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滅びと救いの彼方まで  作者: ナザラ
プロローグ
2/17

滅びた王国と姫と騎士 2

世界の中心と言われる人王国。世界を救った人王オーガインが納めた国家であり、人類最大の国である。

人王オーガインはその圧倒的な強さで魔王とその配下達を滅ぼし、人類に希望をもたらした。そして、今まで人王国一つだった人類の居場所を8つの国を作ることで人類は大繁栄を迎える。

その国の一つがオルフェン王国だった。






「んっ……」


喉の乾きで目が覚める。小鳥が鳴く今日はよく晴れた晴天だった。本当ならベッドの上で目が覚めて天気の良い今日に心動かされるはずが、昨日の王国崩壊から一夜あけ、川沿いの元オルフェン王国領土森林地帯に身を隠すように過ごしていた。

一夜にして起こった惨劇は未だに自分の中で整理がつかず夢なのではないかと何度も疑った。


「夢じゃないんだね」


川の水を飲み、顔を洗ったカリーナはポツリと水面に言葉を落とす。

心底疲れきった顔が鏡のように水面に映り、この先の不安を感じさせる。


「行かないと」


ここは、オルフェン王国から南に20キロの場所。もたもたしていたらいつ敵が現れるか分からない。早急に動く必要がある。それに、行き先が無いわけでもないのだ。

目的地はここから10キロ先のカンバロッタと言われる町で別名冒険者街とも言われている。そこにいる元オルフェン王国最強の男に会いに行くわけだ。


その名前は…


「ザルドぉ……?知らないなぁそんなやつは」


カンバロッタの中心地に建ててある冒険者ギルドで厳ついギルド職員とカリーナは話していた。内容はもちろんオルフェン王国の最強の男、ザルド·オーヴァンについてだ。


「じゃあ、三年前に全身鎧の青年がここに来ませんでしたか?」


当時19歳のザルドはオルフェン王国でとある問題を起こし、兵士長の地位を剥奪。その後はカンバロッタで冒険者をしていると噂があった。

その事について質問をするとギルド職員は少し生えた顎髭をかきながら少し考えて。


「三年前と言われてもな…、でも、めちゃくちゃ強い男なら知ってるぜ。黒髪で20歳くらいの男で大剣を携えていてな、一番印象的なのは手の甲のプレートに円形の渦巻きみたいな紋様が入った変わった装着をしていてだな、あれは一度みたら…」


「本当ですか!」


言葉を遮るように大声で、しかも受付の机に身を乗り出してギルド職員に攻め寄る私に、得意気に話していたギルド職員の厳つい顔がひきつっていたのは今でも覚えている。


「お、おう…確かだぜ、でも会いたいなら今はクエストに行ってるから後で…」


「どこにいますか?」


「えっ…ここだが」


そう言うと目的地だけ描かれた小さな地図が出され、それをすかさず手に取り頭を下げた。


「ありがとうございます!」


終始受付に身を乗り出しっぱなしだった私はその情報を手にギルドから出た。受付のいかつい男は何だったんだ?とカリーナに疑問しか残らなかった。

 



「急がないと」


ザルドの居場所を教えてもらった私はカンバロッタの中心地であるギルドを出て、人並みの多い通りを抜けていく。

カンバロッタとギルドを一直線で繋いでいるこの大通りは貨物馬車が人の波を掻き分けるように通り抜け、様々な出店では飲食店や道具屋、武器屋等が鎮座してたくさんの人がそこで買い物をしている。

 

「…冒険者がこんなにいる」


辺りを見渡し、その冒険者の多さに驚きを覚える。カンバロッタの人口は約6万人と言われており、その中の約2万人が冒険者だという。

冒険者事態はそこまで珍しくはない。オルフェン王国にも何人か冒険者が住んでいた。しかし、人口の3人に1人が冒険者だというのはカンバロッタだけだろう。


「今年もあんたら冒険者が魔物を退治してくれたおかげで野菜がよく育ったよ。……これ、少ないけど貰ってくんねぇか?」


「じぃさん、俺達はきちんとギルドから報酬を貰ってるから要らねぇよ」 


というような会話は度々聞こえてくる。カンバロッタに住む市民は冒険者に感謝してるし、冒険者もきちんとギルドから支払われる報酬に満足しているようだ。

ギルドを通さない依頼だと金を踏み倒されたりしてしまう事があるらしい。だから、ギルド本部があるカンバロッタに冒険者が集まるのだろう。


「ザルドが冒険者をするのも分かる気がする。あいつはこういう仕事の方が向いてるのかもね」


昔のザルドを思い出しながらカンバロッタの出口に向かっている途中で足を止めてしまうような会話を耳にしてしまった。


「なあ、聞いたかあの話」


「あぁ、聞いた聞いたオルフェン王国の話だろ」


それは私の故郷であるオルフェン王国の話であった。顔はそちらに向けず、あくまで耳だけを傾け内容を聞く。


「あの八王国やおうこくのオルウェンが一夜にして崩壊だってよ。そんなことありえるのかよ?」


「なんでも、七色宗教ななしょくしゅうきょうが関与してるとかしてないとか……どうなってんのかね今の状況は」


「七色宗教!?」


思わず声を上げてしまった私はすぐさまその場を離れた。とりあえずカンバロッタから出て思考を巡らす。


(八王国はオルフェンを含めた8つの主要国家だけど、それよりも七色宗教が関与してるってどういうこと?)


七色宗教は、火、水、風、土、雷、光、闇の七つの属性を司り、それぞれが世界が始まった起源だと主張する宗教団体のことである。基本的にはどの宗教も穏やかで無理矢理宗教に入れようなんて考える信者はいない。

しかし、闇と火は別だ。それはちょうど三年前に火の信徒、聖火教が起こしたテロ事件でその場にいた町民80人が死亡、その事件がきっかけでザルドはオルフェン王国から去ったのだ。


「もしかしたら…!」


あらゆる考えを巡らせてたどり着いた一つの答えに私は急いでザルドのいる場所へ向かった。















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