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21 修了試験と一騒動?

ギャグパート増量セール!

 更に刻は流れ、市勢では終戦一周年記念式典が盛大かつ厳かに行われた。

 終戦後軍事裁判において、旧ドギヘルス軍軍事開発部特別顧問ラクーン・マドネスが「技術の反倫理的軍事利用」により特級戦犯とされた日まで一月を切った。

 つまりわたしが伝えたいことは何かというと、服役期間満了まであと1ヶ月と数日であるということだ。

(裁判は各地で約一週間にわたり行われた。)

 そして本日はジャクソンブートキャンプの最終成果確認日である。

 集大成である!

 

(「何で二回言ったにゃ?」)


(『表現を変える力の入れようね!』)


 さて、具体的に何をしているか説明すると、


(「あ、流したにゃ。」)


(『流されたわ♪』)


 ……何も言うまい。


「はっ!」


ボスッ!


「ぐえぇっ!」


 溝尾に抉り込んだ拳で、ザッコの身体が“く”の字に曲がる。


「おおぉっ!」


 横合いからトリアンダの急襲。

 まともにぶつかり合う必要は無い。


トンッ


 地面を蹴って“前”に回避。


「うりゃっ!」


 前には殴られ身体の浮いたザッコがいる。


ゴスッ…


「ぅえっ。」


 タックルの追撃を食らう形になるザッコ。


ゴロゴロッ


 縺れ合いながらも回転して受け身を取る。


「ぐきゅぅ…。」


 ザッコは完全にダウン。


「でりゃあぁっ!」


 回転が止まる間もなく、待ち構えていたベックが襲い掛かってきた。


グ、バッ!


 タイミングを計り、腕をバネに飛び跳ねる。


「げはっ…!」


 伸ばした足が丁度良くベックの顎にヒットして2ダウン。


ズササッ…


「っ!」


 しかし瞬間的に酷使した三半規管が悲鳴を上げ、着地のバランスを崩した。

 致命的な隙。

 背後にはトリアンダ。

 掬い上げるように迫る拳。


「貰っ…」

「て無いにゃ!」


ガシッ!


 振り上げられるトリアンダの腕を掴むと、その勢いで小柄なわたしの身体は容易く宙を舞う。


クルリ


 最高高度で身体を捻り次の動きに備えた。


「くそっ…!」


 察したトリアンダがわたしを振り払おうを試みるが既に遅い。

 宙に舞った身体は重力に従い落下する。


「とおぉ…、」


 アッパーが空振ったことで後ろに流れるトリアンダの重心。

 高さで増したわたしの荷重。

 着地地点を支点にそれらのモーメントを変える。


「やああぁっ!」


ズダンッ!


「ぐふっ!」


 結果としてトリアンダは弧を描き、腹から地面へとダイブすることとなった。

 3ダウン。

 敵は全滅。

 しかし残心は忘れない。


「そこまでっ!」


 ジャクソンの終了宣言に残心を解く。


「…うむ、まだ習熟したとは言えないが、一通りの技術は身に付いたか。」


 と言うことは…。


「…柔の業に限ったとはいえ、一年足らずの短期間で言うと優良に類する上達だろう。

 もう新たに教える技は無い。

 しかし未熟であることには変わり無い、今後励むも鈍るもそなたの心一つだと留めて置くように。」


 小難しく言われたが、要は「技は一通り教え終わったので後は自主鍛練」ということだ。

 つまりジャクソンブートキャンプの修了だ。


「お世話になりましたにゃ。」


 姿勢を正して一礼。

 礼で始まったわけではないし弟子というわけでもないが、教わった武術の心得にならい礼を尽くして終えるのが相応しいと思ったのだ。


(『この時のわたしは思ってもいなかったのだ。

  まさか数日後、あんな事が起きるなんて…。』)








── 3日後 ──


 シアがモノローグ風にふざけて言っていた、(くだん)の数日後である。


「では始めるぞ。」


 真剣味を帯びた声でジャクソンが言うが、なんてことは無い。


「「身体強化・握」…!」


 本日はマル主導でジャクソンに教えていた、|(森王)の力の制御の最終確認だ。

 と言っても大袈裟なことはせず、部分的な身体強化で魔力の操作精度を見る位だ。

 そして今は五感の強化の確認を終えて握力の強化を確認している。

 強化の度合いを見るためにジャクソンには拳大の石を握らせている。

 この検証は物理破壊を伴うため事故の発生率が存在するが、これまでの事故例から考えると大したことにはならないだろう。


(「…重ねてフラグを建てたにゃ。」)


 フラグと言っても結局のところは確証の無い“気のせい”である。

 重ねてというのもよく分からない。


(「魔法は願いを魔力で具現化しているのは知ってい

 るにゃ?」)


 突然始まったマルの魔法講座( (かっこ) 入門編 ) (かっことじ)

 

((それがどうしたにゃ?))


 今更であるし、現状と結びつかない。


(「願いは想い、想いは強い思いにゃ。」)


 だから魔法は漠然と考えるだけでは発現しないのだ。


(「そうにゃ。

  …でも何事にも例外はあってにゃ。」)


 それは初耳である。


(「例えば戦に赴く戦士の誰しもが思う「生きて帰り

 たい」という思い。

 それは魔法として具現化するには至らない。」)


 ふむ、興味深い。


(「しかし具現化しないだけであって魔力は作用して

 いる。

 一つ一つは僅かな作用であっても重なり合えばどう

 なるか?」)


 ふむふむ…、ふむ?


(「それは遥か太古の時代、魔法代わりに存在した魔

 法の根源と言える現象…“(まじな)い”となる。」)


 ……話の流れが怪しくなってきた。


(「呪いは戦に赴く戦士に、確かに勇気を与えた。

 しかし全ての戦士が生きて帰る戦は無いにゃ。」)


 こう言うのは好きではないが、事実として犠牲の出ない戦争は無い。


(「そして厄介なことに呪いは負の作用を起こし易い

 性質を持っていた。」)


 それが呪いが廃れ、魔法が発展した経緯というわけか。


(「呪いの効果は些細なもの。

 ゆえに“フラグ”も成立しないことの方がほとんど

 にゃ。」)


((脅かすにゃ、焦ったにゃろ。))


 相変わらず質の悪い…


「む…硬い、か?」


ググッ…


 中々割れない石に、ジャクソンは力を込めたようだ。


(「但しそれも“なんとなく”思っただけの場合で

 にゃ?

 …言霊って言うんだけどにゃ。」)


 嫌な予感。


「どうしたよ?」


「失敗か?」


 見物していたザッコとモウブが野次を飛ばす。


(「制御魔力量が多い奴の言うフラグは成立率が高く

 てにゃ。

 私らのようなの(神や悪魔)は総じて制御魔力量が

 多い。」)


「なんかひじょーにヤな予感がしてきたぜ。」


 ベック奇遇だな、わたしもだ。


(「3日前のシアの発言は、効果が地味な“(のろ)い”として成立したにゃ。

 そしてさっき、妖精猫族の中で魔素保有量の突出

 したピコが補強したにゃ。」)


「ぬぅっ!」


ピッ…!


 何故かジャクソンの握る石に小さな罅が入ったことを知覚した。


(「そうなると神かそれに類する存在でないと因果を

 ねじ曲げ直すのは不可能。」)


 予感が確信に変わる。


「ジャクソン待っ…!」


「ぬうぅん!」


パァンッ!


 制止は間に合わず、限界を迎えた石が弾けた。


「目がああぁ~~っ!」


「「「ぎぎゃああぁっ!」」」


 散弾と化した礫は、狙ったように見物していたベックとトリアンダ一味を襲った。


(「結果、こうなるにゃ。」)


 阿鼻叫喚である。


(『てら~っ!』)


 そして元凶は楽しそうに何やらを叫んでいた。

 「筋肉が石を握ると散弾になる。」

 本日学んだハイライトである。

















 

 



 

 



 

本話は楽しんで頂けたでしょうか?

楽しんで頂けたらお代は「いいね!」で結構です。


次回は27日19時更新


いつも読んでいただきありがとうございます。


ブックマーク、☆評価、いいね等、

よろしくお願いします。


感想、レビュー等もお待ちしています。

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