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幼なじみの恋人は僕の友達 友達の幼なじみは僕のXXX 〜Crossroad Cantata (3) / Melancholic Minuet〜  作者: 御子柴 流歌
第2曲: アフロディーテ

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2-17-A. 久しぶりの作業予定は


 先日の雨模様とは打って変わっての好天。

 むしろじりじりとした陽射しが顔や腕に突き刺さってくるくらいで、日焼けをするとすぐに真っ赤になるタイプとしては困った陽気だった。


 水曜日。

 部活は休み。

 そうなると放課後、自然と足先が向くのは校舎裏にある行燈テントだった。


 しっかりと作業に関わるのは久しぶりだが、ものすごい変わりようだった。

 主要なところの電飾はほぼ付け終わっているし、その周辺の骨組みも概ね完成形と言ったところ。

 細かなパーツの完成度が低いのはやや気になるところだが、それはまだどうとでもできるレベル。

『男子、三日会わざれば刮目(かつもく)して見よ』なんて言葉があるが、行燈も三日経てば目を思いっきり開いて見るべきなのかもしれなかった。


「それにしても、すごいなぁ」


「だろ?」


「いや、井ノ原(いのはら)がドヤるのはちょっと違う」


「いいだろ、少しくらいっ」


 サッカー部のユニフォーム姿の井ノ原くんが胸を張るが、すぐさまツナギ姿が当然のように様になっているの二階堂(にかいどう)くんがツッコミを入れる。

 ここは二階堂くんの言うとおりで、作業リーダーとしての役割をこれでもかと果たしているのは紛れもなく二階堂くんだった。


「ウソだってば。この辺は井ノ原がバッチリキめてくれたおかげだから」


「最初っから素直にそう言えよ!」


「そういうところだよ!」


 聞き慣れた喧嘩漫才だった。

 いつ来てもこんな調子で雑談しまくりの我がクラスだが、これでいて作業はしっかり進んでいるようなので大した物だった。


「今頃どうなってるのかなぁ、野球部」


 ぽつりと井ノ原くんが零す。


「羨ましいなぁ」


 そう言って、井ノ原くんは遠い目をする。

 サッカー部は残念ながら、夏の大会は初戦敗退をしていた。

 もう少し長い夏を過ごしたかったのだろう――。


「あー……」


「イイよなぁ、授業休めて」


 ――全然違う理由だった。


 今日も残念ながら祐樹(ゆうき)たち野球部は不在。

 そのためテントの中の人員は思った以上に少なかった。

 いろんなパーツが載せられているせいでテント内の空間は狭くなってきているので、そこまでのゆとりは無いけれど。


 野球部は無事一回戦を勝ち抜くことが出来ていた。

 祐樹たちから勝利のメッセージが飛んできたのは、帰りの地下鉄車内。

『テンション上がりすぎてDM出すの忘れてた』ということで、とくに何の問題も無い、単純な連絡の遅延という話だった。


 相手の戦力はほぼ同格だったということで、試合は八回までもつれたとか。

 翌日の新聞やニュースに簡単なスコアが掲載されていたが、三回と五回にそれぞれ二点ずつを取り合ったまま最終回に一点をもぎ取った我らが月雁高校が何とか勝利した、という流れだったようだ。

 初戦から熱い戦いで何よりである。


「ところで井ノ原くん」


「ん?」


「ココで油売ってる場合じゃなくね?」


「……あ!」


 回れ右、そのままテントを飛び出していく井ノ原くん。

 間違いなく油を売っている場合じゃなかったようだ。


「今日の相手って、厳しいんじゃなかったっけ?」


煌星(こうせい)だったはず。……まぁ、かなり厳しいわな」


 煌星――正式には久方(ひさから)煌星高校。

 星宮の東隣にある街の私立校。高台の上にあるという、なかなかマンガチックな立地条件にある学校だった。

 スクールバスに遅れると、なかなかの急傾斜をダッシュするか最寄り駅からタクシーを使わないといけない、とか言う話を中学時代の友人から聞いたことがあった。


「勝ったらミラクル、って感じかな」


「なるほどな……、あ」


「どした?」


 細かいところの針金作業をしていた二階堂くんは、突然不安になるようなトーンになる。

 彼の方へと近付いて確認してみる。


「あー……、なるほど」


「……うん」


 申し訳なさそうに唸って、彼は作業用バッグを見せてくる。

 針金のストックが心許なかった。

 場合によっては今日の作業中に使い切ってしまいそうなくらいだった。


「買ってこようか?」


 それほど変わったアイテムでもないので、この前みたいに自転車を借りて行かなければいけないような買い物ではないはずだ。

 何なら近くのスーパーに入っている百円ショップの園芸コーナーでも充分かもしれない。


「悪い、頼む」


「おっけー、おっけー」


「スマン、マジでスマン。いやー、まだあると思って油断してた……」


 申し訳なさそうな二階堂くんを宥めながら、ボクはさっき着たばかりのツナギを脱いだ。



どうでもいい話ですが、一度でイイから全校応援というモノをしてみたかったものです。

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