表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
例えば男女比1:30の世界で、例えばそんな世界だからこそ免罪符で女の子に……とかないんだがっ!  作者: √宮ハルヒ
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/29

第28話 男女密室何も起きない。

「えっと。ここでいいのですか?何もない部室ですが」

「いや結構結構」


 あれから数日後。俺たちは聖良さんが意気揚々と提案した定点カメラをつけて監視しようと言う案を刻々と準備してきたわけだ。


 カメラは2台。二万円。

 初めは星宮が全額払おうとしたけれど、華月さんが聖良さんに「提案しておいて一銭も払わないだなんて」と小言を吐いたので、「じゃあ。四季も払え」と言うことになって、星宮、聖良さん、俺の折半になった。


 ねえ。華月さんは?華月さんは払わないの?

 一銭も払わずに星宮に優しさを払うということをしただけじゃないか。

 何ひとつ損を被っていないやり手である。


 その文句は追々言うとして、もう図書室で勉強しに行っただろうし。

 俺らはその犯人をとっ捕まえるためにほぼ逆方向のテニス部の部室へと向かっていた。

 ちゃんと、許可をとっているから大丈夫。だから先輩に案内されているんだ。


「ここで、モニターするんですか?」

「おそらく誰も来ないだろうし。下駄箱にも何より、ロッカーの方が近いからさ。最高のロケーションなんだ」

「まあ。それは何よりで」


「じゃあ。僕はテニス部に出るからさ」

「あれ?ここでモニターするんじゃないんだ」

「いや、だって僕がテニス部に出ないと怪しまれるから」

「ああ」

「なんでわからないんだよ」と聖良さんにマジで怒られた気がする。


「じゃあ。そう言うことで四季。任せる形になるけれど、お願いするよ。絶対捕まえてよね」と一言吐いて部室から先輩と共に出ていった。


 せめて先輩だけは。唯一優しい先輩だけはああああ。

 無慈悲にドアは閉まった。


 取り残されたのは聖良さんと俺だけだった。

 えっと。みなさん薄情じゃないですか?仮にも元カレと元カノを二人きりにするなんて、気まずさ全開じゃないですか!?

 

 まだ、あの別れてから一回も二人きりにされて話していないんですれど……。

 ああ。どうすればいいの。


 あああ。と頭を掻きむしって出てきた答えというのは……


「聖良さんは華月さんのところ行かないの?」だった。


 まあ聖良さんが残る理由もない。元好きだからという理由は十分だろうけれど、聖良さんの性格上多分そんなことはしないだろう。


「はあ?」と眼力の籠った態度を見せる。

 ああ、確実にミスった。


「確かにそうね。行っていたわ。けれど、つい最近追放されたわ」 

「追放?」

「図書室で彼女勉強しているじゃない?それに毎日毎日構いに行っていたのだけれど、ついぞ、図書室の先生かにチクリに行ったのでしょうね。張り紙が出させていたわ」


「なんて書いてあったのですか?」

「迷惑行為により下記の人物を立ち入り禁止にするって。ひどくなーい?」

「まーひどいですねー」


 お前の頭の中が。

 ああ。不覚にも想像ができてしまう。勉強道具を広げて、黙々と勉強をしている華月さんに必要以上にボディタッチを行い、かしましい声で一人で騒ぎ立てる聖良さんの姿が。


 思わず「ははは」と苦笑いしてしまう。


「なんの笑いよ」

「いや、モニターの画面が全然変わらないなあ、と」


 咄嗟とっさの言い訳。適当すぎる。

 今、異常が起こっていたら、整合性のとれていないバカの戯言じゃないかと思ってチラリとモニターを一瞥いちべつする。特に変化はなかった。


「深夜職のバイトってこんな感じなのだろうね」

「警備職ですか」

「そー。駄弁っているだけで終わるみたいな。楽だねえー」

「確かにそうですね」


「まあ。深夜職のバイトは流石にできないっぽいけれど、この学校」

「そりゃあね」

「バイトは普通にできるしね。四季はどこでバイトしてる?」


「してませんよ」

「あら。まあ解釈一致」


 なんかバカにされた気分。こんな陰キャは社会に雇ってもらいないだろって言われている気分だ。


「かくいう聖良さんは何かしているんですか?」

「ひ♡み♡つ」と小悪魔的に言う。


 なんだこいつは。俺はチョロいんだ。そんなことされたら俺が好きなんじゃないかと思う。でも、これは勘違いでもなく彼女は好きな人がいる。

 ラブコメ主人公のあの卑下でもない。希望のない空しさだけがあった。


 無味乾燥的に聖良さんは「あはは」と笑った。


 僕の心臓はどきどきしていた。心不全ではない。

 でも、心臓に負荷は掛かっただろう。前屈気味で心身を落ち着かせる。


「あ、あれ」と間抜けな声を出した。


「気づかなかったけれど、これって……」

「どうかしたんですか?」


 またそういう冷やかしならやめて頂ける?心身が持たないぞ?

 クソ雑魚なんだから配慮してほしいものね。


「これこれ」とモニターを直でつっつく。

 それをするのはゲームを愛する俺からしてちょっと癪に触るのだが、それは些細なことと処理して見つめる。


 テニス部のロッカーに異常。星宮のロッカーが何者かによって荒らされている。

 追記、下駄箱にも異常。誰かが、プレゼントらしき何かを入れている。


「この人って知っているのですけれど」

「まあ。わたくしもよく知る人物だわ」


「そのよく知る人物が、星宮の、星宮の服盗んだんだけれど」

「そのよく知る人物が、星宮の下駄箱に怪しげな箱を投入したのだけれど」


 俺たちは顔を合わせた。


「捕まえに行こう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ