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殴りマジ?いいえ、ゼロ距離魔法使いです。 作者:夢・風魔

バーション1.01【始まり】

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64/103

64:マジ、ナンバーワンになる。

*本文最後の称号に加筆しました。
 港町クロイスの入り口にテレポし、まずはポーションを手に入れる為に海岸へと向った。
 貧乏ではないがタダで手に入るものに金を払うのは勿体無いと思うのは人間の性だ。
 よって、ゴミ拾いをするべくコスタの下へ!

 ――がしかし、コスタが予想外にクロイス近くの海岸にいた!
 しかも垢抜けたハワイアン風のシャツ着て、屋台で店開いてるし!?
 ってか人多っ!
 なんでこんなに人がいっぱいいるんだよ。

 で、よく見てみると、なんか水着のお姉さんがいっぱいいてイイと思います。

「よ、よぉコスタ。どうなってんだ?」

 水着のお姉さんにジュースのようなのを渡していたコスタに話しかける。

「やぁマジック君。どうって、なにがどうなんだい? あ、いらっしゃい。何かお求めですか?」

 後半の接客セリフだけ、なんとなく無機質な自動会話のように聞こえる。
 清掃員を止めて、ジュース販売員のNPCにクラスチェンジしたのか。
 接客が終わったタイミングで質問を変えてみた。

「なんでこんなに人が多いんだ? お前はなんでジュースの販売をしているんだ?」

 と。
 少しだけシンキングタイムがあった後、コスタは昨日から海開きしたんだと説明。
 海開きに向けてずっと掃除していたが、最近は冒険者のお陰でこの辺の海岸は綺麗になったから仕事が不定期になった――と。
 仕事無くなって臨時バイトか!

「いやいや、元々夏にはここで飲み物の販売をしているんだよ。もちろん、海岸を綺麗にする為に、ゴミはきちんとゴミ箱へと呼びかけながらね」
「そのゴミの元になってるジュースの販売員か」

 容器はどうみてもカミコップ。その辺にポイ捨てされるのは目に見えてるな。

「ははは。大丈夫。ポイ捨てする冒険者にはギルドからペナルティが課せられるからね。君も気をつけてね」
「ペナルティ? 例えばどんな?」
「えっとね、冒険者ギルドでも技能を教えてもらえるんだけど、それにはあるポイントが必要なんだ。ポイントはギルドからの依頼を完了すれば貯まっていくみたいだよ。で、ペナルティは、その貯まったポイントを減らされるっていうね」

 ん? 技能?
 その辺りの事を尋ねても、コスタは知らないのエンドレス。
 今度ギルドにも行ってみよう。

 コスタと二人でそんな会話をしていると、何故かどんどん客が増えてきた。
 コスタの接客はNPCゆえに、注文を聞いたら次の瞬間にはジュースがその手に握られている。
 が、さすがに一人だと対応が厳しいようだ。

「て、手伝おうか?」
「本当かい!? じゃあそこに立って」

 と言って、ジューサーらしき道具の前に立たされる。

「お客さんの注文を聞いて、飲み物が用意されたら手渡して」
「え? そ、それだけ? ジュースの用意って、誰が?」

 コスタ以外誰も居ない。

「す、すみませーん。あ、あのぉ、パインミックス、く、ください。きゃっ」
「え、あ、はい?」

 水着を着たお姉さんがもじもじしながら現れた。

 戦いますか?
 はい、いいえ。

 そんなテキストメッセージが脳裏に浮かんだ。
 いや、システムメッセージじゃないんだけど、そんなイメージだ。

「ほら、マジック君。お客様にお渡ししてっ」
「え?」

 うぉ!?
 い、いつの間にか俺の手に紙コップが!?
 しかもジュース、入ってるし。

 手渡すと同時に「チャリン」という音が鳴る。

「もしかして、金が俺の所持金に入ってる?」
「うん。あとで売上金はちゃんと貰うから」
「え? じゃあ、計算しねえとダメじゃん」
「大丈夫。私がカウントしておくから」

 さすがNPC。計算は任せよう。

 しかし何故こうも客が多いんだ!?
 途切れる事無くやってくる客のほとんどは女だ。
 明らかにプレイヤーっぽいのもいるし、NPCっぽいのもいる。NPCっぽいのには男性客もいるが、プレイヤーはほぼ女一択だ。
 プレイヤーについて言えば、水着の奴等も居れば普通の装備のもいる。
 共通してるのは、全員が俺を威嚇するようにガン見していること。

「いやぁ、マジック君のお陰で売り上げアップだねぇ」
「なんで?」
「なんてって、マジック君はその、つまり……エルフの美男子だからさ」
「美男子? お、俺が?」

 フツメン以上でも以下でもない、人生十六年だけどモテ期なんて到来した記憶もないんだが。
 あ、そうか。ゲーム内じゃあダークエルフの超絶イケメンだった。
 って、俺目当てで集まって来てんのかこの連中!?

 そ、そうか。今の俺ってモテ期なのか。
 嬉しいやら、それでいて悲しいやら。
 所詮この体はアバターだからな。しかも超絶にカスタマイズされた……。
 ま、まぁ、今はこのモテ期を満喫しよう。





 満喫して……疲れました。
 ざっと一時間。ひっきり無しに訪れる客相手に、ひたすらジュースを渡すだけの作業。
 あまりにも単純作業すぎて目が回るぜ。

「はーい。申し訳ありませんが、材料が切れた為本日の営業は終了いたします。またのご来店をお待ちしております」

 コスタのセリフが神様の温かいお言葉のように聞こえる。
 客のほうからはブーイングが鳴ったが、そんな事知ったこっちゃねえ。

「マジックさんはまた来ますか?」
「次に店番するときは、是非水着を着てください!」
「え? 持ってない? えぇー、マジックさんのふんどし姿見たかったのにぃ〜。きゃ〜、言っちゃったぁ」
「やーん。私も見たいぃ」

 モテ過ぎるのも怖いですお母さん。
 ふんどしを見たいなんていう女が居るとは……そういえば物々交換でふんどし持っていった女プレイヤーの人、あの後どうしたんだろうか。
 店を閉める準備を手伝っていると、まだ残ってる女性陣の中から一人のプレイヤーが一歩前に出て来た。

「あ、あの。もしよかったらこの水着、貰ってください」
「え?」

 出されたのは白くて長い布。
 嫌な予感しかしない。

「これ、昨日アイテム交換で貰ったものなんです。でも男性用なので、私は装備できないし。買い取って貰おうと思っても10エンにしかならないし。お願いしますっ。貰って下さい!」
「……あの、それ……もしかして俺の?」
「はっ!? や、やっぱりあの時のダークエルフさんだったんですねっ。めちゃくちゃカッコいいから、きっと見間違いじゃないと思ってたけど。でも違ってたら恥ずかしいと思って」

 ……戻ってきたよ、ふんどし。

 手渡した本人はその後、悲鳴を上げながら明後日の方角に逃走していった。
 何故?

 ふんどしを受け取った俺を見て、キラキラした目で見つめてくる女性陣。
 そのキラッキラは本当にキラッキラで……ん?
 おかしいな。こんなエフェクト効果あったのか?

「わっ。店員さんが光ってる」
「なにこのキラキラ。少女マンガみたい〜」
「店員さん、光ってますよ〜」

 は? 俺が?
 と思ってきょろきょろするが、視界にキラキラが見えるだけで俺自身は見えない。

「あぁ、それはね、『ナンバーワンホスト』という称号効果だねぇ。これだけ女性に人気が出れば、その称号が手に入るのも頷けるよ」
「ホ、ホスト……」

 ここはいつからホストクラブになったんだよ!!





 売上金をコスタが受け取り、そこからバイト代として1000エン貰った俺は、急いでその場から逃げた。

《ぶぶぅ》

 コスタを手伝っている間、ぷぅの機嫌はマックスで悪い。
 NPCの男の店員が来たときだけ、肩の上で踊ったりしていた。
 可愛いと言って手を伸ばす女プレイヤーには、かたっぱしから突いて回ってたな。

 あ、ポーション貰い損ねた。
 バイト代でポーション買うか。

 町に戻る道中、ぷぅが嘴を開けて鳴きはじめた。
 もう空腹なのか!?

 ステータスを見せてもらうと、空腹度は11の『空腹状態』に。

「くそぅ。残り一個の課金餌なんだぞ。よく味わって食え」
《ぷっ》

 見せた傍から猛烈な勢いで食うし。一瞬だし。
 町に戻るついでに、安い店売りの餌も買い込んでおこう。

 まずは……

「NPC探しからだな」





*************************


『ナンバーワンホスト』
 露店や店舗の売り子として立つ際、
 本人の顔周辺がキラキラと光り輝き、時には薔薇も咲き乱れる。
 その結果、大いに集客が見込めるだろう。

 尚、効果は女性に対してのみ発揮される。

*この称号は毎週水曜日、21時から90分間開催される
 ナンバーワンホスト決定戦によって、最も人気のあった
 男性店主(バイト含む)に一週間の間付与されます。
ナンバーワンホスト称号。
今回はサービス開始直後ですので、一度の開店中に集客の多かったプレイヤーに送られております。
次回からは説明通り、イベント?にて勝者を選出する仕様となります。
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