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東方夢幻録  作者: 桜梨沙
第三章 兄と友への哀歌《ラメント》 〜Lamento
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第四十八話 二つの場所で行われる賭け

 ストン、ストン、ストン・・・・・・


 障子を開け放つ音だけが廊下に響く。


(ん・・・・・・?)


 何枚か障子を開け放っていたが、手を掛けていないのに開いている障子があった。中からは光が漏れており、話声が聞こえてくる。恐る恐る光に近寄り、中を覗く。そこには見覚えのある人影があった。


(あれは・・・・・・霊夢と、さとりと・・・・・・確か前、雲雀と戦ったときに治療してもらった・・・・・・あれ?名前は・・・・・・)


 そういえば前回ここに来たとき、彼女の名前を自分は尋ねなかった。しかし、前回の彼女の言動から、彼女が自分のこと何か知っているのは間違いない。


(三人で、麻雀?そういえば前、無理矢理麻雀させられたな・・・・・・)


 この女、相当麻雀が好きなのだろう。見たところ、席が一つ空いている。今、部屋に出ていけば、参加させられるだろう。


(しかし、今、麻雀はやりたくないんだが・・・・・・)


 寝起きだからかなのか、軽い頭痛がした。


(頭痛がひどくなるのは御免だからな、ここは大人しくさっきの部屋でゆっくりと・・・・・・)


 そう思い、部屋から、背を向けたとき、


「入ってらっしゃい、いるんでしょう?」


 部屋から女の声が聞こえてきた。


 ギクッ・・・・・・


 声に驚き、身体が硬直してしまう。


「あなたがそこにいるのは分かっているわ。早く出てこないと、無理矢理来させるわよ」


(逃げられない・・・・・・)


 本能的にそう思った自分は、大人しく女の言う通りに部屋に入る。


「レイ!!あんた、もう大丈夫なの!?」


 霊夢は驚き、椅子から立ち上がる。


「まぁな、傷はもう消えたみたいだ」


「傷が消えたって、あんたさっきまで出血がひどかったじゃない。それなのにもう傷がないなんて・・・・・・」


「おかしい、かしら」


 霊夢の言葉を遮って女がしゃべり出す。


「確かに、ありえないことね。でも、それは普通の薬を使ったらの話。私の薬は別。私の薬は即効性に長けている。そして後遺症もほとんど無し。副作用もあるけれど酷いものではないわ。まぁ、その代わりに治療費は高いんだけれども」


「この頭痛も副作用か?」


「まぁ、そうね、頭痛は飲ませた痛み止めの副作用。安心して、すぐに治るわ。それより、麻雀しましょう♪」


 この言葉がくるのは分かっていた。


「さっきまでしてたんじゃないのか?」


「えぇこの二人の治療費を掛けたゲームをね」


「治療費?」


「えぇ、あなたの分の一割、一千万を賭けたゲームをね」


「おいおい、ちょっと待て自分の治療費の一割が一千万ってどういう意味だ」


「どういう意味って、そのままの意味だけれども・・・・・・」


「自分の計算が間違っていなきゃ、自分の治療費は一億になるんだが・・・・・・」


「えぇ、間違ってないわ。あなたを含めた四人の治療費は一億。きっかりと払ってもらうわよ」


「おいおい、いくらなんでも、高すぎだろう?一億の治療費なんて、あんたはどこぞのモグリか!!」


「さっきも言ったわよね?私の薬は即効性に長けており、後遺症もほとんどない。その代わりに治療費は高いって」


 確かに先程この女はそういった。だけれども、高すぎる。


(いくらなんでも、払いきれないぞ・・・・・・)


 記憶の片隅に、大金を目にした覚えがある。


(あれは、確か・・・・・・)


 家に急に現れた銀のアタッシュケース。確か、その中に大量のお金があったはずだ。しかし、一億なんて金額あるだろうか。


(流石に、ここは交渉したほうがよさそうだ・・・・・・)


「治療してもらってて悪いが、その金額はさすがに飲めない」


「あら、じゃあどう落し前つける気なのかしら?」


「麻雀、そいつで賭けようじゃないか」


「ふーん、良いわよ別に。ちょうど、雲雀が抜けて三人になったところだったから」


 女は、そういうと雀卓に向かう。空いている席に自分は座った。


「でも、チャラにはできないわ。一千万、これが限度よ。」


「それで構わない」


 減額出来るのなら、結構である。


「あなたに親を回すわ。でも、これでオーラス。あなたは私から25000点取れたら、減額してあげる」


(25000・・・・・・)


 数回上がらなければ到底辿り着けに点数だろう。


(三倍満、もしくは役満で一回・・・・・・)


 しかし、この女から役満をかっさらうのは難しいだろう。前回、三人で打ったとき彼女は役満、国士無双を上がっている。


(仕方ない、少ない役で少しずつ、点数をかっさらっていくしかない・・・・・・)


 四人の前に手配が並べられ、ゲームが始まる。先程大きい役でも放銃されたのか、霊夢とさとりは苦い顔をしていた。


「ロン (ハク)のみ 1500」


「・・・・・・」


 牌が掻き混ぜられて、ゲームが始まる。


「そいつだ。ロン (ハツ)のみ 1500」


 再び牌が掻き混ぜられる。


「そいつだ。ロン タンヤオのみ 1500」


 三回ゴミ手で上がる。


「そんなんじゃ、25000点は遠いわよ?」


「別に構わない」


 女の挑発をかわし、牌だけに集中する。


「ツモ ツモのみ 500オール」


「もう、何なのよ、あんた!!すぐに上がって、あたしが上がれないじゃない!!」


 ゴミ手で上がる自分を見て、じれったいと思ったのか激を飛ばしてくる霊夢。


「どうせ上がるなら、もっと点数の出る役でこの女を狙いなさいよ!!」


「そういわれてもな・・・・・・」


「まぁまぁ落ち着きなさい、博霊の巫女。焦っても点数は取れないわよ」


「そうですよ、霊夢さん。何事にも忍耐というものは必要です」


 女とさとりになだめられ、霊夢は席に座り直す。ゲームが再開された。


「ロン ダブ(トン) 2900」


 五回目。


「ロン 白 (チュン) 2000」


 六回目


「ロン 平和(ピンフ) ドラ 2900」


 七回目。


「ロン 混一色(ホンイツ) 2000」


 七回ゴミ手で上がった。しかし、女に放銃は出来ておらず、500点しか奪えていない。減額までかなり遠い状況におかれていた。


(くっ・・・・・・どうすれば・・・・・・)


 さすがに、このままの状態を続けても、いずれ上がられてしまう。それに、霊夢の機嫌も悪くなっていく一方だ。先程以上の激はさすがに貰いたくはない。


(大きい役が欲しい・・・・・・ん?待て、確か・・・・・・)


 今まで上がった役を思い出す。


(いける)


 再び、牌が詰まれ、ゲームが始まった。


「なぁ、このゲームでラストにしよう。病み上がりだからか、少しまだ体がきつくってな」


「そうね、このままでは決着が着かないからそうしましょう」


「そうだ、確認なんだが、ローカル役はどうなってる?」


「別に複合しても構わないわよ」


「そうか」


「ポン」


 霊夢の出した中をとる。


「ポン」


 今度はさとりの出した白を。


(どう考えてもこれは、大三元(だいさんげん)ね。さっきのはローカル役の確認は役満へと注意を向かせないためのもの・・・・・・でも、あまりにも短絡だわ。勝利に目がくらみ過ぎてる。昔のあなたはこんな短絡なことしなかったのに・・・・・・残念だわ・・・・・・)


 役満 大三元。女は自分がそれを狙ったのと思っているのだろう。それゆえに發を二枚抱えていた女は東をきる。


「そいつだ、ロン」


「えっ・・・・・・」


 思わず、声を漏らす女。彼は手牌を倒した。それを見て女は計算を始める。


「中 白 ダブ東 混一色 小三元 対々和(トイトイ) 倍直(ばいちょく) 24000点。惜しかったわね・・・・・・さっきのツモと足しても500足りない」


「なに言ってんだ、48000点だ」


「えっ?だってこれ倍満・・・・・・」


「役満だよ」


 自分の言葉が信じられないのか、立ち上がって再び自分の手配を確認する。


「役満って言ったってこれ、大三元になってないじゃない。發は私が二枚抱えているんだから・・・・・・」


「誰が大三元での役満って言った?」


「えっ・・・・・・」


 どうやら、彼女は理解出来てないようだ。


「自分が何回上がったか覚えてるか?」


「えっ・・えっと、確かロン六回、ツモ一回、そして今ので・・・・・・まさか」


 どうやら彼女も気付いたようだ。気付いた彼女は脱力し、椅子にもたれかかる。


八連荘(パーレンチャン)・・・・・・」


 彼女はそう一言だけ言った。


「そう、八連荘役満だ」


「八連荘って何よ?」


 何も分かっていない霊夢が聞いてきた。


「えぇっとな、八連荘ってのは、他家(ターチャ)、つまり三人の前で八回連続で上がることだ」


「なに?そんなんででかい点数をたたき出せるの?」


「そんなのって、あのな、他家の前で八回連続で上がるってのは生易しいことじゃないんだぞ」


「そうですよ、霊夢さん。他の役満と違って一回上がるのだけでは駄目ですから、厄を作り上げる速さと牌がどこに有るのかを把握しとかないといけないんですよ」


「他のってどんなのよ」


「例えばですね、先程話に出てきた大三元。これも役満の一種です。比較的出しやすい役満で、レイさんが持っているこの中、白、そして發を三枚ずつ揃えることで完成する役なんです」


「ふーん、でも簡単そうね。でも、八連荘も対して変わらないじゃない」


「八連荘の難しさは八回上がるだけじゃないのよ。それに加えて、五回目の上がりからは制限が儲けられる。それをあなたはこなしていたわけね」


 自分の説明に補足を加える。


「たまたまな」


「どうせ發を出してても負けてたわね。どうせあなたは鳴く。そしてほら、そうしたときのあなたのツモ牌は・・・・・・」


 女が山から、一枚の牌をめくる。その牌には東という文字が黒く彫られていた。


「どっちにしろ上がられてたってわけね。この場合はダブル役満。つまり32000オール。しかも私はパオ。64000払う羽目になる・・・・・・どっちにしろ負けてたのね」


「・・・・・・」


「ローカル役の有無を確認した理由もわかったわ」


「どういう意味よ?」


「八連荘はローカル役として扱う場合もあるの。だから、勝負で役と認められていないこともあるのよ」


「認めてられてなかったら、レイさんの負けだったわけです」


「やられたわ。完敗よ。流石ね」


「そう言えば、あんたさっきレイなんかじゃ話にならないって言ってなかった。その割には負けてるじゃない」


「・・・・・・?誰が彼を弱いなんて言ったかしら?」


「あんた言ってたじゃない!!」


「あぁ、それは、彼が強すぎて私たち程度じゃ話にならないって言ったのよ」


「はぁ?」


「だから、彼は麻雀強いの。それを知ってたから、減額はやめにしようと思ってたんだけど、彼と久しぶりに戦えると思うと興奮して、つい勝負にのっちゃったわ。あーあ、大損だわ」


 女は天井を見上げ声を漏らす。しかし、その声からは全く悔しがっているようには思えなかった。


「ねぇ、私、そろそろ帰りたいんだけど、どこから帰れるのよ?」


「雲雀が帰ってきたら案内させるから、それまでゆっくりしときなさい」


 女は立ち上がると、部屋を出ようとする。


「あ、そうそう。あなたは駄目よ。あなたは一応私の患者だから、最低一週間安静にしてもらうわ。と言っても元気そうだから、私の手伝いをしてもらおうかしら」


「はぁ?どうして手伝う必要が・・・・・・」


「減額の代わりよ、九千万の代わりと思えば安いでしょう。いやなら、一億払ってもらうわよ」


「・・・・・・」


 女の言葉に何もかえせない自分。いや、何も言い返せないことを知っていて彼女は言ったのだろう。


(タチワリな・・・・・・)


「何か言ったかしら」


 女がこちらを睨んでくる。


「いや、何も・・・・・・」


「あら、そう。それならいいわ。あ、そうそう、博霊の巫女と覚り妖怪さん。治療費は払わなくて結構よ。なかなか楽しかったわ」


 そう言って、彼女は部屋から姿を消した。


「・・・・・・はぁ・・・・・・」


 彼女が消えた部屋には自分のため息だけが響き渡っていた。



 一方、そのころ、雲雀は、森の中で侵入者の捜索を行っていた。


「・・・・・・やはりあなたですか」


 雲雀が人影を見つけ、刀を抜く。


「この森への侵入は固く禁じられているはずです。特にあなたは、妖怪の賢者」


 刀を人影に向ける。


「あら、そうだったかしら」


 女は応える。


「知らないわけないですよね、八雲 紫。あなたは師匠から直々に言われているはずです」


「そんな事忘れちゃったわ。最近記憶がすぐになくなっていくものでね」


「そんなことは私の知ったことではありません」


「まぁ、今回はその師匠に用があるのよ。悪いけど、案内してくれないかしら?」


「案内ならしてあげますよ」


「あら、本当かしら?素直で助かるわ・・・・・・」


「・・・・・・地獄にね」


 その瞬間、雲雀は紫に襲い掛かる。紫はスキマで、逃げようとしたものの、スキマが使えず、雲雀の攻撃をもらってしまった。


「攻撃を喰らったのはお久しぶりですか?妖怪の賢者。そうですよね、いつもなら、スキマに逃げれますからね・・・・・・」


「どうして!!?」


「一つ、いいことをお教えしますよ。ここは特殊な空間です。特定の者以外、能力が使えないね!!」


 再び、雲雀は紫に襲い掛かる。今度は紫の攻撃を避けた。


「チッ・・・・・・頼りになるのは・・・・・・・」


(己の力のみ・・・・・・)


 そう覚った紫は、逃げに徹する。


(この不利な状態で戦ったところで、負けるのは目に見えてる・・・・・・助けも、能力も使えない、逃げ道もわからなくなった・・・・・・)


「ふんっ、面白いじゃない」


 紫は弾幕を周りの木々に放つ。


「道を塞ごうって、そうはいきませんよ」


 雲雀は倒木の上を軽々と越えて近づいてくる。


(考えなさい、八雲 紫。この空間を抜けるにはどうすればいいか・・・・・・)


 {・・・・・・どんな空間にはどこかに必ず穴がある。入り口という穴がな。無いように思えるのは違う方法で隠しているからなんだ、入り口を。それにな、特殊な空間からは風が外に吹き抜けてる。だから、もし、誰かの作った空間の中で迷ったら風を読むんだ。霧とか煙が充満しているなら、それらが流れていく方に向かえ、きっと出れる・・・・・・}


 記憶の片隅にあった、遥か昔の記憶。誰かが教えてくれた、生き延びる方法だった。周りを見る。霧が充満しているこの空間。霧はかすかにではあったが、雲雀がいる方向に、流れていっていた。


(・・・・・・最悪な方に出口があるとはね。今日はついてないのかしら・・・・・・)


 そう言って、木の裏に隠れる。


(・・・・・・どうしましょうか・・・・・・?)


 紫は雲雀の方をチラチラと確認しながら考える。どうやら紫のいる場所はわかっているらしい。ゆっくりとこちらに近付いてくる。恐らく紫を仕留められると思っている空の行動だろう


(ナメてかかってきてる・・・・・・)


 しかし、紫はそれを甘受していた。


(まぁ、仕方ないかもね・・・・・・自分は能力も使えない・・・・・・正直なところ彼女の能力すら分かっていない

 ・・・・・・)


 その間もこちらに近付いてくる雲雀。


「隠れてないで出てきたらどうですか?それともあなたはやはり腰抜けなんですか?」


 雲雀が挑発してくる。


(・・・・・・いつの間でもここに隠れておくわけには行かない・・・・・・)


 急いでじぶんが生き残るために知恵を振り絞る紫。しかし、こんな時にとって良い案というものは出で来ないもの、紫も出てこなかったようで、どうやら死の覚悟を決める。


(・・・・・・正面突破・・・・・・)


 頭の片隅にあった案。どうやらこの状況を打破する確率が高そうなのはそれだけのようだ。


(一番無謀だけど、一番生き残れる行動かしら・・・・・・)


 持っていた扇子を強く握りしめる。そして、木の影から出ていく。


「覚悟は決まりましたか?」


「えぇ、・・・・・・」


「では、一撃で・・・・・・」


「ここから生きて戻るって覚悟が」


 笑みを浮かべる紫。


「ほう、生きて戻るですか・・・・・・そんなことさせるとお思いで?」


 刀を握り直す雲雀。それとともに紫を睨みつける。


「では、良いでしょう。ここで息の根を止めてあげましょう」


 地面を生き追いよく蹴り、襲いかかってくる。


「氷刃 氷室(ひむろ)朔日(ついたち)


 冷気を纏った刃が紫目掛けて振り下ろされる。


 それを間一髪で避ける紫。しかし、雲雀は笑っていた。その瞬間、冷気を纏っていた刀が、急に冷気を失い、逆に炎を纏う。


「ッツ・・・・・・!!」


(冷気が急に・・・・・・)


 驚きが隠せない紫は、やけどを負った左方を押さえながら、その場で膝を折る。


「あら、先程の威勢はどこへ?」


「くっ・・・・・・」


(・・・・・・反撃・・・・・・を・・・・・・)


 苦汁な表情を浮かべつつも紫は立つ。


「ま・・・がご・・・と およづれ・・・ごと・・・・・・」


「!!」


 その瞬間、紫の姿が消える。雲雀も驚いたようで当たりを何度も見回す。しかし、雲雀の目が紫の姿を捕らえることはなかった。


「逃げられましたか・・・・・・まぁ、あれだけダメージを与えていればこの森で力尽きることでしょう・・・・・・」


 空を見上げる雲雀。しかし、濃霧のせいで空など見えやしなかった。


「八雲 紫・・・・・・私はあなたを許しませんよ。たとえあなたが死のうとも、永遠の苦しみを味合わせるまでは・・・・・・」


 雲雀は刀をしまい、屋敷へと戻って行った。


「・・・・・・」


 紫は霧を他よりに出口を探していた。しかし、紫の身体は先程よりの傷ついていた。まるで、何か刃物で斬られたような切り傷が無数にある。も、歩くのですらやっとのように見えた。


(で・・・・・・ぐ・・・・・ち・・・・・・?)


 霧が晴れ視界が一気に良くなる。それにより安心したのか、紫の身体は膝から崩れ落ちた。


(た・・・た・・・ない・・・・・・と・・・・・・)


 しかし、紫の身体は言うことを聞かなかった。意識もだんだんと薄れて行く。


(ここ・・・・・・で・・・・・・きをう・・・・・・しな・・・う・・・わけ・・・に・・・は・・・・・・)


 しかし、その抵抗も虚しく、やがて紫は意識をなくしてしまった。そんなところに通りかかったもの達がいた。人影は二つ。二人はか紫を見下ろしながら、何かを話しはじめる。


「あらあら、妖怪の賢者がこの様とは・・・・・・」


「おいおい、そんなこと行ってる場合じゃなさそうだぜ。これ危ないんじゃないか?ほっといたら死ぬぞ、これ」


「そうね、今紫に死なれちゃ困るものの。すぐに永遠亭に運ぶわよ」


「そうだな・・・・・・でも何でこんなとこんなところでボロボロになって倒れてるんだ?」


「・・・・・・」


 二人の内一人が辺りを見回す。


「・・・・・・恐らく、あいつに会いに行ったのね」


「あいつって、一人でか?馬鹿じゃないのか!!あいつは単騎で勝てるような奴じゃねぇだろう!?大体、紫はあいつをきらってたろ?」


「恐らく・・・・・・恥を忍んででも彼女に会わなければいけない理由があったんでしょう・・・・・・」


「紫直々に動くってことは、そいつは幻想郷を揺るがしかねないことなのか?」


「恐らくね・・・・・・最近の異変も関わってそうね。私達でも調べておきましょう」


「おう!!」


「じゃあ、運びましょう。あなたはそっちを持ちなさい」


「はいよ」


 二人は紫を持ち上げる。


「じゃあ、行くわよ。いち、に、いち、に・・・」


 掛け声に合わせて、二人は永遠亭へと紫を運び始めた。

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