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僕は無双が出来ない。  作者: 朝夜
【第一部】1.学園生活はここから!
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超展開からの、超戦闘!

 ――テレスティアルコア・最奥核(ダンジョンランク『???』)――

 


 

「ほう、よもやここまでたどり着く人間が――ってまたアンタ達ぃ!?」


「いやーごめんクィスちゃん。また来ちゃったーてへ」


「てへ。じゃなくて! しかもその後ろにいる女の子誰よ? アンタ達が保護魔法掛けてるから生きてられるんだろうけど、そんなボロ雑巾みたいな子なんて1秒もあればマナの粒子になってるのよ!?」



 テレスとルルナの二人がまたぎゃあぎゃあと話合ってるが、シャルルは勿論リアンの事を忘れてはいない。むしろ今回に至っては彼女が主役でもある。

 


「えっとここはね、星の中心にあるテレスティアコアっていう場所なんだ。まあ世間で言う『隠しダンジョン』だと思ってくれればいいかな」


「星の……ちゅ中心!? そ、そそんな場所に私を連れて来て、どうするつもりなの!?」


「特に何もしなくていいよ。ただ『僕等が戦う』のを近くで見てくれればいい」



 ――すると、今までルルナと会話していたテレスがシャルルの言葉に反応する。

 


「ん、また戦うの? 別にいいけれども、その子はどうするの? 早く何処かへ連れてった方がいいと思うんだけども」


「ごもっともだけど、それじゃ意味がないんだ。僕の最大の目的は『リアンに戦闘経験を積ませる』事だからね」



 成る程そうなのか。

 と誰もが頷くと、その次には『え?』と全員目を丸くしてシャルルを見つめる。

 


「シャルル!? 正気なの!? 私は戦いなんか碌にした事がないって言ったばかりなのに! スライムと一緒に戦おうとしているモノなのよ!?」


「だからこそだ。元が弱ければ弱い程、手に入れられる経験値は莫大になるからさ」


「あーなるほど……。だからシャルはここに連れて来たんだねー?」


「ここなら学園。いや世界中の誰にも目を向けられないダンジョンで好都合だし、何よりクィスティアという敵が強大だからそれに比例して経験値もとても豊富になる」



 一見回りくどそうだが、理屈としてはとても単純な話だった。弱いリアンを一気に育てる為に、最も難しいダンジョンでしかもそのボスと共に戦う事で莫大な経験値をリアンに吸収させる。

 が、やはりというかクィスとしては複雑も複雑だろう。

 


「話としては分かるけど……戦う以上は本気でばんばん魔法使うし、万が一致命傷になったとしても責任なんて取れないわよ」


「それに関しては心配しなくていいよ。全力で守るからね。……だから、今回はテレスも本気で来てほしい」


「……そのリアンって子も言ってたけど、正気なの? 流れ弾にでも当たったら簡単に消滅しちゃいそうな子を護るだけの価値はあるの?」


「あるさ。ルルナが身体を張って守ろうとした『友達』だからね。だったら僕も身体を張る義務がある」


「シャル……」



 とても意外そうな目で見つめるルルナ。普段は合理主義で事なかれなシャルルがここまで感情的に動くのは久しぶりだった。

 


「――分かったわ。そこまで言うなら、後は何も語らず本気で戦いましょう。この『クィーン・オブ・テレスティア』が全力を以って相手してあげる」



 その言葉を放つとともに宙にふわりと浮かび、目を閉じながら何かを詠唱して呼び寄せる。

 


「来なさい――『テレスティアル・セブンスオービット』。私を護り、そしてかの者を打ち砕きなさい」



 テレスの命によって出現したのは、七つに分かれてふわふわと浮遊するビット。

 それぞれが意志を持つようにして独立した動きを見せるオービットは、文字通りテレスの盾にも矛にもなる。

 


「火、水、風、地、光、闇、無。七つの属性を持ったこの子達を破らない限り、私には傷一つ付ける事すら適わない。最初はアンタ達の力量を見極められなくて敗北してしまったのもあるけど、今回はどうかしらね?」


「相変わらずクィスティアは自信満々だ。でも、それでこそ僕等が勝つ意味があるってものだけどね」


「なら、やってみなさい――!」



 誇張でも慢心でもなく、クィスティアはあくまで真実を語るだけ。その絶対的自信を打ち破ろうと最初に飛び出したのは、ルルナだった。

 正面切って突撃すると――次の瞬間、リアンはおぞましい光景を目にする。

 まるでセンサーに感知したかのように働いたセブンスオービットは、ルルナ目掛けて魔法を撃ち放ったのだ。そして放たれた魔法は全て最上級クラスに属する魔法ばかり。

 並の人間ならば灰さえ残らず、屈強な冒険者で骨が残る程度。エースオブアルカディアと呼ばれる魔法騎士でさえ瀕死は免れない威力に、リアンが今まで見て来た『魔法』という存在は、概念ごと消し飛ぶ。

 


「――シャル! 今だよ!」


「任された。無属性魔法――メテオリックレイ! あのオービットを撃ち抜け!」



 シャルルの掌から放たれたのは光速で駆け抜ける三つの魔導圧縮砲。炎、風、闇を司るオービットの芯を撃ち抜きガラスの砕けるような音と共に砕かれる。



「ルルもいっくよー!」



 服のあちこちを焦げ付かせながらも、その表情には痛がる様子もない至って快活なルルナだった。

 


「殴ってこそ真の物理! ぶっ壊れちゃえー!!」

 


 地のオービットに目を付けたルルナは迷わず殴った。――がヒビが入るに留まり、壊れない。その勢いで回し蹴りをすると、そこでようやく破壊できた。

 


「次っ! 炎魔剣レーヴァテイン、あの水オービットを斬り裂いちゃえ!」

 


 何処からか伝説の魔剣をいきなり呼び出すと、その勢いを崩さずに今度は水のオービットを真っ二つにする。


 

「あれれー? クィスちゃん本気出した割にはあっさり壊れちゃったねー? もう残り二つだよー?」

 


 後ろを見守るクィスティアに対しルルナはわざとらしく煽る。

 だが、そんな挑発は【女王】の微笑みでいとも容易くかき消される事になる。

 


「今回はオービットにちょっとした細工を施しててね。一つでも残ってると『3秒後に全体蘇生魔法(オールリザレクト)』が起動するのよ」



 双子が目を丸くするのと、オービットが魔法を唱えて一瞬で蘇るのは同じくらいのタイミングだった。その間にクィスティアは反撃行動に出る。

 


「さて、今度はこっちの番よ。私も動くから攻撃を当てるなら今の内よ? ――当てられるならね!」

 


 マナの結晶で構成されたマナリアブレイドを片手に、セブンスオービットと一転攻勢に出る。正面から迎え撃てば死角から放ってくるセブンスオービットの攻撃に翻弄され、かといってセブンスオービットを狙っても異常速度の回復力にまるで手に負えないイタチごっこと化す。

 明確な具体策を打たないままセブンスオービットを相手にするだけで、体力や魔力を悪戯に消費する双子は焦りの色を隠せない。

 


「あれ……クィスちゃんってこんなに強かったっけ……」


「星の【女王】って二つ名は伊達じゃないって事だね」

 


 弱気になってる間にもクィスの猛攻は続く。双子がいかに強かろうと、持っている魔力には限りがある。このままではじり貧になるのも分かっていた。

 


「ねえシャル。このままダラダラやってても多分負けるし、思い切って『全力出して』みない?」


「……くそっ。不本意だが仕方ないね。でも今の僕等じゃ稼働時間はせいぜい5分程度だし、それでしくじれば今度こそ負けるよ?」


「ふふーん5分もあれば問題なっしー!」

 


 一度大きく後退し、クィスティアとの間合いを図る。

 普段はどんな相手と戦っても、息を切らす事のない双子だが、本気で戦わないと対等以上に戦えない相手が三人程いる。それは勇者アルクに魔王マリス。そして今目の前で相手をしているクィーン・オブ・テレスティアだ。

 


「あら、違う手にでも出るつもり?」


「クィスちゃん。悪いけど一気にカタをつけるよ。『ルルの真の姿』を見せてあげる!」


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