第4話「発見」
『私はこの世界で人を見たことはあるわ、でも話はしたことないのよね。』
AM23:00
『目が覚めましたか、ナギさん!』
「ん……あぁ?」
目が覚めたのは、初めてここに来た時同様にイスカの部屋だった。
あ、そういえば友也たちと約束してた時間前に寝ちゃったんだったか……
「おいイスカ、今何時だ?」
『えーっと……AM23:00だぞ?』
ということは……俺達の待ち合わせ時間ピッタリか。みんなはこちらに来れてるだろうか?
「ひとまずイスカ、街に行こう。俺の知り合いがこっちに来ているかもしれないんだ」
そう言うと、イスカは驚いたような顔をしながらあたりを見回した。
『ナギ……もしかしたら、俺その【知り合い】が分かるかも。』
………。
「え?」
AM23:20
俺達がやって来たのは前に来た場所とは違うエリアの公園、そこでイスカは何かを目撃したらしいが……何事だ?
『あ、まだいた!あいつらだよ!』
「………へ?」
そこにいたのは、俺の知らない見た目の男女合わせて2人だった。でも、その2人が【俺の知り合い】であるのはすぐに分かった。
「なぁ、本当に永遠見てないのかよ!?俺より背が高くて、目つきが女っぽい青年だよ!」
俺はイスカの制止を聞かずに声の主へと歩み寄ると……
「誰が目つきが女っぽいってぇ!?あぁん!?」
「ふぐぅうううう!?」
俺はそいつに腹パンをして、一時周りは騒然となった。そりゃあそうなるよな……
『ってぇな……永遠、お前どこをさ迷ってたんだよ。』
「それはすまん、こっちの世界の知り合いに助けてもらってたんだ。あと、こっちでは【ナギ】って呼べ。」
『あ、すまねぇなナギ!んじゃ俺のことは……ザックで!』
『えっと……ナギ、その方たちは?』
ここでイスカが俺に歩み寄ってきて話しかけてきた。そういやこいつと、友也の連れてきた女はおいてけぼりになってるよな……
「えっと、こいつはザック。俺のいる世界での友人だ。んでザック、こいつがイスカ。この感情界で俺を助けてくれた知り合いだ。」
『うっす!俺がザックだ!んで、隣にいるのが【エンリ】だ。すっげぇ無言キャラなんだよなぁ……』
『どうも、エンリです。』
エンリは俺とイスカにぺこりと頭を下げると視線をそらす、こいつは人見知りかなにかなのか?
『はじめまして、ナギの知り合いになったイスカです。仲良くしましょう!』
『おう、よろしくなイスカ!』
ザックとイスカはすぐに仲良くなれるだろう、人見知りとか一切ないだろうし。
「で、イスカ、ザック、エンリ。例の話をしよう……」
俺はまるでリーダーかのようにみんなをまとめると、場所を変えて話をすることにした。
PM12:03
場所を変えて再びここはイスカの部屋、俺達4人は円になって話をしていた。
「というわけで、今のところ眠姫の目撃者は誰もいないわけだな。」
『あぁ、俺もエンリも見なかった。イスカはそういう話聞いたことあったか?』
そうザックが聞くと、イスカは思い出すために思考を巡らせていた。それから数秒後……
『あ、おとぎ話にそんなのがあったかも。眠姫ってタイトルではないけど……【一人の少女が海で1人、愛する人を待つ話】だったかなぁ?』
「『…………』」
俺とザックは嫌そうな顔をしてお互いを見た。おそらく考えてることは一緒だ。
【リア充かよ!!】と。
『その少女がおとぎ話ではなく、現実に存在しているのであれば……学校での噂は納得できますね。』
エンリがそう言うと、俺とザックは視線をエンリへと向ける。こいつちゃんと喋れるじゃねぇか。
『そうだね、エンリさんが言うのはたしかに有り得る、じゃあ……この話の舞台である海へ向かうのはどう?』
「お、そんなところあるの?」
『あるよ、そこは今では観光名所だからね。』
イスカの有力情報を聞いた俺達は嬉しそうな表情をしてそれぞれアイコンタクトをした。これは……きたか!?
「よし、そこへ行こう。そして眠姫について色々聞き出そうじゃねぇか」
これでようやくやるべきことが決まった、しかしこれから先、分かってはいたがここまでひどい事件が起きるとは誰も気づいてはいなかったのであった………
次回予告:感情界でやるべきことを見つけた永久一行、イスカがその場所へと案内してくれるわけだが、まさかの事件が発生!?
次回、第5話「驚愕」
お楽しみに。