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例えば男女比1:30の世界で、例えばそんな世界だからこそ免罪符で女の子に……とかないんだがっ!  作者: √宮ハルヒ
第一部

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第27話 目には目を。ストーカーにはストーカーを。

 さっきの出来事を喉がつっかえる気分だった。

 本当はあそこで問い詰めたりした方が良かったのだろうか。なんか上手いようにかわされた気がする。


 ただでさえ雨で偏頭痛であるのに、踏んだり蹴ったりじゃないか。


 はあ。と鬱々《うつうつ》しく教室に入った。

 前屈気味でだらんと姿勢悪く、自分の席に座る。


「あら、鬱々《うつうつ》しい目じゃない。鬱陶うっとうしいわ。鬱《美》しい日々じゃない」と綺麗なことをいうが、君の手に握られている本はフランツ・カフカの《変身》じゃないか。


 簡単にあらすじを言うと巨大害虫に変身するという話です。

 意味わからないでしょう?

 《ドグラマグラ》といい読んでいる本が一番病んでそうな人に声をかけられてしまった。


「こんなに気分が沈んでいる人に掛ける言葉じゃないと思う」

「あら。なら失礼だったかしら?でも、もっと鬱陶しい方が日々付きまとっているわけだからね」


「呼んだー?」


 ピョコりとどこからともなく急に現れた。

 華月さん当人でもないのに、びっくりしてしまったよ。


 全然あれは呼んでない判定でしょ。聖良さんがもう別のストーカー案件じゃないか。

 華月さんは狂人で強靭な精神があるからそんなことで悩んだりしないけれど。


 むしろ……。


「あなたが呼ばれる日は私が医療関係者になってから」

「患者側じゃん」

「そりゃそうでしょう。いつから健常者とでも?」

「健常者でしょー。今は愛を追い掛けている淑女ですよー?」

「盲目だわ。私は将来あなたのような患者を治すのが夢ですわね」とストーカーの接触にものともせず、皮肉ばかり吐いている。


「ははは」

「何を笑っているのですか?」

「仲が良いな」


「「どこがっ」」

 

 以心伝心じゃないか。

 世の中のストーカー対応がこうなら幾らか平和だったのに。

 ニヤニヤと温かい目で見守っておく。


流石さすがにその目は気持ち悪いですよ?」

「そうそう」

「いや神々《みわ》さんあなたに同意を求めているわけではありません」


「俺に同意を求めているのなら、泣くよ?それは自他共に承認するなんて悲しい他ないでしょうよ」

「その方が案外楽だとか?」

「ひどいなあ。人の心とかないん?」

「ないわ」


 ボケを拾ってもらえない悲しみと、はっきり断られた悲しみで酷いことなった。

 オーバーリアクションにひざまずく。

 もっと視線が厳しくなったと思う。

 

「ど、どどうしたんだい?」と登場したのは大量のプレゼントと手紙を紙袋に入れた星宮だった。


「いつも馬鹿騒ぎよ。私は一切合切関係ないけれど」

「急に突き放すなよ」

「主にそこの女が悪いよ」


 全部聖良さんのせいにされた。良いのかな。よくないよっ!!


「まあ。置いておいて、また随分と贈り物が増えているじゃない。その量毎日食べていたら、体型維持できなくなって、贈り物の量が減るんじゃないかしら」

「結根ちゃんのそのキツい言葉は結音ちゃんしか聞けないよ」

「あらそう」

「でも、大丈夫なんだ。毎日走っているからね。摂取したエネルギー分は運動しようと決めているからさ。今日は雨でできなかったけれど」


「良い心がけね。私もそうしようかしら。まあ。四季くんはそんなことしなかったからそういう体型なのでしょうね」

「悪かったねえ」


「良いと思う」

「それで、その中に安全なものがあるかどうかという話もあるけれどね」と一気に現実感に引き戻される。


「ああー。まあ」と星宮は苦虫を噛み潰したような顔をする。

 前例のことを思い出したのだ。多分考えないようにして食べていたのだろう。


 こんなことがあっても食べ続けてくれる星宮は聖人君主他ならないな。


「解決策は見つかったの?」

「解決策は……。ないけれど、いつかすると思う」

「へえ。結構楽観的なのね。そんなに楽観的だから、そうなってしまうんでしょうけれど。私なら間髪入れずに捨ててしまうことだろね」


 星宮のプレゼントを睨みながら言った。

 星宮はそれを守るように体を翻した。


「捨てないよ!?」

「そうならCTスキャンしたり、成分分析するだろうけれど」

「手間もお金もかかりそうだけれど……。そんなことすれば大事になるよ」


「あのね。旭くん?どっちかを取ればどっちかを捨てなければならないのよ?」


 それは単に事実を述べていた。だから、世界法則の当たり前をコンコンと述べるように言い放った。

 しかし、星宮にはただの残酷な言葉として認識されただろう。


「ぼ、僕はどっちもとるという選択肢をしたいよ」

「そう。それは勝手なのだけれど」


 飽きたように華月さんは本の方に目線を落とした。自由だな。


 その代わりと言ってなんだが、「すべて聞かせてもらったわ。その願い叶えてあげよう」と腕組みして上から目線で偉そうにしているのは聖良さんだった。

  何か迷惑をかけそうな提案をしそうで恐怖する。


「簡単な話じゃない。頭のいいわたくしの結音ちゃんでも思いつかないだなんて、ちょっと抜けちゃっている?そこも可愛いけれど」


「何よ」と眉間にしわを寄せる。

 なら、もっと良い案を出しなさいよと敵意剥き出しだった。


「ちょっと。お金はかかってしまうのだけれど、自分たちで定点カメラでもつければ良いじゃん。下駄箱なり、ロッカーなりに」

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