<二十八>
今回はカイトサイドです。
闘いが始まって5,6ピン過ぎた頃。
「…なんて酷いことを…。」
青い顔をして闘いの様子を見つめていたシャリーが呟きを漏らした。
その呟きに気づいたカイトが眼で問う。
「シィンは…不死者の実験材料にされていた、と言っていましたよね。」
シャリーは言葉を絞り出す。
「確かに、そんなこと言ってたわよね。」
ケイトがシャリーを見て答える。
「おそらくそれは…目の前で親しい人が死んだ時に能力が上昇する、というもの…。」
「…っ!」
愕然として、シィンを改めて見るケイト。
「そう考えないと、あの能力の上昇は異常すぎます。」
さらに言葉を続けるシャリー。仲間達は言葉もない。
「推測ですが、先程からのあの不死者の言葉。」
シィンと不死者の闘いを見つめながら言葉をつなげる。
その言葉に、仲間達も先程の不死者の言葉を思い出す。
=たしかに「今の」お前ならできるかもしれんな=
=先程のエルフ達に感謝することだ=
=そろそろ時間切れではないか?=
=ついでに、この娘も…=
「シィンの両親やアルフォード達を操ってシィンと闘わせたこと。」
その声は、微かに震えている。
アルフォード達をわざとサーヴァントにしないまま闘わせた先程の戦闘。それは目の前で死ぬのが「人」でなければならなかったから。
「そして、シィンの説明。これだけ繋げると、そう結論が出てしまいます。」
不死者の実験。その言葉に込められた不吉な意味。
-なかなか聡い娘よ。-
気がつくと傍らに「影」が来ていた。
慌てて身構えるカイト達だったが、それを「影」が制した。
-そう身構えずとも今は闘うつもりはない。-
「信用できるかっ!」
カイトが叫ぶ。
-そもそも、お前等では我に届かぬ。-
そう言ったとたん、「影」からじわりと滲み出す圧迫感。
とたんにカイト達は指一本動かすことができなくなった。
動けば死が訪れる、それを魂の底から理解させられたのだ。
-だが、おまえ等はなかなか面白い。-
どれほどの時間が過ぎたのか、それは一瞬だったようにも永遠だったようにも思えた。
実際には、先程と変わらずシィン達の闘いが続いているのだから、それほど長い時間ではなかったのだろう。
「影」の「声」が聞こえたとたん、その圧迫感は嘘のように消えた。
崩れ落ちそうになる膝を気力で奮い立たせながら、「影」を睨むカイト達。
-そう、その眼よ。我の前で尚、その眼をできるものは、なかなかおらん。-
面白そうな「声」で続ける「影」。
-それより、あちらがそろそろ決着しそうだぞ。-
その「声」に慌ててシィン達の闘いに目を向けるカイト達。
その次の瞬間、信じられない光景が眼に飛び込んできた。
次回で戦闘は決着、できるといいなぁ…




