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『伝説の英雄たちは田舎で静かに暮らしたい ~25年前に魔王を倒した俺たち、村の子供を普通に鍛えたつもりが全員規格外になっていた~』  作者: オレンジペコ


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第41話 魔王城へ

 ゼルガが消滅したあと、ルークたちはしばらくその場を動かなかった。


 勝った実感よりも、最後に残された言葉の方が重い。


「封印は、とっくに開いてる……か」


 ダリオが低く呟く。


「じゃあ、魔王はもう戻ってるの?」


 ミナが聞く。


「そこまでは分からん。ただ、復活させるための準備はかなり進んでると見た方がいい」


 フィンがそう答え、空だった荷車の轍を見る。


「それに、あれに積まれてた物もまだ見つかってない」


「ヴェルガが持ってるかも」


 エマの言葉に、全員が同じ方向を見る。


 魔王城跡。


 ここまで来れば、次に追う場所はもう決まっていた。


 村へ戻ると、アルドたち4人はゼルガの最期を静かに聞いた。


「そうか。ゼルガが」


 アルドが短く言う。


 バルクは少し黙ったあと、ルークを見る。


「勝ったのか?」


「4人で」


「そりゃ良かったな」


「それだけ?」


「何か欲しいのか?」


「いや……もうちょっと驚くかなって」


「お前らなら、そのうち届くと思ってたしな」


 ダリオが思わず口を挟む。


「“そのうち”が早すぎるんですよ」


「そう?」


「四天王ですよ?」


「知ってる」


 相変わらずだった。


 だが、ゼルガが残した言葉を伝えた瞬間、4人の空気が変わる。


「封印を開いた?」


 アルドが眉を寄せた。


「それ、知ってた?」


「いや」


「魔王がそんな仕込みしてたの?」


「俺たちが知ってたら、29年前に潰してる」


 レイが剣を腰へ差す。


「なら確認するしかないわね」


「どこへ?」


 エマが聞く。


「魔王城」


 即答だった。


 翌朝。


 村を出る人数は12人になった。


 アルド、バルク、レイ、セリア。


 ルーク、エマ、ミナ、ノア。


 そしてダリオたち4人。


「先生たちも来るんだ」


「当たり前だろ」


 バルクが言う。


「魔王の話なら、俺たちが一番事情知ってる」


「畑は?」


「昨日、水やった」


「そういう問題?」


「村のみんなにも頼んだ」


 アルドは本当に普段と変わらない。


 けれど、全員が分かっていた。


 29年前。


 この4人は同じ道を進み、魔王を倒した。


 そして今。


 その場所へ、もう一度向かう。


 魔王城跡が見えたのは、夕方だった。


 山の向こう。


 黒い城壁。


 崩れていたはずの塔。


 その一部に、灯りが点いている。


「……動いてる」


 ミナが呟く。


 29年前に壊された城が、完全ではないにせよ再び使われている。


 アルドの表情が初めて険しくなった。


「これは思ったより進んでるな」


 その時。


 城壁の上に人影が現れた。


 ヴェルガだった。


「来たか」


 その背後。


 旧魔王軍の兵が、次々と姿を見せる。


 数十ではない。


 百を超える。


 ダリオが大剣を抜く。


「やっぱり最後はここか」


 ヴェルガが城門の前へ降り立つ。


「ここから先へは行かせん」


 ルークも剣を抜いた。


「じゃあ」


 隣でエマが笑う。


「通ればいいだけだね」


 ミナが杖を構え、ノアも前を見る。


 魔王城を守る最後の防衛線。


 戦いは、もう始まっていた。

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