表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
再召喚された三人は、世界を救わない  作者: 藤山理想
再起動編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/5

1#空白

視界が白く染まる。街を歩いていたはずの俺は、動いているような、あるいは停止しているような不思議な感覚を味わっていた。


この感覚は覚えがある。

20年前の記憶をなぞっていた。


やがて、白濁した空間が少しずつ晴れてくる。

足元に床の感触が戻ってくる。


白が晴れ渡るころには歩いていた街ではなく、赤い絨毯が敷かれた大きな部屋。

周りには怪しげなローブを纏った人達が遠巻きに俺を囲んでいる。


いや、俺らか?


俺以外にも人がいたようだ。


短髪で金髪の男。

茶色の長い髪が美しい女。

パッと見て2人とも俺と同い年くらいに見える。


「成功だ。やったぞ!」

ローブを深く被った者たちの歓喜の声が、石造りの広間に反響する。


この空気だ。

皮膚を刺すような魔力の密度。

現実世界では決して感じることのなかった、濃密で重苦しい気配。


「あれ?お前トールじゃね?」

聞き覚えのある声に振り返ると、ジャージ姿の金髪の男が俺をジロジロと観察していた。


「久しぶりじゃねーか!俺だって!リュウだよ!」


男の言葉に、俺は眉をひそめて顔をまじまじと見つめる。確かに、その骨格や目元の鋭さは、かつての記憶にある男そのものだった。


「タツヤか!驚いたよ。いつの間にそんな金髪なんて派手な髪型にしてんだよ」


俺は思わず口元を緩め、笑顔でそう答えた。


「会社辞めたから好きにしてやろうと思って金髪にしてみた!ってか竜也はやめろって!」


リュウがそう言って、昔と変わらない様子で肩を回してくる。

その屈託のない笑顔を見ると、二十年という時の隔たりが嘘のように感じられた。


「あんたらは変わらないわね」


背後から、事務的で硬質な声が聞こえた。振り向くと、凛としたスーツ姿の女がこちらを見つめている。


「絶対サキだな」


リュウが肩を組んだまま、女の顔を覗き込む。


「この冷たい言い方はサキだ」


俺もそう答えると、サキは不満そうに声を上げた。


「なんでちょっと悪口なのよ!」


その反応に、リュウは嬉しそうに声を上げて笑った。


「いやお前も変わらねーわ!久しぶりだな!」


「勇者パーティーの英雄達よ」


厳かな声が広間に響き渡る。俺たちは肩を組んでいた手をほどき、同時に音のした方へと顔を向けた。


そこには、中世ヨーロッパの王族を思わせる豪奢な装束を纏った男が立っていた。


「なんとなくだけどわかったぞ。俺は」

リュウが俺の方を向き、短く呟く。


「たぶんお前のその『なんとなく』は当たりだ」

俺もまた、リュウの言葉に頷きを返す。


背後から、サキが怪訝そうな声を漏らした。

「……二回目の転生とかってあるの?」

サキの問いに、周りをを見渡す。


見覚えのある紋章や、空気を漂わせる魔力の質に、確信めいたものがこみ上げる。


「わからんが……間違いなくここは、昔俺たちが救った世界だろ」

俺は周囲を一度だけ見回し、そう答えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ