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殴りマジ?いいえ、ゼロ距離魔法使いです。  作者: 夢・風魔
バーション1.01【始まり】
63/268

63:ぷぅ、技能講習を受ける。

『発見』技能を習得したものの、常時隠れたアイテムが見えるわけでもなかった。

 じぃーっと目を凝らして、何かないかと念じながら探さないと見つからない。

 見つかったときには、岩なんかの下に半透明状態で見える。その岩をどければ、見えていたアイテムが出てくる仕様だ。

 時間が掛かるが、レベルが上がればすぐに見えるようになるんだとか。


 頑張って目を凝らしていると、頭上で巣が揺れ動く。


《ぷぅーっぷっぷっぷぅ〜》


 頭上から屁の音が聞こえる。


「おいこら! 人の頭上で屁をこくな!!」

《ぶぅ〜》


 摘み上げたぷぅを掌に乗せて説教をすると、何やら講義するような声を上げる。

 そして――

 嘴を開け、

 無いにも等しい翼でバンザイポーズをし、


《ぷぅーっぷっぷっぷぅ〜》


 とさっきと同じ音を出す。


「あぁ、お前の声だったのか」

《ぷ!》


 まるで「そうよ!」とでも言うように、短い翼で俺を指|(?)指す。


「屁じゃなかったんだな。悪かったよ」

《ぷっぷぷぷぅ〜♪》


 分ればいいのよ分れば。

 とか言っているのだろうか。

 それから嘴を開け、またぷうぷぅ鳴き始める。

 なんかアレだな。

 ツバメの雛が口開けてるのに似て――


「まさか空腹なのか!?」

《ぷぅ♪》


 解ったならさっさと餌をお寄こし。

 とでも言っているのだろうか。また嘴を開けてぷぅぷぅ鳴き出す。

 本当に空腹なのか?

 こいつのステータスとか、見れないものかな。


「おい、お前のステータスは見れないのか?」

《ぷ》


 ぷぅが返事すると、俺の視界にこいつのステータスが表示された。

 おぉ、見れるんじゃないか。



◆◇◆◇


名前:ぷぅ

種族:ピチョン

状態:幼生期


スキル:--


好感度:+20

空腹度:12|(空腹状態)


◆◇◆◇



 空腹度12か。12ってどのくらいだったっけ。

 まぁいい。空腹状態である事に変わりはないようだ。

 インベントリから昨日買った課金餌を一つ取り出し食わせる。

 がつがつと啄ばんで、あっという間に無くなった。


「ぷぅ、もう一度ステータス」

《ぷ》


 今のでどのくらい空腹度が変わるのか見ておかなきゃな。


 空腹度:0|(満腹中)


 よしよし。ちょこちょこと空腹度をチェックするか。

 何分ぐらいで空腹になるのか、それを知っておかないと餌の事もあるし。


 木の実集めを手伝いながら、五分置きぐらいにステータスをチェック。

 その結果、だいたい十分で1ずつ増える感じだ。

 12で飯をくれと催促してきたし、単純に12増えてランチタイムとすれば……百二十分――二時間か。

 そんなサイクルで飯を食われたんじゃ、課金餌なんて買ってられないぞ。


「ふぅ。ありがとうお兄さん。お陰でこんなに木の実が貯まったわ」


 そう言って技能を教えてくれたNPCが笊を見せる。

 笊は十個に増えて、その全部に山盛りの木の実があった。

 うーん、大量大量。

 俺の『発見』もぐんぐん上がって、既にレベルは5になっていた。

 特にスキルなんかもない、採取系の技能なんだろうな。

 となれば、IMP貯金用の技能として、なかなか活躍しそうだ。


「たくさん頑張ってくれたから、お兄さんにこれあげる」

「え? ど、どうも」


 受け取ったアイテムは……『合成剤』が十個。

 合成剤? なんだこりゃ。






「これは読んで字の如く、アイテムの合成に必要な素材だよ。さっき渡した報酬アイテムにも、これが混ざっているけどね」

 

 さっそくトリトンさんに聞いてみた。

 あ、確かにインベントリにある合成剤は、アイコンの横に数字が30と書いてある。

 アイテムの合成か。接着剤みたいなものか。まぁ見た目もまさに接着剤のような容器に入ってるし。

 ファンタジーな世界に、こういう容器ってどうなんだろうな。


「合成にも、出来るアイテムと出来ないアイテム。組み合わせ不可能なアイテムと、いろいろあってね。私も全部を知っている訳ではないんだけれど」

「へぇ。面白そうですね。ライフポーションとマジックポーションを合成したら、ライフマジポーションとかあるんだろうか」

「そうそう。まさにそれが出来るんだよ。ちょっと待っててね」


 そう言ってトリトンさんは奥の部屋から、まな板だ丼鉢だのを持ってきてテーブルの上に置く。


「マジック君、いらないポーションなんか持っているかい?」

「え、ああ――どうぞ!」


 実演して見せてくれるのか!

 わくわく、わくわく。


 ライフポーションとマジックポーションを丼に入れ、その中に合成剤の中身をとろとろと流し込んでいく。

 ぜーんぶ流し込んだところで、丼がカッと光った。

 出来上がったのは紫色の液体が入った小瓶。

 瓶の形はライフやマジックポーションと同じ物で、大きさもほとんど変わらない。


「はい、マジック君」

「あ、どうも」


 ライフマジポーション……さっき俺が言ったのと同じ名前のアイテムじゃないか。

 説明を読むと、HPとMPを同時に回復するとなっている。その回復量も、元のポーションとまったく同じだ。

 一度に両方回復したいときには便利そうだな。

 

 他にはどんなアイテム同士が合成できるのか。

 鳥の巣と何かを合成して、どうにか見てくれをよくできないだろうか。


 出来上がったポーションをじっと見つめ思案していると、


「覚えてみるかい?」


 トリトンさんから悪魔の囁きが聞こえた。






 トリトンさんのうんちくを聞く事三十分。

 合成には成功率があって、技能レベルが低ければ当然成功率も低い。

 が、合成するアイテムの素材としてのランクによっても成功率が変わってくる。

 ポーションでも、初期のポーションならレベル1でも五割ぐらいの確率で成功する。

 けどポーション?になると、技能レベル1では一割も成功しないという。

 そんな話しを、実演を交えて丁寧に教えてくれたが、あまり頭に入っていない。

 なんせトリトンさんが説明するたびに、


「それで、失敗したアイテムはただのゴミになりますから」

《ぷ》

「まぁ雑貨屋なんかだと買い取ってくれますけど……」

《ぷぅ!》

「1エンですからね〜」

《ぶぅ……》


 何故かテーブルの上に降りて、トリトンさんの話を真剣に聞いているぷぅ。

 相槌するようにぷぅぷぅ言いながら頷いたり、じっと丼を見つめたりと、なかなかコミカルに動いている。

 そんな奴を見ていたら、トリトンさんの話しも半分ぐらいしか頭に入らねえよ。


 が、技能は無事に習得できた。

 二十回ほどポーションで練習したが、確かに成功率は半々ってところだな。

 ライフマジが十本、新たにインベントリに加わる。


「じゃあ最後に――」


 ぉ、まだ何か教えてくれるのだろうか?


「この技能を私から学んだってことは、他言無用でお願いするよ」

「え?」

「実はね、私の古い知り合いに、この技能を使って商売をしている人が居てね。あまり良い意味での知り合いでもないから、私がこの技能を他人に教えたとしったら、どんな因縁を吹っかけられるか解らないから……」


 良い意味ではないってことは、悪い意味での知り合いってことか。

 まぁわざわざ言いふらす事でもないし、寧ろ今は俺だけの専売特許にもしたいし。

 うーん、でも合成品を売ったりなんたりしたら、足が付きそうだよな。

 当分は俺個人の為にアイテム合成をするか。

 技能レベル上がればIMPだって増えるし、ノープロブレムだ。


「トリトンさん、ありがとうございます。技能の事は誰にも言いません。俺個人で使うアイテムだけを合成しますよ」

「まぁいつかはその知り合いに弟子入りして、技能を学ぼうとする人も出てくるだろう。そうすればあとはこっそり……ね」


 そうすればこっそり品物を市場に流して儲けても、バレないだろう。

 と言いたげだった。

 案外トリトンさんも悪よのぉ。






 トリトンさんに礼を言ってから家を出て、レベリングよりもまずは『発見』と『合成』技能を上げたくなった!

 が、『合成』はレベルが2になったばかりなので成功率はまだ望めない。

 素材ランクの低いものじゃないとな。

 そもそもランクってどうやって見るんだ?

 まぁ解らないが、解る事は一つある。


 初期エリアで取れる素材は確実に低い! はず。


「っとなれば港町に逆戻りするぞ〜」

《っぷっぷぷぅ〜》


 ぷぅを肩に乗せたままテレポートを唱え、港町クロイスへと飛んだ。

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