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僕は無双が出来ない。  作者: 朝夜
幕間ってヤツ?
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シャルってばまた一人でどっか行っちゃって

 ――アルカディア学園・理事長室――

 

 

 

「……以上の点から推察して、学園内で感じた『邪気』と今回の試験を通じて僕等が独自に接触した『メディウムロイド』には、ほぼ類似している力を内包していたと思いました」

 

「ふーむ成る程ねえ。こちら側での動きも次第に活発化してきているし、そろそろ何か大きな動きを見せてくるかも知れないわねぇ」

 

「こちら側――と、言いますと?」


「後一週間で『ラグナロク』が開催されるでしょう? 表立って『誰かが何かをする』としたらそのタイミングが一番濃厚なのよ」

 

「ラグナロク。……ラグナロク? あれれ、それってなんでしたっけ……えーと確か……」

 

 

 ここ最近妙な忙しさも相まってか、珍しく素で忘れてしまっているシャルル。仕方ないとばかりに改めて説明しようとしたマーテルだった。

 

 

『――――ここの生徒同士が戦う学園きっての一大イベントですわよ』

 

 

 が、横にいたもう一人のエメラルドグリーンの髪色の女子生徒が唐突に遮る。

 

 

「ああそうだそうだ。……で、なんで『プリス』がここにいるんだい?」

 

「あら、居てはいけませんの?」

 

「いやそういう事を聞いてるんじゃなくて」

 

「別にワタクシとお母様がいてもなんら不思議ではないでしょう。むしろアナタがいる方が本来おかしいのであって……まあよいですわ。こんな話をしに来たのではありませんし、何より約束でしたものね」

 

「はて、約束?」

 

「とぼけないで下さいませ。二軍試験が終わったら『あのギルド』に探りを入れるのではなかったんですの? シャルルが事を大きくしないようにと釘を刺されてたから今までだんまりをしていたのに、少し時間が経ったらもうこの有様ではお話になりませんわね。かくなる上は【王女】の名の下に直々に成敗を――」

 

「ちょちょちょ、分かった分かったよ。勿論覚えているさ……」

 

「分かればよろしいのですわ。さ、早速行きますわよ」

 

 

 ここにいる時間さえ惜しいのか、ぶっきらぼうにシャルルの手を引いて部屋から足早に立ち去ろうとするプリス。

 

 

「いや待ってよ! 何の準備や情報も無しに行ったって意味がないでしょ!?」

 

「そんな前置きなど必要ありませんわ。とっととサブリーダーでもリーダーでも首根っこをとっ捕まえて洗いざらい吐いて貰えばそれで万事解決じゃないですの?」

 

「それじゃ結局大元からは逃げられてトカゲの尻尾斬りされて分からずじまいでしょ……。気持ちは分かるけどちょっと落ち着こうよ」

 

「なら何か具体的な案でもあるんですの?」

 

 

 それを言われた所で、シャルルは自分を掴んでいたプリスの手を軽くほどくと、マーテルへと視線を促す。

 

 

「マーテルさん、あれから『インテグレイト』の動きはどうです?」

 

「うーんそうねぇ。特にこれと言った動きは見せてないけど……。あ、そうだわ。所属数は過去最高になっているわね」

 

「ふーむ……。【カースドウェポン】の反応は?」

 

「相変わらずね。目立った反応はないけど、やはり外部との繋がりは保ったまま差し支えない程度に使用はしているようね」

 

「……なんなんでしょうね。これは『嵐の前の静けさ』……は大袈裟過ぎか」

 

 

 今までも特に表立った行動は見せていないだけにそれがより不気味さを増長させるが、無論このまま放ったらかしにしておく道理もない。

 

 ――ただ、それはそれとしてだった。



「ああ、それと『もう一つ』なんですが」



 この少年がわざわざこの場所に足を運んだのには『もう一つの理由』がある。

 

 

「うん? どうしたの?」

 

「先日試験で僕等も参加した時に、敵軍のボスである少女と邂逅して、戦って無事に勝ったのは勝ったんですが……。その……えと……」

 

 

 やけに煮え切らないシャルルに親子揃って頭に『?』が浮かぶ。

 

 

「その少女を保護……といいますか……。しちゃいまして……」

 

「……保護したんですの? それで、今何処に?」

 

「僕の部屋だよ」

 

「へえシャルルの……なんですってぇ!?」

 

 

 プリスが素っ頓狂な声を上げるのは無理もない。正式に認められた学園の生徒でもなければ、その関係者でも無い者を敷地内に入れるなど到底受け入れられず、実質無断で匿ってしまったのと同じだったからに他ない。

 

 

「黙って連れて来てしまった事は謝ります。ただ、あのまま行く当てのない一人の女の子を気を失ったまま放り出してしまうのも気が引けて……」

 

「ユートゥルナに引き渡してしまえばよかったんじゃないんですの?」

 

「まあそうするべきだったんだろうけど、とある人から彼女の事を託されちゃってね……。僕的には仕方なく……だけども」

 

 

 シャルルは改まってマーテルの前まで歩み寄ると、静かに目を閉じ、その頭を下げる。

 

 

「学園の規律に背いた行為――――本当にすみませんでした」

 

 

 そして、シャルルは彼女が何かを言うまでその姿勢のまま耐えた。

 

 

「……ふーん」


 

 やがて理事長が出した結論は『こう』だった。

 

 

「別にいいんじゃないの?」

 

「は――?」

 

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