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僕は無双が出来ない。  作者: 朝夜
4.来たる二軍試験に向けてっ!
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あっちはうまくやってくれてるかなあ?

 

――エウリディーケ古代神殿・奥部(ダンジョンランク・『A』)――

 

 

 

「相変わらず、ていうか当たり前だけどアタシが来た頃と何も変わってないな」

 

「何やらお母様が随分と『賑やかな』ようね……」

 

「え? 何か言ったか?」

 

「なんでもありませんわ。さあワタクシも時間はそれほどありませんから、さくさくと進んで終わらせますわよ!」

 

 

 残された最後の一つの雫を求めてプリスとミュリア、そしてアムとリアンは大詰めとなる古代竜が生息する難度の高いダンジョンへ来ていた。

 といっても、敵のほとんどはプリスが我先にと薙ぎ倒し、他の3人はただ指を咥えて見ているだけ。ミュリアとしては最早慣れたものだが、他の2人はそうもいかない。おまけに入手した戦利品は全て投げ渡されるものだから、至れり尽くせりで逆に申し訳ない気分にすらなってくる。

 

 

「お二人が心配しなくとも、このクエストで最も評価に加わるのは最奥部にいる『カイザードラゴン』を如何にして倒すかですわ。道中の雑魚敵をいくら倒した所で、総合評価には大して影響はありません」

 

「わ、私はとても雑魚には見えないよぉ……。みんな魔法耐性が高い敵ばっかりだし」


「ここは後衛泣かせのダンジョンとしても有名だからな。間違ってもリアンは一人でここに来ちゃダメだぞ」

 

「そんな無茶な事する筈――あ、モンスターよ!」

 

 

 叫んだままに、リアンはいつもの容量で武器を構える――――間に現れたモンスターは全て一刀両断されていた。

 

 

「味気ねぇ……」

 

「時間がないと言ったでしょう。さ、間も無く最奥部ですし『ここから』ですわよ。お二人の出番は」

 

 

 プリスを先頭に、少し広くなった空間へと足を踏み入れると――――それまで神殿内に漂っていた空気の変化を4人は肌で感じ取る。

 


 姿は見えずとも伝わって来る、ピリピリとしたオーラ。


 初めこそ微弱だが、徐々に大きくなって来る巨大な魔力のプレッシャー。

 

 

 ――――そして、やがて目的のドラゴンは、空からやってくる。

 

 

「出やがったな……!」

 

 

 全身が銀色に輝く鋼の肉体。鉄すらいとも簡単に引き裂く大きく鋭いかぎ爪。一度羽ばたかせるだけで突風を巻き起こす二対の巨大翼。

 

 どれを見ても紛れもなく『皇帝カイザー』の名に相応しい出で立ちをする、偉大なる竜が4人の目の前に降臨した瞬間だ。

 

 

「わ、私はどうすればいい!? 魔法が通らないなら補助に徹するしかないの!?」

 

「リアンはデバフ系統の魔法は使えます?」

 

「多少ならなんとか……。バフの方が得意……かも」

 

「それでOKですわ。とにかく効果が切れないように適時発動させつつ、回復は最優先にしてくださいませ」


 

 作戦を考えている間にもカイザードラゴンは遠吠えをする。それを聞きかけつけたのはこの神殿に生息するドラゴンの一味だ。

 

「ボスお決まりの取り巻きってヤツかあ? アタシは周りの雑魚を出来るだけ引き付ける!」

 

「お任せしましたわ。――ミュリア、行きますわよ!」

 

「仰せのままに――!」

 


 槍と盾を構えたミュリアは潔く飛び出したプリスの後に続き、手慣れた連携でカイザードラゴン相手にも物怖じせず、巧みにダメージを負わせていく。

 

 一方でリアンも傍らでアムが引き受けている雑魚の集団にも目を配り、アムがやられてしまわないように最低限の補助も加える。

 


「でも、本当にすごい。攻撃がまるで当たっていない……これが魔法騎士序列一位の実力なのね……。ううん、見惚れてばかりじゃダメ……!」

 


 見ているだけでプリスの剣技に魅了されそうになるが、今はれっきとしたパーティの一員。加えてこれは自らの序列を上げる為のクエストでもあり、黙って見ているだけでは評価は上がらない。

 


(そうだ。私がつい最近修得したあの『魔法』を……!)


 

 ならばと――ここでリアンはある一つの魔法を試してみる事にした。


 

(今なら猶予がある。【探知魔法】――)

 

 

 

 ※※【カイザードラゴン】のエネミー能力※※

 

 

 

 攻撃手段:主に手や足

 

 HP:855400

 MP:4471

 

 STR(腕力、攻撃力) A+

 VIT(体力、防御力) B

 AGI(敏捷、俊敏性) C-

 INT(魔力、知力)  B

 RES(抵抗、免疫力) A

 DEX(器用、制御力) B+

 LUK(第六感、直感力)B

 

 火属性=A

 水属性=A

 風属性=A

 地属性=A

 氷属性=A

 雷属性=A

 

 光属性=C

 闇属性=C

 無属性=B

 

 

 

(光と闇の耐性は思ったより高くない。デバフが比較的通りやすいのもこの影響からかな。だったらやってみる価値は――ある!)

 

 

 リアンは目を閉じて、詠唱を開始する。プリスから指示された【強化魔法バッファースペル】の効果が途切れるまでにはまだ時間があると判断し、大きな隙を作ってしまうがそれに値するだけの事はできると信じた。

 

 

「プリス様、ご自愛を!」

 

「この程度の傷、戦闘に支障はありませんわ!」

 

 

 ――が、相手は強大な敵、皇竜族。いくらプリスやミュリアとて、本来大人数で相手にする敵をたった一人でするには当然無理が祟る。

 更に支援から一旦離れた代償として、前方で戦うプリスの傷を即行で癒す事は出来ずに今一度判断を求められる。

 


(後少し……なのに!)

 

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