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Watch ~監視者~  作者:
「悲しみの森」
24/98

<二十一>

いよいよ不死者との対決第一弾。

 始めに「影」と対峙したのはアルフォード達だった。

 その腕の中にフィリアを抱いて「影」は立っていた。


 =予定外の客人よ、今、この場を立ち去るなら追わぬぞ。=


 声ではない「声」が頭の中に響く。

 目の前の「影」の念話にアルフォードは答えた。

 「その娘を連れて帰る。渡してもらおう。」


 =嫌だと言ったら?=


 面白がっているような感情と同時に「声」が響く。

 「力ずく、ですね。」

 今度はビロウズが答える。


 =待ち人が来るまでの暇つぶしにはなるか。=


 「退屈はさせんよ。」

 答えながら相手の力量を図るアルフォード。目の前の「影」は動かない。

 ただ、その存在感とでもいうべきものがプレッシャーとなって滲み出てくる。

 徐々に、空気がまるで個体になったかのような圧迫感に包まれ始めた。

 (ただの吸血鬼ノーブルではない、真祖ロードクラスか…。)

 真祖ロードクラスでは、自分達にはおそらく勝ち目がない。

 アルフォードは思考を「相手を倒す」ことから「フィリアを取り返す」ことに切り替えた。ビロウズとアイコンタクトを取る。

 次の瞬間、二人は両側に跳んだ!

 二人が選んだのは不死者に対する攻撃ではなかった。

 -我は願う-風の精霊-彼の者-巻き上げる-『烈風ストーム

 ビロウズの呪文と同時に、アルフォードが不死者の手元に跳び込み、剣でその腕を薙ぐ。

 フィリアの身体が不死者の手から離れ、宙に舞った。

 

 =ほう、なかなか…=


 呟くような念話を聞き流しながら、アルフォードはフィリアの落下地点に向かう。

 二つ名持ちの連携は、確かに不死者を出し抜いた。



 そのように見えた。

 フィリアの身体が空中でピタッと静止するまでは。



 -あまり遊ぶ暇はないぞ。-


 空中にもう一つの「影」が現れていた。

 それが、フィリアを受け止めていたのだ。


 =ならば、ここまでにしようか。=


 (まさか、真祖ロードクラスがもう一体居たとは…)

 アルフォードとビロウズの面には、絶望の色が見えていた。 





 そして二つの闇が二人を飲み込んだ。



※アルフォード達は不死者を「ドルン」によって生み出された吸血鬼ノーブルだと考えていた。もし、真祖ロードクラスだと知っていれば、二人だけで追跡していない。

そのくらいノーブルとロードでは戦力差がある。

※ただし、この二体は通常の真祖ですらない、特殊な個体。

いよいよ1話のクライマックスに近づいて来たような。

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