<十九>
連休明け。
なかなか話が進まなくなってきた、と思う今日この頃。
今回はラミーです。
ラミーの精神は闇の檻にとらわれていた。
自分が誰だったか、仲間は誰だったか、憶えている。知っている。
ただ、そのことと自分の身体が切り離されてしまっている。
自分の身体が自分の思いと違う動きをしている。自分の知らない場所に向かっている。怖かった。行きたくない、と叫びたかった。
「何か」が自分を呼んでいる。そこに行けば自分が自分でなくなってしまう。
そのことを本能で理解していた。というより、魂で理解していた。
(…ワタシ…ハ…ヒトデ…ナクナル…)
そう知りながら、ラミーの足は、意思を裏切り一歩ずつ進む。
その腕には気を失った少女、フィリアの姿があった。
テッドが最後の攻撃をかけた瞬間、ラミーの脳髄に稲妻が走った。
=娘を連れてこい=
その意思に触れた瞬間、ラミーの魂は闇に囚われた。そして、自分を守っていたフィリアを背後から襲い、その場から攫ったのである。
森の闇をまるで苦にせずにラミーは進む。
魔性に魅入られたその肉体には、通常の人間にはない異常も備わったようだった。
突然、樹上からジャララが襲いかかってきた。
ラミーの頬に噛みつくジャララ。しかし、ラミーはそれを気にも留めない。
ジャララの毒を受け、肉体はみるみる紫になっていく。
おそらく心臓も止まっているのだろう。
それでもラミーは歩き続ける。
おのれの呪われた主の元に。魂の叫びを無視して。
ラミーの前に「影」がいた。
=よく来た、娘=
ラミーの腕からフィリアを受け取る。
そのまま、立ち去ろうとした「影」が、ふと立ち止まる。
=褒美に、おまえの願いを一つ叶えてやるとしよう=
それから数日後、或る貴族が不死者に襲われた。貴族を八つ裂きにした不死者はその場で崩れ去った。その場にいた者達によれば、それは若い女性だったという。
しかし崩れ去る直前に、その唇が人の名前を呼んだのを聞いたものはいなかった。
「…テッ…ド…」
崩れ去る女の顔は微笑んでいたという。
※吸血鬼の犠牲者は、血を吸った吸血鬼の思念によって行動を操られることがある。その際は身体の限界を無視して動かされるため、思いがけない力を発揮する。血を吸った吸血鬼が特に強力な場合は、たとえ途中で犠牲者が死んでも一種のゾンビのような状態で動き続けることがある。(ラミーの場合のように)
ラミーは好きなキャラだったんですが…。
どう考えてもこうなりました。




