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2  ゴロツキ ×3 が 現れた !

チュートリアル戦


「……………。」


「「「……………。」」」


 見上げる一つと、見下ろす三つの視線が交差する。

 双方無言で向き合う様は、周囲が静まりかえるほどの緊張感を張らんでいた。


「良く聞け新入り!

 隊長はな第4宙域所属の中隊を率いていた大尉、エ

 リートなんだぞ!」


「しかもな!

 隊長の家はキャトラス軍三大派閥のフォレスト派の

 古参、トリアンダ家なんだぞ!」


 しばらく視線が合ったまま「え?これ、何か返さないと進まないパターン?」と思っていると、とりあたま?とかいう雄の取り巻き共が話し始めた。

 

(『時限式イベントで良かった(?)わ!』)


 未だにメタ発言ムーブをするご先祖様(シア)が楽しそうで何よりです。


「……………。」


「…もう良い、お前らは黙れ。」


 尚も無言でいると、ようやく(?)とりあたま自身が動いた。


「なあ、お嬢さん。

 お前のような下っ端には分からんだろうから教えて

 やる。

 ここから出たときにはな、大体が俺らみたいな奴の

 部隊に編入されるんだ。

 つまりここでの態度がその後に影響するわけだ。」


(『……?

 ねぇマル、わたし何を言っているのか理解できない

 んだけど…?』)


 素直なシアには、とりあたまの迂遠な言い回しは難しかったようだ。


(「つまりコイツは、イジメられたく無いなら媚びろ

 と言っているのにゃ。」)


(『ああ、そういうこと!』)


 マリーダ、説明どうも。

 そしてシア、そういうことである。


(「…で、どうするにゃ?」)


 ご丁寧にも、わたしたちが内側でわちゃわちゃしている間待ってくれているとりあたまへの対応を、マリーダが問うてくる。

 そんなの聞くまでも無い。


「それは良いことを聞いたにゃ。

 どうするかは後で、熟孝ののち検討することにさせ

 て貰う予定にゃ。」


 わたしの返答を聞いた三名は二つの反応を見せた。


「賢い選択だ。」


「そうだな、素直なのは良いことだ。」


(『え、言うこと聞いちゃうの?』)


 訂正、とりあたまの取り巻き二名とうちの天使( シ ア )が、わたしの返答を是と取った。


(「シア、違うにゃ。

 今のを訳すると、「おととい来やがれ」にゃ。」)


(『なるほど?

 マルは賢いんだね!』)


 マリーダがいささか訳し過ぎな、しかし正しい意図をシアに即座に教えていた。

 わたしのご先祖が眩しい。


(「…それ、遠巻きに自分も誉めてるにゃ?」)


 …だから“ご先祖”って、態々言ってんじゃん!


「テメェッ、優しくしてりゃ調子に乗りやがって!」


 そういうネタかと思うほどテンプレな台詞を吐いて、激昂するとりあたま。

 おそらく次に来る台詞は実力行使を示すものだろう。


「表出やがれ!

 生意気な新入りにルールってのを叩き込んでやる!」


 予想通りである。

 しかし困った。

 ルールを叩き込むと息巻くとりあたまは知らないようだが、刑務所(ここ)での暴力沙汰はご法度である。


チラリ


 こういった場合に静止に入るべく存在する看守に「どうにかしろ」と視線を送る。


……フイ


 数秒ばっちり目が合ったにもかかわらず、看守は目を逸らすだけであった。


(「ほら、やる許可が出たにゃ。」)


 いや出てない出てない。

 それに“やる”が殺るに聞こえるのも気のせいじゃないだろう。

 しかし看守に止める気が無いのも事実。


「いや、止めとくにゃ。

 ここのルールでは私闘禁止だった筈にゃ。」


 一応の拒否を示す。


「お前に拒否権は無ぇ。

 それにこれからやるのは指導だ。」


 そういう建前か…。

 

「今さら逃げんのかぁ?」


「調子乗った責任、とれんのか?」


 取り巻き二名の言葉に、周りを囲むギャラリーに同意するように頷く者たちも居る。


「………。」


 ここまで騒ぎになっていても黙りを決め込む看守。

 黙認ということが、その態度からありありと伝わる。


(仕方ないにゃ…。

 マリーダ、手加減するにゃ。)


(「(ぬる)い真似は勘弁にゃ。」)


 それは勿論だ。

 手加減と言っても死なない程度というだけだ。

 こうなったらとことんやった方が、結果として楽なものなのだ。


(『じゃあわたしが視ておくね!』)


 シアがその辺を受け持つのであれば、伸び伸びとやれそうだ。


「……わたしは止めとくって言ったんだからにゃ?」


 ギャラリーを味方につけ勝ったような顔をしているとりあたまに、渋々と言ったようにして席を立つ。

 

(「さぁ、どんな反応になるかにゃ…?」)


 マリーダの愉悦に満ちた呟きは、ピコはともかくシェツェナにすら届かなかった。


















~服役者ギャラリー~


 刑務所暮らしの楽しみと言える夕食時。

 比較的大柄なザ・犯罪者な出で立ちの輩たちが、この場所には似つかわしくない小柄なサバトラ柄の毛皮の雌に絡んだ。

 こういったアウトローの場では新顔に対する格付けが恒例となっている。


「…あいつ死んだな。」


 当事者を囲む群れの後方。

 若い雄が気の毒そうに呟く。


「ああ、あの娘も可哀想にな。

 よりによって「半殺し」に歯向かうなんてな。」


 耳敏く聞きつけた、呟いた雄と同室の雄が同意を示す。

 トリアンダはどちらかと言えば新入りの部類に入る。

 だが彼は入所当初に、現在入院中となっている前頭目を返り討ちにしたことで、表のボスに君臨したのだ。


「あ?

 お前知らないのか?」


 友と呼べる同室の雄の言葉に、話が食い違っていることを理解した雄は尋ねた。


「ベック、彼女のこと知ってんのか?」 


 ベックと呼ばれた雄は答える。


「ああ、よーく知っているさ。

 なんせ彼女はマルコシアス隊隊長なんだからな。」


「英雄が何でここに入れられてんだよ!?」


 軍関係者どころか、一般市民まで知られるビッグネームに驚く雄。


「因みに俺が士官学校にいた時の同期でもある。」


 哀れ、ベックと同室の雄は大口を開けてフリーズしてしまったのであった。

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