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殴りマジ?いいえ、ゼロ距離魔法使いです。 作者:夢・風魔

バーション1.01【始まり】

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65/103

65:ぷぅ、踊る。

 町の随所には案内用の看板が立っていた。
 それに触れるとタウンマップが視界に現れ、主要施設も全部表示されて便利だ。
 行きたい場所をタップすれば、可視化された矢印が出て来て案内してくれる。

 まずはモンスター研究家のところに行って餌を購入。

【何を買うかね?】

 ここはテキストか。
 販売物の一覧が――

・モンスターエッグ:200エン
・ノーマルペットフード:500エン|(1袋10個入り)
・赤いペットフード:500エン|(1袋10個入り)
・青いペットフード:500エン|(1袋10個入り)
・黄色いペットフード:500エン|(1袋10個入り)
・緑のペットフード:500エン|(1袋10個入り)
・白いペットフード:1000エン|(1袋10個入り)

 と、なんとも不味そうなペットフードが売られていた。
 そういや、食わせてるペットフードによって、体の色も変えられるんだったか。
 ぷぅをじっと見つめて、何色がいいか考えてみる。

《ぷ? ぷぷぅ〜♪》

 何を思ったのか知らないが、人の掌の上で踊りだしやがった。
 赤くしたら目立つかな?
 黄色は……カレーっぽいからやめよう。
 緑は色として嫌いじゃないが、なんか合わなさそうだ。
 白は……燃え尽きた感じがして却下。

「お前は青いままでいいか」
《ぷぅ〜♪》

 くるくると回るぷぅ。
 だが足が短すぎてこけた。
 そのまま起き上がろうとしない。

「ぷぅ? 寝たのか?」
《ぷぅ》

 どうやら狸寝入りだったようだ。

「こけたのを誤魔化すために寝た振りか!」
《ぷっ、ぷぷぷぷぷっ》

 違うわ、そうじゃないの! 本当に寝てたの!
 とでも言っているようだ。必死に体を左右に振っている。
 首を振って否定しているつもりなのだろうが、そもそもこいつの丸い体型じゃそれも出来ない。
 ダイエットか。

 まぁいい。色を変えたくないなら……ノーマルペットフードを買えばいいのか。

「ペットの色を変える必要が無ければノーマルでいいのか?」

 と尋ねると、シンキングタイムの後に【そうだ】というテキストメッセージが返ってきた。
 値段は白以外どれも同じだ。じゃあクエ報酬で貰った2000エン分を使い切るか。

 ノーマルペットフードを四つ購入。
 インベントリに入ったアイテムを確認すると――

◆◇◆◇

 名称:ノーマルペットフード
 備考:モンスターペットに食べさせる無味無臭の餌。
     一袋に餌団子が十個入っている。

◆◇◆◇

 とあった。
 無味無臭……さすが安物。
 団子四十個もあれば暫くもつだろう。
 次は雑貨屋だ。これは護衛クエ前にうろうろしてた時に見たから、中央噴水広場にいけば解る。
 ポーション一本50エン。
 臨時収入の1000エンで買えるのは二十本……と思ったらなかなかショッパイなぁ。
 ライフとマジックをそれぞれ十本ずつ買ってお終い。

 インベントリ内のアイテムも整理したいが、これは昨日のドロップ品だからなぁ。
 今夜清算するまで、インベントリを圧迫しそうだ。

「ぷぅ、お前のインベントリの空きって、どのくらいあるんだ?」

 と尋ねると、

《ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ、ぷ》

 と、何度もぷを繰り返す。
 どういう事だ?
 尋ねると、本人――本鳥はくるくると踊りながらまたぷっぷぷっぷ鳴き出す。
 何度か鳴くと、ピタっと止まって決めポーズ。

 分かった?
 と言っているようだ。

「分からねえよ。とりあえずリュック見せろ」
《ぷ》

 素直に背中を見せるぷぅ。なかなか利口だ。
 空きは二十四枠か。

「あ、もしかしてさっきの「ぷ」ってのは、空き枠分鳴いてたのか?」
《ぷぅ!》

 その通りよ! ビシッ!
 そんな感じで俺を指差すならぬ、羽指す。
 まぁ鳴き声数えるより、最初からインベントリ開くほうが早いよな。

「うーん、俺が持ってるアイテムをぷぅ側に全部移動させられればなぁ」

 俺のほうは元々装備やらポーション各種やらである程度枠が埋まっていたが、そこからドロップ品なんかが加わるので、既に圧迫気味だ。
 ぷぅの方に昨夜のドロップ分だけでも移動できれば、今から手に入れる分は全部俺のインベントリに入るわけで。
 ダメ元でやってみるか。

「システム、インベントリ」

 ぷぅのインベントリを開いたまま、俺のも開いてみる。
 お、二つ同時に開けたぞ。
 じゃああとは、クリックドラッグで――

「おぉ! 移動できた!!」
《ぷっぷぅ〜♪》
「じゃあ、こいつとこいつと、それから――」

 移動したアイテム総種類は二十二種類。ぷぅのインベントリは二枠残ったな。

「よぉし。さっそく雑魚狩りに行くか!」
《ぷぅ〜♪》

 雑魚狩りまくって合成用の素材集めだ。





 低級狩場で乱獲は、適性レベルの連中に迷惑がかかっちまう。
 比較的人気も少なく、尚且つ格下モンスターがいるところとなれば……町から遠くて新エリアではない所。
 新エリアはオープンベータからやってる連中が押しかける狩場だろうし、町に近い旧エリアは、新規がせっせとレベル上げするのに通っているだろう。
 遠い所だと移動の手間もあるから、あまり行きたがらない。
 俺はテレポを使って、自分が行ける範囲内でそれらしい場所に飛ぶ。

 森の中、比較的開けば場所に出た。
 ここから更に奥を目指し、プレイヤーの姿も見えなくなると乱獲を開始した。

「ヒャッハー! 飛んで火に入る夏の鴉ってなーっ『焔のマント』」
《カァカァ、ガッ!》
《ガアァッ!!》

 アクティブな鴉は炎包まれた俺目掛けて飛んでくる。そして焼かれる。

 ここは護衛クエに向けてレベルアップに励んだ森だ。
 あの時は鴉の群れに襲われて大変な目に合ったが、今は余裕のよっちゃんで対処できる。
 レベル5上がっただけでも、やっぱ違うよなぁ。

 武器も変更したのもあって、火力は一割増しになっていた。
 鴉も動物ってことで、火には弱く。マントだけで焼き鳥になっていく。
 マントの持続時間が終われば、次にサンダーフレアだ。
 最初のマントのCTが明けるまではファイアで凌ぐ。こちらも一発で鴉を仕留められるので、群がられてもそれほど怖くない。
 まぁ防御力は低いのでじりじりHPは減っていくが。
 たまに自己ヒールもすれば、技能レベルも上がって万々歳だ。

 いろんな素材を求めて暫く狩りをした頃、システム音が鳴り

『現在十一時半になりました』

 というシンフォニアの声が聞こえた。
 あと三十分か。
 といっても、ゲーム内では一時間ある。

 それからもう少し狩りをしてから町へと帰還。
 ドロップ品の説明を読んで、素材と書かれた物は残しておこう。
 他は――

 素材ではない木の実やら、モンスターの肉、その他もろもろ。
 食材とも書かれてないし、NPCに売るだけのアイテムか。
 でもこの木の実とかって、鳥なら食いそうだよな?

「ぷぅ、食うか?」

 と差し出すと、嬉しそうにパクっと啄ばむ。
 おぉ、もしかしてこれで空腹度が変わったりしないか!?

 ステータスを開くと、ぷぅの空腹度は「8」だ。
 木の実をもう一個食わせる。

 ステータスを確認する――が、空腹度は「8」のまま。
 いや、寧ろ今「9」になったぞ!

 つまり美味しいってだけで、腹は満たされてない!?

 た、試しにペットフードを食わせる。
 啄ばんだぷぅの反応は――

《ぶぶぶぅー》

 不味かったらしい。ご立腹だ。
 だがそんなの知った事か。
 空腹度は――「2」だ。下がった。

 味は木の実、腹の足しになるのは団子、か。

 これ、
 合成、できないか?

 で、早速やってみる。
 道具一式はトリトンさんに譲ってもらっているので、とりあえず人気の無い路地裏にでも……。
 入り組んだ路地を進み、突き当たりにあった樽の影に座り込んで道具を取り出す。
 丼にノーマル団子一個と、ドロップした木の実を一個入れ、合成剤を流し込む。

 うーん、普通に考えたら、接着剤の付いた食い物だよな。
 ヤバそうだ。

 合成剤を全部流し込むと、丼がピカっと光った!
 おぉ、成功成功。

 出来たのはほんのり青み掛かった団子。

 うん。不味そうだ。
 木の実が青かったから、その色なんだろうけどさ。

 ぷぅに見せると嬉しそうにトンで跳ねて踊り出す。
 が、さすがに空腹度2だしな、食わないだろ――

《ぷっ》
「食いやがったよこいつ!」

 空腹度は0になった。本鳥もすこぶる嬉しそうだ。

「味がするのか?」
《ぷ》
「美味いのか?」
《ぷぅ♪》
「これはどうだ?」

 そう言って肉を見せる。
 が、そっぽを向かれた。
 好みじゃないらしい。
 素材ではないアイテムを片っ端から見せてが、他にこいつの食指が動くものは無かった。

 とりあえず手持ちの木の実を全部合成するか。
 といっても合成剤が残り二十九個で、木の実は三十一個。
 ので、合成は二十九回、これでノーマルペットフードは一袋だけになるな。

 ピカっと光って青い団子。
 ピカっと光って焦げた団子……失敗か。
 ぷぅに食うかと出してみるが、足で蹴って踏みつけて粉々にされ、そして電子の藻屑にされてしまった。
 なんて勿体無い事を。

「とりあえず十九個成功か。技能レベルは――ぉ、トリトンさん所で練習したときに3まで上がってたが、今ので5になってるぞ」

 レベル上がるの早いなぁ。
 こうやって見ると、やっぱ後発組の有利さが解る。
 他に合成できそうな物は――

 インベントリと睨めっこしていると、ウィンドウ越しに人と目が合った。
 まさかこんな奥ばった路地裏に人が来るとはなぁ。何しに来たんだ?

「い、今のはなんですか? ピカって光って、二つあったアイテムが一つに……」

 アッチャー。見られてたよ。
 犬獣人の男プレイヤーは、興味津々な様子で尻尾を振り、こちらにやってくる。

 ん?
 この犬、どこかで見た事があるような?
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