<二十一>
いよいよ不死者との対決第一弾。
始めに「影」と対峙したのはアルフォード達だった。
その腕の中にフィリアを抱いて「影」は立っていた。
=予定外の客人よ、今、この場を立ち去るなら追わぬぞ。=
声ではない「声」が頭の中に響く。
目の前の「影」の念話にアルフォードは答えた。
「その娘を連れて帰る。渡してもらおう。」
=嫌だと言ったら?=
面白がっているような感情と同時に「声」が響く。
「力ずく、ですね。」
今度はビロウズが答える。
=待ち人が来るまでの暇つぶしにはなるか。=
「退屈はさせんよ。」
答えながら相手の力量を図るアルフォード。目の前の「影」は動かない。
ただ、その存在感とでもいうべきものがプレッシャーとなって滲み出てくる。
徐々に、空気がまるで個体になったかのような圧迫感に包まれ始めた。
(ただの吸血鬼ではない、真祖クラスか…。)
真祖クラスでは、自分達にはおそらく勝ち目がない。
アルフォードは思考を「相手を倒す」ことから「フィリアを取り返す」ことに切り替えた。ビロウズとアイコンタクトを取る。
次の瞬間、二人は両側に跳んだ!
二人が選んだのは不死者に対する攻撃ではなかった。
-我は願う-風の精霊-彼の者-巻き上げる-『烈風』
ビロウズの呪文と同時に、アルフォードが不死者の手元に跳び込み、剣でその腕を薙ぐ。
フィリアの身体が不死者の手から離れ、宙に舞った。
=ほう、なかなか…=
呟くような念話を聞き流しながら、アルフォードはフィリアの落下地点に向かう。
二つ名持ちの連携は、確かに不死者を出し抜いた。
そのように見えた。
フィリアの身体が空中でピタッと静止するまでは。
-あまり遊ぶ暇はないぞ。-
空中にもう一つの「影」が現れていた。
それが、フィリアを受け止めていたのだ。
=ならば、ここまでにしようか。=
(まさか、真祖クラスがもう一体居たとは…)
アルフォードとビロウズの面には、絶望の色が見えていた。
そして二つの闇が二人を飲み込んだ。
※アルフォード達は不死者を「ドルン」によって生み出された吸血鬼だと考えていた。もし、真祖クラスだと知っていれば、二人だけで追跡していない。
そのくらいノーブルとロードでは戦力差がある。
※ただし、この二体は通常の真祖ですらない、特殊な個体。
いよいよ1話のクライマックスに近づいて来たような。




