<十六>
本格的な戦闘シーンです。
うまく描けてるでしょうか?
初手はグレンだった。
-我が神、カイロスよ、邪悪を払い賜え-『清浄光』
障気を払う上級の神聖魔法である。生物には、せいぜい目を眩ませるほどの効果しかないが、不死者達には熱湯を浴びせるほどの威力がある。しかも福次効果として吸血鬼等の傷の再生を一定時間妨げることができる。
一瞬目が眩んだサーヴァント達に続いて襲いかかったのはビロウズの精霊魔法だった。
-我は願う-空に漂いし風の精霊-敵-切り裂く-『風刃斬』
魔力のこもった風の刃が無数に生まれ、サーヴァントの内2体を切り裂く。切り裂かれた2体は為す術もなく、灰となって崩れ去った。人を止めた者の末路である。
同時にシャリーの呪文が戦士達の武器を強化する。
-魔力-殲滅-敵-宿-『エンチャント』
通常の武器では、不死者たるサーヴァントにダメージを与えられないためである。
それを待ってカイトとアルフォードが手近にいるサーヴァントを切り伏せる。崩れ去るサーヴァント。
グレンの魔法で相手の目が眩んでいる内にどれだけ相手を減らせるか、それが勝負だった。フィリア達の護衛にケイトやファーサイトが付いている以上、こちらの戦える人数は相手の半数以下なのである。回り込まれたら、フィリア達が危険だ、そう判断したが故の速攻であった。
思惑通り、初撃で4体減らすことには成功した。しかし、未だ数は倍以上。後衛の魔法戦力が大威力の魔法を唱える時間を与えまいとして、立ち直ったサーヴァント達が肉薄してくる。それを妨げんと迎え撃つカイトとアルフォード。
人間を止めたものだけが出せる怪力と速さ。
迎え撃つは鍛え上げられた戦闘技術。
両者が激突した。
カイトはサーヴァントの横殴りの一撃を迎え撃った。
まともに受け止めれば腕の骨を折られ吹き飛ばされるだろう。
だから、サイドステップで相手の側面に移る。
襲ってくる腕を盾の面で上方に受け流す。同時に脇腹を長剣で薙ぎ払う。
深手を負ったサーヴァントは堪らず後ろに下がる。追撃をしようとして、右手から襲いかかってきたサーヴァントの攻撃をかわす。
「2対1は厄介だな。」
そう吐き捨てると、カイトは改めてサーヴァント2体と向かい合う。
アルフォードはカイトと対照的な動きで戦っていた。
相手の死角に入り込み短剣で切っては、次の死角に潜り込む。
速度で圧倒するはずのサーヴァントだったが、アルフォードの位置を見失い、本来の速度が出せない。
そこをさらに翻弄される。
側にいるサーヴァントも同士討ちになりそうでなかなか手を出せない。
相手との間合いを盗み、常に死角から相手を一方的に攻撃する。
それが「蒼風」と呼ばれる彼の戦い方だった。
とはいっても本来、自分より速い相手が2体。決して油断はできない。
細心の注意を払ってアルフォードは戦っていた。
ビロウズ、シャリー、グレンは3人で固まっていた。
彼らの戦闘力は魔法中心である。当然、詠唱が必要となる。
通常なら、彼らのような後衛だけでサーヴァントと戦うのは無謀である。
しかし、彼らは自分の倍近い5体のサーヴァントを引き受けていた。
要因は2つ。
グレンやビロウズが戦士としても一流だったこと。
襲いかかってくるサーヴァントに対して、2人はシャリーをかばいながら的確に防御することができていた。
そして、もう一つが3人がそれぞれ違う系統の魔法を得意としていたことである。
神官であるグレンは、サーヴァント達を弱体化し、精霊魔法の使い手であるビロウズが精霊の力で素早く牽制し、古代魔法の使い手であるシャリーが高威力の呪文で攻撃する。
異なる特性を持つ魔法使いが連携することで、互角以上の戦いをしているのである。
3人の目の前にいるサーヴァント達が、力尽きて崩れ去るのも時間の問題だった。
ケイトとファーサイトは防戦一方だった。
これは2人が弱いからではない。
フィリアとラミーをかばいながら戦っているからである。
目の前にいるサーヴァントは一体。
しかし狡猾だった。
直接2人を狙わず、後ろにいるフィリア達を狙ってくるのである。
どうしてもフォローに入らざるを得ない2人。
そこで、攻撃の軌道を微妙に変えられ、傷を受けてしまう。
獣人であるファーサイトはまだその動きに変化は見られなかったが、ケイトの息は上がり始めていた。
(仲間が来るまでの辛抱ね。後一頑張り!)
ケイトは自分に心の中で活を入れると、目の前の敵に集中した。
頭の中に映像は浮かんでるんですが…。
文才無いですねぇ。
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