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殴りマジ?いいえ、ゼロ距離魔法使いです。 作者:夢・風魔

バーション1.01【始まり】

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92/103

92:マジ、神の裁きを作成する。

 ザグと別れ、冒険者ギルドへと向かう。
 狩りの待ち合わせ時間まで、あと四十五分程あるので販売代行の申し込みをしようと思って。

 真新しいマントを羽織り、捲れないよう内側から裾を握り締めて歩く。
 ギルドにはいつにも増して大勢のプレイヤーが集まっていた。
 そのほとんどが二階へと上がっていく。何があるんだ?

『一階は冒険者登録、及びクエスト掲示板、クエスト案内専用となっております』
『二階はパーティー募集掲示板、及び委託販売所でございます』

 入り口に立つメイド服のNPCが繰り返し案内している。
 なるほど。販売代行は二階に持っていったのか。ってか委託販売って言うのか。

 ぞろぞろと階段を上るプレイヤーに混じって二階へと行くと、予想以上に大勢で賑わっていた。
 委託販売ってどういう仕組みなんだ?
 えーっと……。

『委託販売をご希望の方は、左手奥のカウンターにて手続きを行ってください』
『販売物をご覧になりたい方は、右手側のカウンターに居る商人にお話しください』

 階段上でもNPCが案内を行っている。
 えーっと、左手側だな。

 カウンターには何十人ものプレイヤーが並んでいた――が、無人カウンターの椅子に座ると同時に消えていく。
 ここもまた別エリアに移動して受付になるのか。
 俺の番になって椅子に座ると、一瞬視界が揺らいだ気がした。

『お待たせいたしました。ご利用に際してガイドをお聞きになりますか?』

 さっきまで無人だったカウンターの向こうに男のNPCが座っている。
 別エリアに移動済みだな。
 ガイドはもちろん聞こう。

『では簡単にご説明します。委託販売をご利用になるためには、冒険者ギルドへの登録が必要となります。お客様は既に登録済みですので、問題ございません』

 更に彼が言うには、迷惑行為だのなんだのでギルドを追放された場合、委託販売の利用は出来なくなるという。
 もちろん、売り買い両方だ。

『出品中の物があった場合、ギルド追放の時点でメッセージボックスに送り返されます。消失したり没収などはございませんので、ご安心下さい』

 安心して迷惑行為を行って、ギルドを追放されろという意味だろうか……。

 委託利用での注意は他にも――
 アイテムを登録してゲーム内六十時間経過しても売れなかった物は、メッセージボックス経由で戻って来る。
 売れた場合のお金も、メッセージボックスにて送られるという。

『更にメッセージボックスは、未開封のままですと現実での一週間で消滅いたしますのでご注意ください』
「お金やアイテムもか?」
『はい』

 ひぃ。小まめに確認しなきゃな。

 委託販売の利用は特に手数料などは無いらしい。良心的でよかった。

『一度に委託できるアイテムの種類に上限はございません』
「オッケー。じゃあ――」

 兎肉風味のペットフード。カラーバリエーション各種も用意してある。
 羊肉風味の以下略。
 川魚風味の以下略。
 人参風味の以下略。
 小さな木の実風味の以下略。
 カラーバージョンとノーマルとで六種類、それぞれ十個ずつ用意してある。

 合成に使った肉だの木の実だののNPC販売価格が、平均して20エンほど。ペットフードは150エン購入で、合成剤は5エン程度。
 最低でも175エンにしないと、俺が赤字になる。
 更に素材を集めた時間も考慮すれば、やっぱぷぅが言うように200エンが最低ラインだろうなぁ。

「案外お前って、良心的な価格を提示してたんだな」
《ぷ? ぷぷぷぅ》
「もっと値段を釣りあげるかって? いや、今のままでいいよ」

 NPCと取引するような画面に、売りたいアイテムを移動させ、価格を口頭で言えば設定完了だ。
 利用ガイドを聞く必要がなければ、直で取引画面が表示されるようになるという。
 ついでなので、買うときの利用ガイドも教えて貰った。

 室内の反対側にあるカウンターには、十人ほどの商人が立っている。
 話しかけろと案内では言っているが、実際にはカウンター近くに行くと、自動的に販売物リストが可視化されて出てくるんだとか。

 ん?
 なんか音が鳴った様な?

『また、商人から『自動更新リスト』を購入されますと、ギルド外からでも委託販売物を見ることが出来るようになります。正直に申し上げますと、何百何千というプレイヤーを冒険者ギルドに収容できませんので』

 だから外部からでも購入を出来るようにしたのか。

『ちなみにお客様』
「ん?」
『登録した販売物が、全て完売したもようです』
「はぁ?」
『登録した販売物が、全て完売したもようです』

 いや二度も言わなくていいから。
 さっき聞こえた音は、どうやらメッセージボックスに金が振り込まれた音だったらしい。
 しめて60000エンなぁり〜。
 まぁこの中での純粋な儲けなんて7500エンだが、それでもなかなか良い儲けだな。






 農村に移動してみたものの、ギルドでの説明も短く、まだ時間に余裕があるな。
 そういや乗馬クラブって、どうなったんだろうな。
 ふらりと立ち寄ってみると、微妙に牧場の柵だの乗馬クラブの看板だのが立派になっているような?

 乗馬クラブ会員申し込みはこちら――と書かれた看板前には、三十人ほどのプレイヤーが並んでいる。
 繁盛してんだな。

「会員登録を済ませましたら、講習のご希望日時をお決めください。現在、四十六時間先まで予約でいっぱいです」
「それ以降でしたら、ご都合のよい時間をいつでも設定できます」
「大変申し訳ありませんが、四十六時間以降での予約のみとなっております。その間にゴブリン討伐をお願いいたします」

 牧場主の娘さんたちが交互に叫ぶ。
 予約でいっぱいって……じゃあこの列は登録するためだけの列かよ!?
 すげーな、おい。儲かり過ぎだろ。

 更に村をぶらぶらし、孵化器を売ってくれた養鶏場近くを通った。
 あぁ、ここも儲かってるみたいだな。なんか厩舎が立派になってるぞ。しかも軒先に『孵化器屋』とでっかく書いた看板までぶら下げてるし。

「お、マジック氏。もう来てたのか」

 ふいに背後から声を掛けられ振り向くと、弓使いのフラッシュが居た。

「おう。いろいろ準備しようと――あぁ!」
「な、なんだ?」

 すっかり忘れていた。
 スキルを作ろうと思っていた事を。

「まだ待ち合わせまで時間あるよな? っていうかルーンは来てるのか?」
「いや、ログインはしてるけど、まだっすよ」
「よし、じゃあ今の内にスキルの作成を――」

 とはいえ、何を作るかも考えてないし。
 今のIMPは――92か。

「じゃあ俺は孵化器を買ってくるんで」
「おう。俺はここで脳みそ働かせてるわ」

 フラッシュもモンスターエッグの中身をゲットしたんだろうか。
 そんな事よりもスキルだ。
 攻撃系か、防御系か。もしくはバフか。
 海岸に行くんだしなぁ。雷系のスキルを増やしておきたいよな。
 最初から持ってる攻撃技能なのに、全然発展させてないんだし。

 投げる、撃つ系はどうせ当たらないんだし、直接的な攻撃魔法が欲しいな。
 そうそう、形状変化で上手くできなかったトールハンマーだよ!!

 媒体――もちろん雷属性。
 タイプ――攻撃っと。
 範囲――そりゃあトールハンマーですから。広範囲でしょう!
 効果――うーん、ここが悩むんだよな。トールなハンマーだからな。天から降り注ぐイカズチを巨大な鉄槌にして敵を叩きのめす。でどうだ?

 システムによるシンキングタイムの後、自動修正された内容がウィンドウに表示される。
 効果説明文はそのまま。消費MPが50、CTが30、消費IPMは50!?
 うーん、もうちょっと少なくならないかなぁ。
 広範囲を、俺を中心にした半径三メートルにしてみる。
 消費IMP40……もう一声。

 ん? スキル作成ウィンドウの下にヘルプなんてのがあるな。以前は無かったと思うが。
 ポチっと押してみると、スキルの作成手順と、アドバイスという二つのボタンが出てきた。
 アドバイスって、例えばどんなだ?

【IMPの消費を抑えるコツ】
【作成中のスキルの消費IMPを抑えるには?】

 というのが出てくる。
 まさにこれだよ!
【作成中のスキルの消費IMPを抑えるには?】をポチると、媒体画面が出てきた。
 雷属性じゃダメなのか?
 いや……魔法操作との複合型にしろっていう指示が出ているだと!?

 普通は複合技能にしたら、IMPの消費が増えるんじゃないか?

 更に範囲指定では、直撃させた対象に100パーセントのダメージを、その他半径三メートル内にいる敵対対象には拡散型スプラッシュダメージに。
 なるほど、与えるダメージは固定で、範囲内にいる敵の数で割るタイプだな。

 魔法操作は鉄槌ハンマーの形を形成するときに使われるんだろう。
 もしかして、魔法操作を使うことで、雷属性魔法技能の負担を軽減するという仕組みなんだろうか。
 とにかく指示された通りに変更すると、消費MPは40に、CTは据え置きの消費IMPが30になった。

 オッケーオッケー。
 スキル名、『トールハンマー』でぽちっとな。

【スキル名が短すぎます。スキル名は詠唱も含みますので、文字数十文字以上、二十文字以内にしてください】

 は? え、詠唱って、今までそんなの無かったのに。
 まぁネットゲームだと上位魔法になればなるほど、使用から発動まで時間がかかるもんだけどさ。
 トールハンマーは初期スキルよりは上位って位置になるのか。
 仕方が無い……じゃあ。

『トォォォルハンマーァァァァッ』でどうだ?

【抽象的過ぎます。きちんと発音可能な文字にしてください】

 ちょ、つっこまれた!
 分かったよ。真面目に考えればいいんだろ。

 雷の鉄槌――あ、これでいいじゃん。

『雷神の鉄槌・トールハンマー』
 点は一瞬の間という意味で。

 シンキングタイムに入ると、結果がウィンドウに表示された。


◆◇◆◇

『雷神の鉄槌・トールハンマー』
 属性:雷属性魔法+魔法操作
 効果:天から降り注ぐイカズチを巨大な鉄槌にして敵を叩きのめす。
     直撃となる対象には100%のダメージが与えられる。
    その他半径二メートル以内の敵対象には、スキルレベル毎に設定されたダメージを
    人数|(対象数)で割ったものが与えられる。
    ダメージを受けた全ての対象は、一定確率で痺れる。
 消費MP:40
 CT:30

◆◇◆◇


 うん。いいんじゃなかろうか。
 サンダー、サンダーフレア、そしてトールハンマー。
 雷属性のダメージスキルが三つあれば、水属性モンスターオンパレードエリアでは無双できるだろう。

「やっ。マジックさん、お待たせしました」
「ん? お、ルーンか」
「お待たせっ。お、丁度いい感じで集まったっすね」

 スキルの作成を完了したところで、ルーンがやってきて、フラッシュも孵化器の購入を済ませて戻ってきた。
 そしてついに、俺たちは新エリアに向って旅立つのであった。
+注意+
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