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つきよのうさぎ  作者:
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227/302

この家、好きだな”って。

次の日の夜。


私は、自分の部屋で宿題をしてた。


……はずだった。


でも。


全然集中できない。


理由。


リビングから、結愛の声が聞こえる。


「ぷりんうしゃぎはね!!」


また始まってる。


しかも今日は。


パパを相手に、“超長編ごっこ遊び”。


終わる気配ゼロ。


私は思わず笑う。


少し前まで、元気なかったのに。


今のパパ、ちゃんと笑ってる。


その声を聞くだけで、なんか安心する。


私は、そっとドアを少し開ける。


リビング。


パパ、ソファに座ってる。


結愛は、その横で大暴れ。


ぬいぐるみいっぱい。


床カオス。


でも。


パパ、ちゃんと付き合ってる。


疲れてるだろうに。


「それで、ぷりんうさぎはどうなったの?」


って、本気で聞いてる。


結愛、超嬉しそう。


「まほうでせかいをまもる!!」


スケールでかい。


ママはキッチンで笑ってる。


その光景を見て。


私は、なんか胸があったかくなった。


あぁ。


いつもの山本家だ。


その時。


パパが、ふとこっちを見る。


「あ、優月。宿題終わった?」


私は、ちょっとだけ笑う。


「まだ」


すると。


結愛が、急に言う。


「おねえちゃんも、まほうつかう?」


巻き込まれた。


私は吹き出す。


「何の魔法?」


結愛、真剣。


「げんきになるまほう!」


それ聞いて。


パパ、少し笑った。


たぶん。


結愛は、本当にそう思ってる。


“笑わせれば元気になる”って。


単純だけど。


でも。


結愛って、そうやって家族を明るくしてる。


無意識に。


私は、リビングへ行く。


ソファに座る。


すると。


結愛、当然みたいにくっついてくる。


あったかい。


ママも、お茶を持ってきてくれる。


なんでもない夜。


でも。


私は、こういう時間が好きだった。


その時。


パパが、ぽつりと言った。


「なんかさ」


私とママ、見る。


パパ、少し照れながら笑う。


「この前、みんなに励ましてもらって、ほんと助かった」


少し静かになる。


でも。


結愛だけ、即答。


「えへへ!」


たぶん意味全部は分かってない。


でも。


嬉しそう。


ママが優しく笑う。


「みんな、パパ好きだからね」


私は、ちょっと照れくさくなる。


でも。


否定はしなかった。


パパって。


不器用だけど。


ちゃんと家族のこと見てる。


頑張りすぎるくらい頑張る。


だから。


たまには、支える側になりたいって思う。


その時。


結愛が突然、立ち上がる。


「きょうは、“かぞくぎゅー”する!!」


なにそれ。


でも。


次の瞬間。


結愛、パパにぎゅー。


ママも笑いながら参加。


私も巻き込まれる。


狭い。


暑い。


カオス。


でも。


笑い声が止まらなかった。


私は思う。


きっと。


家族って。


こういう、小さな時間の積み重ねなんだ。


特別じゃなくてもいい。


みんなで笑えるなら。


それだけで、ちゃんと幸せなんだと思う。


夜。


部屋へ戻る前。


私は、リビングを振り返る。


パパ、笑ってる。


ママも笑ってる。


結愛は、もう眠そう。


その景色を見ながら。


私は小さく思った。


“この家、好きだな”って。


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