250:マジ、餌になる。
清算を済ませた後、路地裏へと移動する。
夢乃さんに頼まれていたというか、準備して貰っていた素材を合成する為だ。
「へぇ、素材同士の合成で等級を一つ上げられるんだ」
「あぁ。そうな……等級を……上げる!?」
シースターの一言で俺は慌ててレア素材を取り出した。
アルマジロからゲットした皮のレア素材と、蝙蝠からゲットしたレア羽を――。
【合成不可能なアイテムです】
という、無情なメッセージが浮かんだ。
「あぁ、ダメだったんだね」
「しょぼーん」
「ハイクラス同士やったらどうなん?」
と、夢乃さんにハイクラス素材を二つ手渡され、合成をやってみる――。
「同じくダメだった。合成でハイクラス以上の物は作れない仕様なのか」
「頑張ってダンジョン周回しろってことだね」
「けど一度倒すともう出てこないじゃん」
セシリアのところの執事がそう言ってるんだ。嘘情報ではないだろう。
「周回ダンジョン、あるんよ?」
と、夢乃さんが言う。
「え……どこに?」
「西の海岸」
西の海岸?
っていうと、海賊ダンジョン方面か?
「西の海岸にね、幽霊船が漂着しとるんよ」
「幽霊船……」
「海賊ダンジョンのボスが乗ってた船っていう設定らしくてね。中ボス二体、ボス一体が出てくるんだよ」
ボス三体か。それは美味そうだ。
で、この幽霊船ってのが、それほど広くもなく、ボスまで最速パーティーだと二十五分で行けるらしい。もちろん中ボス撃破込みでだ。
「そのうえ一度船を降りるとリセットされる仕様で、一日十回までリトライ可能なんだ」
「回数制限付きか。けどボス三体を十周できるなら、なんとか素材も揃えられそうだな」
「今後、そういった周回コース付きのダンジョンが増えるんだろうね」
「周回って、何?」
目をランランに輝かせ、セシリアが興味深そうに尋ねてくる。
俺は合成の真っ最中なので、隣でシースターと夢乃さんが彼女に説明しはじめた。
ダンジョン周回。
ボスからドロップするレアアイテムを目的に、何度も何度も攻略する行為である。しかも短時間で連続で、だ。
この手のダンジョンの特徴はMOであること。
パーティーを組んでいれば、その仲間だとだけ同じ空間に。別のパーティーがダンジョンに入れば、そのパーティー用にダンジョンが生成される仕組みだ。
まったく同じ内容のダンジョンが、入場パーティーの数だけ作られるってやつだな。
「じゃあ、その幽霊船は一日十周しなければならないの?」
「いや、義務じゃないから。別に一度で辞めたければそれでもいいんだよ」
「でも周回ダンジョンってことは、簡単に目的の素材が手に入るって訳でもないんっちゃよ」
「むぅ、そうなのかぁ」
セシリアも次の装備用に素材が欲しいんだろう。
俺も欲しい。
「明日はその幽霊船に行ってみるかなぁ」
「え!? マジック君、一人で行くの?」
〔ウミャーッ〕
ウミャーを両手で抱きかかえてぎゅっと締め付けたのか、ウミャーが悲鳴を上げてじたばたもがいてるな。
そのウミャーを慌てて地面に卸し、彼女は必死に取り繕うとしている。
そして何故か俺を見る。
「マジックくぅん。ペットフード分けてぇ」
「狸肉味でいいか?」
〔ぽっこっ!?〕
今度はガクブルと震える狸が一匹、夢乃さんの背後にヒュっと隠れた。
お前の肉じゃねえっての。
ノーマル狸を倒したときにゲットした肉だ。
素材でもなく売るしかない肉なんだが、合成ペットフードの新味用に買い取らせて貰っておいたんだが。
早速使う時がきたか。
「よし。ウミャー、食ってみろ。お前が狸肉試食モニターだ」
〔ウミャ!〕
〔ぽ……ぽごぉ〕
ガクブルが止まらない狸は、まるで悪魔でも見るような目でウニャーを見つめる。
そんなの関係ねぇ状態のウミャーは、新しいペットフードに涎だらっだらだ。
そして団子を一口でパクリ!
もぐもぐしていたウミャーだが、次の瞬間、口を開いてだぁーっと吐き捨てた。
〔ウ゛ゥ……ミ゛ャ〕
「そうか。不味かったのか」
〔ぽんぽっこ〜っ!〕
嬉しそうだな、狸。
しかし、不味い団子になるとはなぁ。
今まで何でも合成してきたが、場合によってはダメなのもあるのか。
「いろんなタイプのペットに、試食モニターになって貰わなきゃなぁ。シースターの恐竜も頼むな」
「うん。でも恐竜って、肉食と草食居るからどうなんだろうね?」
けどその草食恐竜だってアクティブでプレイヤーを襲ってくるんだぜ。
そして奴らに俺たちは全滅させられたんだぜ。
「マジックくぅん。ウミャーの空腹度がぁぁ」
「あ、ああ。悪い。じ、じゃあ……恐竜の肉な?」
〔ウ゛ッ〕
あ、明らかにウミャーの顔が不信そうな顔でこっち見てるぞ。
たった一回不味い物作っただけじゃん。
ちょちょいのちょいっと――。
「さぁウミャー。出来たぞ!」
団子を差し出した俺の手を――。
〔ウミャ!〕
「いっ――痛エェーッ!」
がぶりと噛みついた。
*11/20の活動報告に、PSO2でのキャラクリを弄って彗星マジックを再現されたツイッターへの
リンクを張りました。
読者の方だと思うんですが、捧腹絶倒ですので是非ご覧ください!
一応相手の方の許可?は頂きました。
お読みいただきありがとうございます。
書籍も是非よろしくお願いします。
さぁ、続巻出来るのか!?




