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Arms Creator-アームズ・クリエイター  作者: 御子柴奈々
第3章 Qualia-Nature or Nurture-
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第104話 七条歩 VS 有栖川華澄 5


「……武器創造クレアツィオーネ



 歩がそう呟くと、両手から大量のワイヤーが放出され……それが一気に武器の形をなぞっていく。そして、1秒と経たずに彼の両手には一般的なものだが、ブロードソードが握られていた。



「なッ……」


 それを見た華澄は動揺してしまう。


 あの技は知っている。見たことがある。いや、それは彼女だけではない。クリエイターを知るものなら誰もが知っている現象。



「あれは……!! 何と、あの《《一ノ瀬詩織》》選手と同じ技だああああああああッ!!!!! やはり、七条選手も使えたようです!!!」



 ひとみがそう実況すると、再び場内にざわめきが広がっていく。



 武器創造クレアツィオーネ。それは、ワイヤーから新たな武器を創造する唯一無二の能力。前回の世界大会の覇者である彼女はその能力で、世界の頂点まで上り詰めた。


 そして、この試合を見ているもの全てが悟る。間違いなく、七条歩は一ノ瀬詩織の再来だと。また、実力も彼女に匹敵するかもしれないと……そう思い始めていた。



「はああああああああああッ!!!!」



 わずかに動揺した華澄だが、呆けている暇はない。あの能力の全貌がわからない以上、性能を発揮される前に叩き潰す。その思いから、彼女は歩の間近まで迫っていた。



(見た所、ただのCVA。LAなら破壊可能なはず)



 一閃。



 彼女の予想は的中し、歩の両手に握られている武器はガードした瞬間に砕け散っていく。



「もらったッ……!!!」



 これで終わりだ。やはり、この状態の、クオリアに至っている自分に敵うものなど存在しないのだ。


 

 だが、次の瞬間……華澄は右腕を切り裂かれていた。



「えッ!!??」



 自身の右腕がわずかにだが切り裂かれ、顔に血液が飛び散る。生暖かい感触が顔にあると感じてやっと、彼女は自分の状況を理解した。



「……さぁ、まだまだいくよ」



 歩は忠告だろうか、ボソッとそう呟くとさらに果敢に攻めていく。



(まさか。まさか。まさか。まさか。まさか。まさか。まさか。まさか。まさか。まさか。まさか。彼の《《アレ》》は一ノ瀬詩織と似て非なるものなの!!??)



 彼女は後退しながら、歩の怒涛の連続攻撃を防ぐ。


 もちろん、ただのCVAではLAの強度に敵うはずもなく切りつける度に砕け散っていく。だが、歩は《《その砕けたと言う事象を踏み台にして》》新たなる武器を創造し続けていたのだ。



 破壊される際に、武器はその性質を失いただのワイヤーに戻る。それを再構築リフォーミュレイトで、再び武器創造クレアツィオーネを発動し、無限にも思える連続攻撃を実現しているのだ。



(この手数は……厄介ねッ!!!!)



 華澄は苛立ちとともに、大きく矛を振るう。さらにはウォーターカッターも放つことで、歩を後方へと吹き飛ばす。



「くそッ!!!!」



 そう洩らしながら、周囲の木々にワイヤーをくくりつけて勢いを殺す。そして、再び連続攻撃を仕掛けようと思った時には、すでに華澄は新たなる能力を解放していた。



「……水蒼世界アクリシア・スフィア



 そう呟くと、トライデントの矛先から大量の水が放出される。その勢いはとどまることを知らず、辺り一帯全てを水で飲み込んでしまう。



世界スフィアも使えるのかッ!!)




 とりあえず、今は触れるのはまずいと思い歩は木々へと渡り移るようにワイヤーを伸ばす。



「逃さないッ!!!」



 もちろん、それを逃すような華澄ではない。すぐさま、ウォーターカッターを放ち彼を撃ち落そうとする。



(まずいッ!! 防げるかッ!!!?)



 大量の武器を幾重にも生み出すと、目の前に重ねるように展開。並みの攻撃では突破することのできない防御。しかし、華澄の攻撃はそれをいとも簡単に貫通する。そして、わずかに軌道をそらしながらも、歩の右肩に被弾。貫通すると、そのまま後方へと水は散っていく。



「ぐううううううッ!!!!」



 肩を抑えながら、後方へと吹き飛ばされていく。幾多もの木々にぶつかりながら、彼はやっとその勢いを止まることに成功する。



(くそ、距離は空いたが……これはまずいな)



 水蒼世界アクリシア・スフィア。まさか、これが出てくるとは予想していなかった。LAを使用するだけで、脳の容量キャパシティは一杯のはずだという思い込みが失策を生んだ。


 

 大量の木々の下に流れる水は、全て彼女の意志のままに動く。つまりは、触れた時点で負けが確定する。もちろん、防ぐ手立てはないことはないが、どうしても後手に回ってしまうのは避けようがなかった。



 貫通し、穴が空いた右肩からはとめどなく血が溢れ出す。歩は無理やり、それを縫合して止血する。穴の部分にはワイヤーを幾重にも重ねるようにし、その上部をきつく括ることで何とか出血を抑える。



 水蒼世界アクリシア・スフィアに対抗するには、彼も奥の手をまた一つ出さなければならない。厄介だな、と思いつつも歩の表情はどこか晴れやかだった。



「……来い、村雨丸むらさめまる



 右手に柄だけを生み出すと、それを左側の腰に沿うように構える。まるで抜刀する直前の姿だ。しかし、そこに刃はなく柄しか存在しない。



 歩は深呼吸すると、ゆっくりと存在しない鞘から刃を《《抜いた》》。



 キィィィィインと甲高い音が周囲に響き渡る。



 そして、抜刀し終わることには……その柄の先には存在しなかったはずの刃が生み出されていた。刀身からは冷気が漏れており、それがどんな能力を発揮するのか、一目瞭然だった。



「……凍結グレイシア



 属性具現化エレメントリアライズである、凍結グレイシアを発動。彼は下に降りながら、軽く刃を振るう。


 すると、下に存在していた水は一瞬で氷と化す。


 その上に着地すると、まっすぐに華澄の方を見つめる。



 彼女は不敵にわらっていた。まるで新しいおもちゃを見つけた子どものように、どこか無邪気な、だが闇も感じられるような……そんな表情だった。




 試合は最終局面へと突入する。

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