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11話 任務開始

 作戦遂行する為には、まず親愛製薬について説明しないといけないわよね。

 大樹も知らない私たちにとっては誰もが知ってるほど有名な会社。

 化粧品に洗顔料、市販薬に医療器具と、この国のありとあらゆる薬関係はほとんどと言っていいほどこの会社のものが多く出回っているの。

 かく言う私もその会社の薬を利用してる一人。効果もいいし何よりお値段もリーズナブルだしね。


 

 事業はそれだけじゃなく、世界の貧困地帯での慈善活動、児童施設に老人施設の経営と【親愛】と言うだけあって優しさに溢れた企業のはず。

 だったのに――まさか裏でファンタジアへの協力関係にあるって思いもしなかった。

 正直その話を聞いてから、あの会社の製品を買うことに疑問を感じちゃった。

 だって、製品の中にファンタジアから頼まれた怪しい効果のある何かを入れられたりでもしたら? そう思ってしまうのは仕方ないことのはず。

 そんなこんなで、私とお兄ちゃんは親愛製薬本社ビルから数キロ離れたビルの屋上で正面口を双眼鏡で観察していた。

 


「なあ? 鈴……いや今は大樹か?」


「今は私の方よお兄ちゃん。なに?」


「鈴か……。いやさ。本当にアリスとアカリの二人だけでいけると思うか?」


 

 心配なんだろう。真面目だけど正直者のアリス、丁寧と細かいという言葉からかけ離れたガサツなアカリ。

 この二人だけで潜入任務をこなせるのかって。

 


「いけるもなにもそれしか方法が無いって昨日も言ってたでしょ? だって私たちは良いも悪いもその道には有名らしいし。それに来栖さん達も無理だって言ってたでしょ」


「そうだけどさ〜」


 

 来栖さん達タスクフォースメンバーは大人過ぎるから無理だって言ってた。このファンタジアが動き出したタイミングで、親愛製薬に就職する大人は流石に警戒されてしまうだろうってさ。

 だからまだ学生である私たちがこの任務に抜擢された。

 それにあの人たちはこことは別の場所――ファンタジア本部へのガチ潜入任務を遂行するって役目がある訳だしね。


 

「来栖さん達の方は大丈夫にしても、問題はやっぱこっちだよな。もし……万が一にも問題が起きたりでもしたら――」


「あぁぁ! もうっ! どうしてそう後ろ向きな発言ばっかかな〜! お兄ちゃん、考えすぎないで? その為に私たちがここから監視して社内の動きをあの二人に伝えるって役目がある訳でしょ?」


 

 そう言って近くにある大きな機材に目をやる。

 パラボラアンテナが付いたパソコンみたいな機材という見た目。まるで未来のロボットが不思議なポケットから取り出しそうなそれは社内の監視カメラにアクセスして映像を覗き見ることができるという優れものだ。

 それだけじゃなく音までも拾ってくれるらしく、親愛製薬からこの離れたビルまでの距離まで効果が届くってとんでも性能。


 

『いや〜。この世界の技術って凄いよね? 科学の力ってすげー!』


『やめなさい。確かにそうよね……。普通に生きてたら出会えない物だけど、入隊してから見る物ほとんどがとんでもないものばっかだもんね』


『まあ一番とんでもないのはやっぱ戦機なんだけどね。あれどういう原理でどういった構造なのかも判明されてない訳だし』


 

 それを言われたらおしまいよ。まだ解明されてない謎の魔力物質であって、便利だから都合よく使ってるだけ。

 このままいけばいずれは魔力の正体について判明するだろうけど――


 

「今はそれどころじゃ無いわよね」


「ん? どうした鈴?」


「あ。いや、ちょっと大樹と話してた」


「大樹はなんて?」


「科学の力ってすげーってさ」


「なんじゃそりゃ」


「こっちのどうでもいい話ってことよ! あ。お兄ちゃん!」

 


 言って私は双眼鏡から見えた大人に引き連れられる少女二人――スーツを着た灼熱色の髪と、金髪の髪を捉え、お兄ちゃんのお尻を叩いて知らせた。


 

「ついに始まるみたいだな」


 

 そう。あれはアリスとアカリ。

 いよいよ二人の潜入が始まるって事。私は双眼鏡をしまい、後ろにある機材を弄り始める。

 電源を入れると、カメラが映し出され、社内の映像がズラリと並び、メインのカメラがその中でも大きく表示される。そのメインカメラは今は真っ暗だけど、これはアリスとアカリどっちかの胸ポケットにつけられた超小型カメラの映像だ。

 社内に入ってすぐに電源を入れてリアルタイムで中の様子が映し出される手筈なんだけど――


 

「二人が入った! そっちはどうだ鈴?」


「ちょっと待ちなさいよね――っと! ついた!」


 

 キーボードをカタカタと打ち込みこの場でやるべき設定を終える。ワイヤレスイヤホンを耳に押し込んでみる。

 カメラを切り替えるとその場所にいる社員の話し声が聞こえる。調整はバッチシ。

 お兄ちゃんにもう一組のワイヤレスイヤホンを渡して装着してもらう。

 そうしているとメインカメラに映像がついた。

 親愛製薬本社の正面口から中に入り、中の広いロビーが映し出された。


 

『へ〜。凄いっすね〜! この会社ってそんなもんまで作ってはったんですか〜?』


『ええ。皆さんにも知られてないような製品もありますので、今からの見学でまだまだ驚きの真実が明かされると思いますよ?』

 


 カメラの装着者はアカリね。アリスはっていうと……。どうやら緊張して言葉を話せないみたい。

 


『アリス胸大きいもんな。カメラつけたらバルンバルン揺れるしアカリが付けるのも妥当ってところだろうね』


『うーわ……学生相手に何言ってんのよセクハラよ? セクハラ。 ドン引きなんですけど……』


『事実じゃん! 本当のことじゃん!』

 


 だとしても子供相手にこんな発言するおっさんってどうなのよ。明らかアウトでしょ。後で茜さんに報告してお仕置きしてもらわなきゃ! ってそうなると私も必然的にお仕置きされる?

 


『オレタチニコイチ、シヌトキモズットイッショ!』


『キモいこと言わないで! 嫌よ! あんたと一緒に死ぬのもお仕置きされるのも!』


「鈴! 状況は?」



 そうだった。私としたことが……大樹のせいで大事な任務を放棄するとこだったわ。

 そうして私たちの任務が始まった。

 私はカメラで映像を監視、お兄ちゃんは外から見える動きの監視と、安全圏から二人をサポートするという重大な役目を始めることにした。

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