ページをめくるたび。
ページをめくるたび。
唯ちゃんが、どれだけこの子を愛しているか伝わってきた。
“きょう、パパがベビー服を見て30分悩んでました”
“うさぎ柄を見ると、つい買っちゃいます”
“あなたが泣いた時、ちゃんと抱きしめられるママになりたいです”
読んでいるうちに、胸がいっぱいになる。
唯ちゃんは少し照れながら笑った。
「なんか恥ずかしいね」
「……すごくいい」
僕がそう言うと、唯ちゃんは安心したように息を吐いた。
雨音は、まだ静かに続いている。
僕はノートを閉じて、唯ちゃんを見る。
「唯ちゃん」
「ん?」
「ありがとう」
その言葉に、唯ちゃんは少し驚いた顔をした。
「え?」
「俺に、“帰りたい場所”をくれて」
唯ちゃんの瞳が、ゆっくり揺れる。
「夢を持つことも、誰かを愛することも、全部教えてくれた」
声が少し震える。
「今、こんな未来があるの、唯ちゃんと出会えたからだよ」
唯ちゃんは何も言わなかった。
でも次の瞬間。
ぽろっと涙をこぼした。
「……だめ」
「え?」
「妊娠してから涙腺弱すぎる……」
泣きながら笑う。
僕も思わず笑ってしまった。
唯ちゃんは涙を拭きながら、小さな声で言う。
「私もね」
「うん」
「あなたと会ってなかったら、今の私はいないと思う」
窓の外では、雨が少しずつ弱くなっていた。
唯ちゃんは僕の肩に頭を預けながら続ける。
「昔の私、自分のこと大事にできなかった」
胸が静かに痛む。
「でもあなたが、“そのままでいい”って何回も言ってくれたから」
唯ちゃんは、自分のお腹を優しく撫でた。
「今は、この子にも、“生まれてきてよかった”って思ってほしい」
僕はそっと、唯ちゃんの手に自分の手を重ねる。
その時。
また、小さくお腹が動いた。
ぽこんっ。
唯ちゃんが笑う。
「聞いてる」
僕も笑った。




