45話
静けさを打ち破ったのは緊張感を伴ったタケノコの言葉だった。
『武司さん! あの人とりつかれてます。操られてるんです。影のモンスターシャドープリズンです。本体は影です』
武司達の視線が歌姫の黒い影に集まる。しかし一見普通の影だった。
「ククク、バレたら仕方ない」
歌姫の影は地面から立ち上がり漆黒の姿を現した。頭部に角が二つあり身長一メートル程の足が歌姫の足と繋がった幽霊のようなモンスターだった。シャドープリズンは右手にナイフを握り、その白刃を歌姫の喉元に当てる。刃先が歌姫の白い肌に触り赤い液体が一筋流れた。シャドープリズンは分別しづらい黒い目を見開き口角を上げる。
「この女を殺されたくなければ動くな!」
とシャドープリズンは歌姫を盾にしながら武司達から離れ始めた。武司達に焦りの色が浮かぶ。武司達には圧倒的に不利な状況だった。武司は集中していた。シャドープリズンの後方にバスターソードが出現した。音は無い。その武司が作り出した剣は静かに飛んで後ろからシャドープリズンの頭部を貫いた。血ではなく黒い液体が負傷した部位から流れ落ちた。膝をついたシャドープリズンは
「グギャー! お、俺様がこんな所で死ぬのか!」