<十七>
戦闘の続き。
カイトとケイトがピンチ。
戦闘は乱戦になっていた。
目の前の敵を見ながらテッドは、全体の状況も見ていた。
(まもなく全員が倒されるか。主の仰せの通りだな。)
こちらに人間達の仲間がやってくるまでに、主に命ぜられたことを果たさねばならない。
テッドは獣人に攻撃を浴びせながら、同時に一枚目の切り札を切ることにした。
懐から主から預かった黒い笛を取り出すと吹き鳴らす。
聴こえない「音」が森中に響き渡った。
状況が一変した。
突然、無数の蝙蝠がその場に現れたのである。
ただの蝙蝠なので、それほど攻撃力があるわけではない。
だが無数にまとわりついて、戦闘の邪魔になる。
一瞬の遅れが死に直結する戦闘で、これは非常に問題になる。
蝙蝠はカイト達だけにまとわりつくように、次から次へと集まってきた。
それに乗じて襲いかかってくるサーヴァント。
そのため、カイト達は互いのフォローに回る余裕が無くなってしまった。
テッドはこの機を逃さず、攻勢に出た。
必死に防御に回る赤毛の女と獣人。
その陰で、かつての仲間だった女を抱えて逃げるエルフの娘。
蝙蝠達の乱入とテッドの攻撃で、いつの間にか仲間達との距離が離れていた。
まず、エルフの娘を狙う。
慌てて割り込んでくる獣人。
それを予測していたテッドはあえて獣人をかわし、赤毛の女に一撃を加える。
掠めたところから飛び散る血。
爪先についた血を舐め取る。
「美味いぞ、娘。」
嘲るようにそう声をかける。
「おまえには一滴だって勿体ないよ。」
気丈に言葉を返してくる女。その女をフォローする獣人。
二人がこちらの動きに集中しているのが分かる。まともに戦えばこちらがあっさりやられるほどの2人だ。片方が手傷を負っている今がチャンスだった。
テッドは最後の勝負に出た。
(不味い、不味い、不味い…)
カイトは焦っていた。優勢に進めていた乱戦が、蝙蝠の乱入で逆に劣勢になってしまった。周りの仲間も余裕が無くなっている。いつの間にかケイトやファーサイド達が仲間から切り離されている。
(蝙蝠さえ何とかできれば!)
そう思いながら剣を振るう。焦った剣先を嘲笑うかのようにサーヴァントがかわす。
視界の片隅でケイトの血が舞う。
(ケイトっ!)
思わず心の中で叫ぶ。
「っおおおおー!」
気合いと共に目の前の敵に斬りかかる。狙いは先ほど深手を与えた相手。
あえてもう一人は無視した。
捨て身の一閃に崩れ去るサーヴァント。
ただし、無傷というわけにはいかなかった。もう一体からの攻撃を受けたのである。
致命傷ではない。しかし左肩に受けた一撃で盾が使えなくなった。
「ちょうど良いハンデだよ。」
そう言い放つと、カイトはもう一体に向き直る。
(ケイト、待ってろよ!)
切りがいいので、ここまで投稿。




