その後
その後彼は数か月日本に滞在した(らしい)。
高校に通っていないウィリアムは時間がたっぷりある。それで日本語学校に通いながら、日本を味わい尽くそう(主にゲームだけど)と決めたらしい。
一度小栗家の夕飯に招待した時に
「久しぶりに野菜を食べた」
などと言っていて、本気で彼の食生活が心配になったのだけれど、私にはもう手出しはできない。できれば週に一度でもご飯を食べに来てほしいところだけど、私にその権利はない。ただ黙って、正しい家族の在り方、食卓の在り方を見せるだけだ。この一度だけで彼が学ぶことはないだろうけれど、この空気を心のどこかに覚えていてくれたらそれで良い。
それでも夜遊びは目に付く。
「あのねえ、君はまだ子どもなんだよ?」と言っても
「違う。僕は子どもじゃない。ヤングアダルトだ!」
と言いやがる。そういうことを言ってるんじゃない(こういうことを言うのは子どもなんだよ)!連日12時近くまで遊び歩いても誰も何も言わないだろうけれど、それでも君はまだ常識のない未成年者なんだよ。
そんなことも伝わらない。
そうしていつしか、メールを出しても返信が来なくなった。
どうやら無事にアメリカに帰ったのだろう。そのうちまた、いづみに連絡してみようと思う。
6週間家族は6週間モたず、崩壊してしまった。そうして私たちの関係もこれにて消えてしまった。
日本の後にフランスに行くと言っていたっけ。
どこに行っても、あなたはあなたらしく生きていくんだろう。優しいイケメン、グルメで金持ち、そしてノリで世間を渡る、他人の気持ちに疎いあなた。
あなたの幸せを願いつつ、まともな大人になれよ、と祈っている。
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そろそろウィリアムはアメリカに帰ったかな、と思っていた頃、いづみからラインが来た。
なんと、ウィリアムはJの家に泊まりに行ったそうだ。いづみが「仕事から帰ったらウィリアムがいてびっくりした」という感じだったらしい。
数日Jの家に泊まり、帰る時に「小栗家を紹介してくれてありがとう。とても良い家族で親切にしてもらった」と言っていたそうだ。
ウィリアムからは言われなかったけれど、それがウィリアムの精一杯の私たちに対する「よろしく」だったのかなーと思う。
これにてウィリアムとの6週間家族は・・・あ、蛇足でもう一話!




