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僕は無双が出来ない。  作者: 朝夜
4.来たる二軍試験に向けてっ!
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新たな事件の予感……?


 ――アルカディア学園・双子の部屋――

 



「ど、どどどど――」

 


 部屋に入って来た二人の姿を見てしまい、リアンはひたすらにどもる。

 

 それもその筈、

 


「さあ、二人のお望み通りに来てやりましたわよ。で、何をすればいいんですの? ワタクシはアナタ方に惨敗したのですから、最早煮るなり焼くなり好きになさい」

 

「どうしてアルカディア学園の第一位でもある『プリス』さんがこの部屋にぃ!? ねえちょっとルルナ、また何かしたの!?」

 


 混乱中のリアンはがくがくとルルナを揺さぶる。説明をしようにも、揺らし続けるリアンによって言葉すら上手く発せない。

 


「ほら、僕が最初に一位の人を連れてくるって言ったじゃないか」

 


 だからと言って『まさか本当に連れてくるとは』という想いが、わざわざ口に出さなくともリアンとアムの表情が全て語っていた。

 

 ともあれ、これで予定通り『皇竜の雫』は手に入る。急ピッチでガチガチに固められていたスケジュールも多少は軟化する事だろう。

 

 ――ただそれよりも、シャルルはかねてから『ずっと気になっていた事』があると、改まった態度でプリスに尋ねる。

 


「今学園で僕達よりも長く過ごしていて、かつ一位であるプリスだからこそちょっと聞いてみたい事があるんだけども」

 

「……なんですの、今更何か知りたい事でも?」



 シャルルは腕に装着していたアルカディアラインのとある情報を目の前に直接投影させ、全員に見える形にする。

 


「――――『インテグレイト』。このギルドに聞き覚えは勿論あるよね?」

 

「当然。ここ最近急速に実力と実績をつけ始めているギルドですわね。たしか過去に一度ヴァーテクスになった『グレース=ウィルレイン』とその姉の『グレース=シルフィア』が指揮を執っている、中々に手強いギルドとお見受けしますわ。それがどうかしまして?」

 

「ちょっと前にね、マルチパーティを組む事になったんだけど。……その、んと」

 


 珍しくシャルルにしては歯切れが悪かった。普段彼の言動を目にしているグローリィの面々も何事かと目を見張る。

 


「まあ今更隠したって仕方ないか、はっきり言うよ。――あのギルドの面々からは、僅かながらだけども確かな『邪気』を感じる」

 

「…………それはいつ、どこでですの? 何よりも、その『邪気』とやらはどういった『意味』を含みますの?」

 


 これもまたシャルルにしては、いささか抽象的な発言だった。単に『邪気』と表しても単純な闇属性としての話なのか、はたまた一般論における善悪的なものなのか。

 


「この世界には稀に使用者の精神や命そのものを削る代わりに、莫大な力を手にする事ができる所謂『呪われし武具カースドウェポン』が存在するってのはプリスは知ってるかい?」

 

「馬鹿にしないで下さいませ。そのくらいご存知です。…………まさか、それを身に付けている人が、この学園内にいるとでも言いたいのですか?」

 


 次いで、プリスとシャルルの間に割り込んだのはアムだった。

 


「おいおいシャルル、冗談はよせよ。『カースドウェポン』の使用はれっきとした犯罪だし、持ってるだけでもそれなりの処罰を与えられるんだぞ。そもそもアルカディア学園――っていうか『魔法騎士連盟』はその辺に関しちゃかなりうるさかった筈だぞ? 例えこっそり装備してたとしても外部からの異常検知としてすぐに引っかかるシステムになってるってアタシゃ聞いたぞ。何しろ『ヒトの命に関わる』モンばっからしいからなぁ」

 


 彼女も元は一軍で活躍していた実力者で、上に行く程、より厳しくなっていくルールや規律を肌で実感していたからこそ、それを掻い潜る事の難しさを分かっているのだ。

 


「ワタクシが言うのもなんですが、この学園に関してはその辺は特に強固な仕組みになってますの。装備効果の度合や他社に与える影響にもよりますが、過去には装着して停学や退学処分を受けたり、最も重いものだと魔法騎士資格永久剥奪、等といった違反者も何度か見て来てます。だけども、現在形で今も密かに身に付けられている生徒がいるなんて、噂ですら聞いた事がありませんわ」

 

「まあその辺はね、僕も最初は考え過ぎかなとは思ったんだけど……やっぱり『あの時のあの人達の動き』があまりにも腑に落ちなくてね。ルルナは覚えてるかい?」

 

「ええールルが? ……うーんそうだなぁ」



 少しずつ学園内で起こった出来事を過去の記憶から引きずりだしながら、やがて一つの結論を導き出す。



「あー。もしかして『ウィンドドラゴンと戦った時の事』言ってるの?」

 

「察しがいいね。流石は我が双子の片割れ」

 

「何その言い方、こわっ」

 

「まあ余談はこの辺にしといて、と。僕が感じたのはあのギルドの人達の戦い方に関してだ。……一言で表すならば、あまりにも『動きに狂いが無さすぎた』んだ」



 その言葉に反応を示したのはリアンだった。



「そういえばあの時もシャルルがそれに似た事言ってたね。今思えば確かに綺麗過ぎる動きだったけど……でもそれがどうかしたの?」

 

「リアンはあの人達が戦闘中、何か一つでも言葉を発していたかい?」

 


 その問いに、リアンは首を横に振る。

 


「ならば、それが『答え』かも知れないね」

 

「……ねえシャル。さっきから煮え切らない事ばっか言ってないでさ、はっきり言ったらどうなの?」

 


 いよいよ痺れを切らしたルルナを皮切りに、他の人達もそうだそうだと、首を縦に傾げて明確な結論を促す。

 


「要するにだ。あのギルドの連中は十中八九、『呪われし武具カースドウェポン』を身に付けていて、その支配下に置かれてる可能性が高い。それも下手すれば一人残らずね」


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