようだぞ。)

 心の中でファーサイドは2人に呼びかけていた。

 フィリアはきっと前を向いて生きていくだろう。

 森の若木がいつかは大きな木となるように真っ直ぐ。

 2人の想いをフィリアが受け継いだことをファーサイドは理解していた。


 カイトとシャリーは同時に同じことを思っていた。

 (きっと、フィリアはシィンを追う。)

 それは確信だった。

 言葉に出さないフィリアの想い。

 涙に込められた想い、それは2人にはフィリアがこれから歩いていく道標に見えた。


 (フィリアの瞳は碧いんだ…。)

 涙を零すフィリアの横顔を見てケイトは、ふと、そんなことを思った。

 空の青ではなく、深い森の中に秘められている泉のような碧。

 それは、とても悲しい色に想えた。


次の結も連続投稿です。

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