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4話 国際的観点

 猫が好きなのか茜さんは膝の上にやってきた猫を撫でながら顔が蕩ける程ニッコニコだった。

 まあ私の中にいる茜さんのお兄さんが猫好きなんだし、妹のこの人が嫌いなはずがないか。


 

 にしてもどうしてこんな所にいるんだろう。今は来栖さん達と一緒にファンタジアの動向を探るからって駐屯地に泊まり詰めで、息抜きする暇もないって言ってたのに。


 

「先生? もしかしてなんか分かったんですか?」


「え〜? なにが〜?」


「いやいや。何言うとりますのん。 ファンタジアですやん! こないなとこで寛いどるっちゅうことは何か情報を掴んだからこそちゃいますん?」

 


 アカリの言葉を受けて茜さんは猫を撫でる手を止めた。


 

「ふっふっふ〜。せやなぁ。丁度ええしここいらで内緒話といこか?」


 

 つまり情報をようやく掴んだってことなのね。

 それを今から話してくれるみたいだけど――


 

「ちょっとアリス。ア〜リ〜ス〜。大事な話するんだから今は猫を吸うのやめて!」


「やだ! 私猫吸うの〜! 吸って肺の中を猫で満たしたいの〜!!」


「な、なんやアリスちゃんってこないなキャラやったか?」


「いいや。先生。ウチもこんなアリスを見るのは初めてです〜」


 

 呆れた茜さんとアカリ。二人もそう言って眺めてないでこの猫狂いを止めて! じゃないと話が先に進まないわよ〜!


――――――――――――――――――――――――


「猫ぉ……」


「話が終わったらまた撫でたら良いじゃない。今はそれより大事な話があるでしょ?」


「そうね……」

 


 なんとかアリスを説得し終えた。

 彼女から猫を引き離すのはかなり苦労したけど……。

 にしてもあの吸われてた猫。なんであそこまでやられて平然としてたわけ? 普通猫ってあそこまで構われたら嫌なんじゃないの?

 


 『まあ人に慣れてるって言ってたから今までもアリスみたいな客もいたんだろうね』


 

 そういうものなの? 猫ってそんな融通がきく生き物なの? っとまあこの話は一旦置いといて――

 


「で。先生? 何を掴んだんですか?」


「せやな〜。あ。ちょい待ってな?」


 

 そう言って茜さんは咳払いした。

 


「はあ。これで良し。では今から私達が掴んだ情報についてお話ししますね?」


「おっ! 真面目モードやん! なんやえらい久々に見た気がするわ〜」

 


 と茜さんと沙織さんがどうやら入れ替わったみたい。

 茜さんより沙織さんの方が説明が上手いって事なのかな?

 


「そういえば雪也さんは今日は一緒じゃないんですね?」


「お兄ちゃんは今日は一人になりたいみたいで……」


「なるほど。年頃の男の子ですものね。そういう時もありますよ。そう言う事でしたらあなた達から雪也さんにまたお伝えしておいて下さい」


「分かりました」


「では、まずアリステラさんと雪也さんについてですが――」


「わ、私ですか?」


 

 そうだ。この二人はまだ入隊していないただの学生なんだ。このままズルズルと作戦に巻き込むわけにもいかないだろう事は気になってはいた。

 どうやらその話を今ここでするってことは二人の作戦参加について何か決まったって事なのかも。

 


「雪也さんは特例ですが、鈴芽さんと同じく特別強化実習生という形で自衛隊桜橋部への入隊が許可されました。これで作戦参加も私達タスクフォースと共に参加できるようになったわけですが――」


「あ〜。つまりあれか? アリスはドラゴニアの留学生やから日本の問題にはおいそれと関わることが難しいっちゅうことか?」


「まさしくその通りです」


 

 これは予想していたけどやっぱりそうなったか。


 

「ちょ、ちょっと待ってください! ここまで手伝っておいて外国人だから手を引けって言うことですか!?」


「仕方ないことなんです。今までは学校に対しての襲撃と囚人脱獄を阻止する為に行ったもの。ですが今回は違います。明確にファンタジア。この国の政治に関与する事になります。ドラゴニアに属するあなたが、そんなデリケートな問題に関わるとどうなるか――それが分からないアリスさんではないでしょう?」


「それは――そうですが……」


 

 分かってはいるけど分かりたくないと言った感じね。

 もし私がアリスの立場だったら今すぐ怒鳴り出すと思うわ。自我を保ってられるだけアリスは偉いと思うわよ?


 

「ですが。今のあなたは我が国のウィザード養成学校であるアルケミーに属しているのも事実。ですので今回は国家の問題という観点での作戦立案ではなく、当初の予定通り奏凍死塚の捕縛という一点のみに絞った作戦を決行する運びになりました」


「それなら外国人でもアリスが作戦に参加できるって事ですか?」


「はい。屁理屈的な言いようですが、ファンタジアと奏凍死塚が結託しているのは周知の事実。ですが、あくまで私たちの目的は奏凍死塚限定にしておく事で、彼女を匿う組織への介入の大義名分を得るわけです」


「つまりあれか? 邪魔はするけどあくまで囚人確保に来ただけやからあんたらには用ないで〜って事?」


「そういう事になりますね」


 

 飛んだ屁理屈じゃない。あとで何かしら文句を言われそうではあるけど、そうなった時には死塚の姿も見つけてるはずだし、囚人を匿う場面を見られたらそれはそれで自分達のやってることを世間に知らしめる事になるってことね。


 

「良かったじゃないアリス。これでアリスも私たちと一緒に作戦に参加できるってさ」


「ええ。良かったわ……」


「ですが、あくまで学生としての参加です。申し訳ないですが鈴芽さんと雪也さんのように特別強化実習生にするわけにはいかない事を承知しておいてくださいね」


「ええ。もちろんよ。そこまでされると国家利用だものね。大丈夫よ私もそこのところは弁えてるから」


「そういってくれて助かります。では本題に入らせていただきますね」

 


 そうして私たちは沙織さんから、ファンタジアの動向、これから奴らが何をしようとしているのかを聞く事になった。

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