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221:マジ、わっしょい。

「ふ、二人は先住民に会って、どうするつもりなんだ?」


 そう俺が尋ね返すと、二人は随分と長い間硬直した。

 シンキングタイム長すぎ。

 当たり前だが、その間もモンスターが湧いて襲ってくるんだが……二人ともノーダメだよ。

 こっちは割と必死なんだけどな。


 ガジガジと噛まれたファリスとアイリスが動き出したのは、俺がモンスターを三匹倒したあたりだ。


「彼らが我々の敵ではなければ何もしない。だが――」

「もし先日のような襲撃を繰り返すのであれば、無視する訳にもいきませんから」

「警戒はされるだろうが、もし我らと共存が可能であればよし、そうでなければ戦うことになるだろう」


 いやいやいや、全身フルプレート着た女騎士とかが乗り込んだら、警戒どころじゃないだろう。

 戦闘になる光景しか想像できないんですけど?


「豊穣の女神ティモーネに改宗してくださるといいのですが」


 改宗って……なんとなく邪悪な単語に聞こえるのは何故なんだろうな。

 そして俺の脳内に浮かぶ。

 改宗を拒否って嬲り殺されるディオ以下モブキャラの姿が。


 ガクブル。

 い、いかん。この二人をディオの住む村に連れていってはダメだ。


「あ、あの。二人が先住民の村に行くのはちょっと……」

「ん? 何か不都合があるのかい?」

「いや、あの……」

「彼らが敵でないかどうか、私たちはそれを見極めに行くのですが。彗星マジック様は何故彼らに?」


 それは、ディオに来いと言われて……あ。


「じ、実は俺――」


 そこで俺はディオと再会してからの出来事を二人に語って聞かせた。

 ディオは俺を先住民の英雄だと思い込んでいる。そして開拓民の村を手中に収めているとも。


「俺はこのまま、この大陸在住ダークエルフの振りをしたまま、彼らに接触しようと思うんです」


 再び長いシンキングタイムに突入し、エリートコボルトにガジガジとかじられている二人のNPC。

 待っている間、こちらに襲い掛かっているのを蹴散らすので手一杯だ。

 硬直していたファリスの、武器を持っていないようの手――左手が動く。


〔ギャワンッ〕


 その左腕をガジガジしていたエリートが一匹、吹っ飛んだ。

 それからまるで埃を払うように手をぱっぱと振る度に、かじっていたエリートが次々に吹っ飛んでいく。

 当然、吹っ飛んだエリートコボルトは光の粒子になって消える、と。


「彗星マジック様。それはつまり、スパイ……ですか?」


 聖女アイリスも同じように、グーパンチでエリートコボルトを蹴散らしていく。

 ヒーラー……だよな?

 エリートどもと目視することもなく、その辺を飛んでる虫を追い払うような感じなんですけど。

 グーパンチと言っても、実際には十字架を装備してて、どうもあれば武器扱いになっている……らしいんだが、実は気のせいでやっぱりグーパンチとかいうオチはないよな。


 いったいどれだけのレベル差があったらあんな風になるのか。


 そして彼女の口からでた「スパイ」という言葉。

 俺はもっと別の事を考えている。


 ディオは言っていた。

 食う物に困っている、と。

 後からやって来た開拓民は、あっさり田畑を作って、それが羨ましいと。

 ならディオたちの住む領域に畑が出来たらどうか。

 きっと開拓民を襲う必要もなくなるだろう。寧ろ襲いたくない感じすらある。

 もちろんそれはディオ個人の考えかもしれないが……。


「では君は先住民たちに、畑を作ってやるというのか?」

「いや、俺は農夫じゃないんで、畑のほうは……ただ、開拓民がどうやって痩せた土地と豊かにしたのか、その方法が分かれば、それを先住民に伝えられればと」

「その方法を伝えるにしても、開拓民と共に移住してきた冒険者として伝えても、信用して貰えないかもしれませんものね」


 そうなんだよ。アイリスの言う通り、冒険者として教えても聞いて貰えないと思う。

 まず先住ダークエルフと思わせておいて、ディオたちの村を開拓し、田畑を作れるようになって真実を話す――という作戦で行こうと思っている。

 まぁディオの村が実際どんな状況か、まずは見ておかなきゃならないもんな。


 話し終えた後、ファリスとアイリスの二人はシンキングタイム――ではなく、深く考え込んだ後、頷きつつこう告げた。


「分かった。危険もあるが、今最も有効な手段とも言えるな。君に任せよう」

「そうですわね。出来る事であれば、平和的解決が望ましいですものね」

「ありがとう、分かってくれて」


 ふぅ。最悪のシナリオは回避できたな。

 ディオの村に何人居るか知らないが、この二人と戦って勝てるNPCなんて……大賢者かブリュンヒルデぐらいだろう。


「我々が何か力になれることがあれば何でも言ってくれたまえ」

「彗星マジック様の計画が無事に進められるよう、各要人方が動かぬよう手配いたしますわね」

「そうだな。聖騎士のブラッシュあたりは、悪は滅びよと躍起にもなっていたからな」


 誰だそれ?

 それよりも、悪はどうとかってファリスも言ってそうなんだが。

 しかし話からすると、一部のNPCは先住民との共存を望んでいなさそうだ。

 うぅん。

 侵略系ゲームはほとんどやったことが無いし、どうやって戦争を回避したものか。


 あ、ちょっと詳しそうなのに思い当たる人が居た。

 ディオの村に行った後にでも尋ねてみるかな。






 向かうところ敵なしNPC二人に守られながら森を抜け、そして山を下る道までやってきた。

 森を抜けると突然景色が一変する。

 見渡す限り、一面土色の大地が広がっていた。

 振り返れば木々の生い茂る鬱蒼とした森。

 前方は荒野。

 あまりにもクッキリ別れすぎてて違和感ありまくり。


 ファリスとアイリスの二人とはここで別れ、あとは一人で先住民の村を探す。


 切り立った土壁で挟まれた道を下り、やがて平坦な開けた場所に出る。

 うぅん。雑草すら生えてない。

 田畑を作るなんてあの二人に言ってしまったが、本当で作れるだろうか今更不安になってきた。


 いや、深刻に考えるな。

 これはゲームなんだ。野菜が数時間で実るような、そんなとんでも世界なんだぞ。

 岩だらけの土地にだって、畑は作れるさ。


 なぁ〜んて事を考えてたら、気が付くと目の前には槍先が突きつけられていた。


「怪しい奴めっ。貴様、開拓民か!?」


 三人の男に囲まれ睨みつけられる。

 服装は質素だし、三人とも痩せている。


 開拓民かと尋ねてくるってことは、やっぱ先住民だよな。


「ま、待ってくれ。俺はディオに誘われて、彼の村に行こうとしてだな……」

「な、ニ……でぃ、お……」


 おおぅ。彼らの音声がおかしくなったぞ。

 シンキングタイム発生時にたまに起きる、この音声不具合。

 こう、音声をスロー再生したような感じのこれは、ちょっとホラー映画を彷彿とさせるから止めて欲しいんだけどな。

 しかもシンキングタイムが長いっていう。


 この辺りはセーフティーゾーンなのか、それともエリア切り替えゾーンなのか、モンスターの姿が見えない。

 さっきみたいにガジガジされる事もなく、先住民NPCは安全に硬直している。


「我らの英雄か!?」

「おわぅ、ビックリしたっ」


 突然かよ!

 しかしここで「違います」って答えるとどうなるんだ?


 脳内シミュレーションをしてみよう。――


「違います」

「な、なんだってー(AA略)」

「ならば冒険者かっ。殺せ!」


 ――はい終了。

 ダメだ。ここは素直に、


「その通りだ」


 ふんぞり返ってそう答えると、三人から歓声が沸き上がった。

 男から歓声をあげられても、米粒ほども嬉しくない。


「英雄様。さぁ村にお越しください」

「我らが案内致しましょう」

「あ、ああ。それは助かるよ。場所も知らなかったし」


 手を引かれそのまま歩き出すと、突然目の前に村が現れた!?

 え、ちょ、待って。

 今どうなった?

 移動の過程を省略してねえか??


「皆の衆。英雄様がお越しになられたぞ!」


 一人がそう言うと、あれよあれよと人が集まって来た。

 そしてあっという間に俺は担ぎ上げられ、何故か胴上げが始まる。


 俺……これからどうなるんだろうか?

 いったい何プレイをしているんだろう。


 そう思わずにはいられなかった。

主人公以外のキャラステ公開~♪

えぇ、いつも通り忘れてましたよ?

名前:シンフォニア / 種族:人間タイプ

レベル:? / 

Ht:168 / Wt:50


HP:-- / MP:--


STR:? / VIT:? / DEX:?

AGI:? / INT:? / LUK:?


SP:0


【セット技能】

『無表情』 / 『ツッコミ』 / 『ボケ』

『うっかり』 / 『改変』 / 『毒舌』



【獲得スキル】

『改築』


*命名後の追加技能

『表情』



今回はステの存在しないシンフォニアたんです。

技能はお遊びです。

それっぽいものを付けてみました。

初期なのに技能数が多いのは内緒です。まとめられませんでした。


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