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僕は無双が出来ない。  作者: 朝夜
5.二軍試験開始(この章は不本意ながら僕が紹介する事に)
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異次元からの供給源


「ヤバ、やり過ぎちゃった?」

 

「いや――そうでもないみたいだ」

 

 

 加減をすっかり忘れ、相手を焼き尽くしてしまいかねない威力にルルナは思わず狼狽えそうになるが、そこは相手にもそれなりの意地があったようだ。

 

 

「ほら、あそこ――」

 

 

 シャルルが指差した場所には、ルルナの魔法の射線中心軸からかろうじて逃れた機械巫女の姿。たったの一発でボロボロとなったレイシアの姿があった。

 

 

「肉体損傷……。修復……不可、能……? どうして……?」

 

 

 本来は原型を留めないダメージを受けない限り、身体を瞬時に癒す機能を持っているレイシア。なのに、その身体にどれだけ指令を送っても、一向に癒える気配が無い。



「馬鹿な……何故……! 一体どうなって……!?」 


「『ルルナの魔法』だよ」



 機械と魔法が調和した絶対の法則をいとも容易く覆され、狼狽えるロベルティにシャルルは至っていつもの口調で語りかける。

 


「僕もある程度今までの機械兵と戦って分かったけど、本体に何らかの指令ないし信号を送るにしても、それを実行するには大量のマナを消費するらしい。――――だけど」

 

 

 シャルルは指先をルルナに向けると、そのまま小さな炎を纏った魔法を直接放る。だがそれは、ルルナに当たる前に無数の粒子となって霧散した。そして、そのまま続きを述べ始める。

 

 

「そもそも身体が受け入れなければ、意味が無い。だからルルナはレイシアに単に魔法を放っただけじゃなく、【拒絶魔法アンチマジック】をレイシアに浴びせたんだ。全身に満遍なく行き渡り、かつ内部にまでしっかりと浸透するようにね」

  

 

 ロベルティの開いた口が塞がらない。魔法を拒絶するという言葉自体が存在している事がそもそもおかしく、一体どんな原理や仕組みで成立しているのかも見当がつかない。

 

 

「水や火などと言った普通のマナは得意とする属性を持ったり、苦手とする属性持ったりと相互関係が存在する。ただ、唯一例外とされる『光と闇のマナ』は互いに相反し交わる事が無く、ぶつかり合うと互いに反発し合い拒絶しようとする。その瞬間、狭間に強く生じる『斥力だけを捻出して』、それを僕達が独自に魔法へ混ぜ込む事で初めて【拒絶魔法】が生まれる」

 

「ふざけるなぁッ! そんな事、私も研究者の端くれとして知ってこそすれ、その反発力だけを取り出すなど、それこそ機械を用いた大掛かりな装置が必要となってくるのに、それを一人の人間だけで扱うなど夢のまた夢のはずだッ!!」

 

 

 ――――頭では理解出来ても、それを実践となれば話はまるで別。そもそも【拒絶魔法】というジャンルを確立させるには、いくつもの手順や困難を乗り越えなくては不可能なのに、それを目の前にいるただの少年少女が容易く現実化させているのがロベルティにとってこの上なく腹立たしければ、理解も納得も出来ない――――いや、したくなかったのだ。

 

 

「レイシアッ! もっとだぁ! 更なる力で……何としても、あの悪魔を討ち倒せぇ!」

 

「……了解しました」

 

 

 ロベルティは最後の手段に出る。修復が不可能ならば、それ以上の力で押し付けるしかない。レイシアの肉体は度重なる強化とルルナの魔法によってボロボロだったが、他に手段がないからこそ、レイシアは黙ってその命を受け入れるしかなかった。

 

 

(む、まだ力を解放する気か? なら……『丁度いい』かな)



 シャルルは彼女の内側から滲み出る力の仕組みを知る機会を、最初からずっと窺っていた。元から本気を出したくはなかったが、自らの片割れがあそこまで躍起になっていては、下手に手を抜く訳にもいかない。



「――行きます」


「もういい加減やめてよ……!」



 自らの意志とは無関係にガラクタのように扱われるレイシアに、ルルナは嫌が応にも顔を歪ませる。



(ルルナには悪いけど、今の内にちょっとだけ『拝見』させてもらうよ。――【走査探知魔法スキャニングサーチ・スペル】)



 探査の光がレイシアに向けて照射され、瞬きする間にそれは一気に通り抜ける。通った光は外部と内部の情報を網羅し、立体データとなってシャルルに送られる。

 

 

(どれどれ……っと)

 

 


 ***************

 


 ――個体名【メディウムロイド・レイシア】――

 


 ユートルゥナの巫女として短い人生を終えたレイシアが、シービス都市から流用された自己修復・自己生成の能力をもつ『ナノイック技術』をレイシアの体内にある『マナピースメーカー』にバァルの闇の力で融合させる事で機械と魔法の二つの力を手に入れた、新たに蘇った姿である。

 レイシアの体内に存在する『マナピースメーカー』を治す際、バァルはナノイック技術の一番の問題点であったマナの供給を、72体の悪魔が眠る『ソロモンズゲート』から直接レイシアに転移させる事で結果的に無尽蔵のマナを保有する事を可能とした。

 

 

 攻撃手段:生成武器によって変化。

 

 HP:312660

 MP:∞

 

 STR(腕力、攻撃力) S

 VIT(体力、防御力) D

 AGI(敏捷、俊敏性) S+

 INT(魔力、知力)  C+

 RES(抵抗、免疫力) B

 DEX(器用、制御力) A+

 LUK(第六感、直感力)E-

 

 火属性=B

 水属性=S

 風属性=A

 地属性=B

 氷属性=B

 雷属性=D

 

 光属性=C

 闇属性=S

 無属性=B

 

 

 ※固有能力・ユニークスキル

  

 ・『自己修復』

  ダメージを受けている場合、MPを20%消費して、3秒毎に最大HPの10%回復する。

  

 ・『自己生成』

  最大MPを10%消費して、レイシアの記憶領域に存在する武器を生成する。

 

 ・『無尽蔵』

  魔界に存在する72体の悪魔が封じ込められた【ソロモンズゲート】から常にマナが供給され、行動終了時にMPを全回復させる。

  

 ・『ソロモンズ・リベレート』

  ソロモンズゲートに眠る72体の悪魔の力を借りて、一体の悪魔の力でLUK以外の全能力を5%向上させる。

 

 

 ***************

 



(成る程ね……。基本情報はまあこんなものとして、問題は『中身』だね。本当にナノサイズの機械一つ一つにあの【淀んだマナ】が染み渡ってるのか)

 

 

 シャルルは更に詳しいデータを探るべく、そのまま【探知魔法】を継続する。

 


(主な動力源は心臓付近。ここら辺に『マナピースメーカー』と呼ばれる小型機械をベースにしてマナを送っているようだけど魔力量が尋常じゃないし、こんなんじゃ自我なんて壊れて当然だ……。しかもこれって……いやまさか……そんな……)


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