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つきよのうさぎ  作者:
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62/302

優月ちゃんと居場所つくれてるね!

ある土曜日。

保育園で、“親子ふれあいイベント”が開かれることになった。

内容は――

親子でゲーム。

歌。

工作。

そして最後に、家族写真。

唯ちゃんは朝から気合い十分だった。

「今日は絶対ちゃんとした服で行く」

「いつもしてるじゃん」

「今日は“ちゃんとしたママ”感出したいの」

でも十分後。

優月にジュースをこぼされる。

「ぎゃー!!」

開始前から大騒ぎ。

僕は笑いながらタオルを持ってくる。

「はい、“ちゃんとしたパパ”どうぞ」

「ちょっとムカつく」

保育園へ着くと。

優月、超ハイテンション。

「ぱぱきたー!!」

「ままぁぁ!!」

クラスの友達へ、僕たちを自慢げに紹介して回る。

「これ、ぱぱ!」

「これ、まま!」

“これ”扱いだった。

でも嬉しい。

教室には、子どもたちの絵が貼ってあった。

その中に、優月が描いた“家族の絵”もある。

僕。

唯ちゃん。

優月。

そして――

なぜか巨大なうさぎ。

僕は吹き出す。

「うさぎ、家族よりデカい」

唯ちゃん大笑い。

「優月の世界では重要人物なんだよ」

しかも僕の顔。

ほぼアンパンマン。

「パパ、丸すぎない?」

すると後ろから優月。

「ぱぱ、まるい!」

先生まで笑っていた。

イベントが始まる。

最初は親子ダンス。

でも。

優月、踊らない。

ずっと床に寝転がってる。

「いやぁーん」

イヤイヤ発動。

僕と唯ちゃん、必死。

「優月ー!踊ろう!」

「うさぎさんも踊ってるよ!」

すると突然。

優月、覚醒。

「ぴょんぴょーん!!」

なぜか一人だけ全力ジャンプ。

しかも勢い余って僕へ激突。

ドンッ。

僕、転ぶ。

子どもたち大爆笑。

唯ちゃん、笑いすぎて涙出てる。

「先生、また転んでる!」

完全に保育園名物だった。

工作の時間。

親子で“未来の夢”を描くことになった。

周りの子どもたちは、

“ケーキ屋さん”

“電車の運転手”

みたいな可愛い夢を書いている。

優月はクレヨンを握りしめて、真剣な顔。

そして描いた。

――うさぎ。

でかい。

あと、なぜか僕が隣で転んでる。

「夢どこいった!?」

唯ちゃん、呼吸困難レベルで笑ってる。

でも。

絵の端っこには、小さく家族三人が手を繋いでいた。

先生が優しく言う。

「優月ちゃん、家族大好きなんですね」

その瞬間。

僕も唯ちゃんも、少し胸が熱くなる。

帰り際。

みんなで家族写真を撮る。

優月は僕と唯ちゃんの真ん中で、満面の笑みだった。

カメラマンさんが言う。

「はい、チーズ!」

その瞬間。

優月が叫ぶ。

「うさぎー!!」

パシャ。

撮れた写真。

僕、笑い崩れてる。

唯ちゃん、涙目で笑ってる。

優月、ドヤ顔。

最高に“僕たちらしい写真”だった。

帰り道。

夕焼けの空の下。

優月は僕と唯ちゃんの手を繋ぎながら、楽しそうに歌っている。

意味不明な歌。

たぶん即興。

でも、すごく幸せそうだった。

唯ちゃんは、その横顔を見ながら静かに言う。

「ねえ」

「ん?」

「優月、ちゃんと“居場所”作れてるね」

僕は頷く。

保育園にも。

友達の中にも。

そして。

僕たちの隣にも。

優月の笑い声が響くたび。

この家は、もっと“家族”になっていく気がしていた。

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