立花の帰り道で
「はあぁぁ~」
茜色に空が染まるなか、[祭 立花]の大きなため息が聞こえてくる。
数日前の高等部蓬栄祭でのバンドを終え、もうすぐ夏休みに入る七月後半、幼等部での手伝いが終わった帰り道、立花は憂鬱になりながら足を進めていた。
その理由は幼等部の子供達からのお願いにあった。
「どうしよぉ」
「何がだい?、立花ちゃん?」
急に声がして振り向くと[夜空 屋台]がいた。家が隣なので帰り道に会うことは別段めずらしい事ではないが、
「あ、屋台君も今帰り?、音兄ちゃんは?」
「音頭は大学部に用があるから、先に行っててってことで、オレも一旦帰ってから、夕飯の買い出しに行こうと思って」
「大学部蓬栄祭の話かな?、十月だもんね」
音頭は相変わらず元気である。
「それで立花ちゃんはどうしたの?、悩みがあるなら聞くよ」
立花は少し迷うような素振りをしたが、思いきって口を開いた。
「実は屋台君と音兄ちゃんに頼みたいことがあって」
「頼みたいこと?」
立花は幼等部で子供達からの言われた事を話し始めた。
「この前蓬栄祭でバンドしたじゃない、あれを見に来てた子が幼等部でも演奏してって言ってきて」
「別にいいんじゃない?、何か問題でも?」
屋台は躊躇なく言ったが
「ほら、この前音兄ちゃんの頼みに[イヤ]って言っちゃったじゃない」
「・・・」
屋台は無表情である。
「だから、どう言ったらいいかな~って」
「・・・」
屋台は無表情。
「屋台君?」
屋台が固まってるのに気づいた立花
「立花ちゃん、はっきり言おう」
「え、うん、何?」
「それは、アホな悩みだ!」
バッサリ言う屋台であった、
「ア、アホな悩みって」
ニヤニヤしながら屋台は言う
「試しに、内容を言わずにただ頼みがあるって言ってみな」
「え、内容言わなくていいの?」
「そ、まぁ、言えばわかるよ」
その時、ちょうど音頭の声が聞こえてきた




