挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
殴りマジ?いいえ、ゼロ距離魔法使いです。 作者:夢・風魔

バーション0.00【オープンベータテスト】

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

13/103

13:マジ、間違った魔法の使い方をする。

 青い屋根。軒先に白いハンカチ!

 家の戸をノックすると、直ぐに元気いっぱいなピリカの声が聞こえてきた。

「勇者様、来てくれたんだぁ」
「あぁ、約束だからな、来たぞ」
「わぁーい」

 でもお前に会いに来たんじゃなく、大賢者に会いに来たんだけどな。
 戸口から中を覗きこむと、それらしい白髪白髭のおじいさんが居た。
 俺と目が合うと途端に――

「あいたたたたたた。腰が、持病の腰があぁぁぁぁ」

 と言って腰を曲げ、痛みに顔を歪め始める。
 おいおい大丈夫かおじいさん。まぁNPCといえども、寄る年波には勝てないってことか。

 奥から見覚えのあるNPC、ピリカの父親も出てきた。
 この親父さん、普通そうに見えて実は大賢者の息子だからなぁ。人は、いやNPCは見かけによらずだな。

「あれ? おとうさん、どうしたんですか?」
「いや、持病の腰痛がな」
「持病? そんなもの、ありましたっけ?」
「あったんじゃよ! いたたたたたっ」

 息子も知らなかった持病か。鈍感な息子さんだな。

「おい若いの。海岸に行って、塩ワカメを集めてきれくれんかの。あれは腰痛に効く、良い薬になる」
「おとうさん! 冒険者さん、夜の海岸は危険ですから、止めたほうがいいですよ」
「そうだよ勇者様。夜はねぇ、お昼よりもつよぉ〜いモンスターが出るんだよ。危ないから、勇者様行かないで」

 ぉ、なるほどなるほど。これが所謂試練クエストというやつだな。
 海岸にいる強いモンスターね。
 幸い、雷マジである俺との相性はバッチリ。
 望むところだ!

「安心しなピリカ。大賢者様、無理しないで横になって待っててくださいっ」

 踵を返して向うは、夜の海!





◆◇◆◇◆◇◆◇

 シェル / LV:7

◆◇◆◇◆◇◆◇


 見たまんまの貝だな。サッカーボール大だが、掴めなくも無い。
 口をパカっと開いて、勢い良く閉じる時の反動で跳ねて移動してんのか。ホタテ貝みたいだな。
 上手いこと跳ねたところを鷲掴みして、そのまま『サンダー』をお見舞い。
 うーん、倒しきれないか。さすが格上モンスターだ。
 試しに左手の杖でポクっと殴ってみたら、ひっくり返って粒子になった。
 あともう少しってところだったか。
 じゃあ、一発魔法、残りは杖で素殴りだ。

 しかし、月明かりだけじゃあ少し暗いな。狩りが出来ないって程じゃないが、少し遠くは見えないし、ワカメも見つけ難い。
 そうだっ。『ライト』って魔法があるじゃないか!

「『ライト』……おぉ! 明るいぞっ」

 掌の上で微妙な距離を浮かぶ光り。そのまま地面に置き、転がしてみる。
 暫く転がってからすぅーっと消えてしまった……。
 ダメだこりゃ。魔法の射程分転がると、消えてしまうんだな。
 じゃあそこかしこに置いて……あ、二個目の光玉作ると、先に作った分が消えてしまうのか。これもダメか。
 素直に一個作って辺りを照らしてワカメを探すか。

「『ライト』。第一ワカメ発見! 貝も発見! うりゃあぁ『サンダーッ』」

 ぽこんと叩いて止めを刺し、見つけたワカメをゲット。

「『ライト』。あそことあそこか。またシェルがいやがるな。邪魔すんなっ『サンダー!』」

 ぽこんと叩いてワカメ2ゲット。

「『ライト!』。おおおぉっ! 四つ発見っ。サザエも見つけたぜっ」


◆◇◆◇◆◇◆◇

 シェルマキマキ / LV:7

◆◇◆◇◆◇◆◇


「なんだモンスターかよ。『サンダー』」

 ぽこんと叩いたが倒せなかった。
 もう一度叩いてみる。
 よし、倒せたな。

「『ライト!』 お、今度はイソギンチャクのモンスターか」


◆◇◆◇◆◇◆◇

 イソギンチャック / LV:7

◆◇◆◇◆◇◆◇


 触手を伸ばしてくるとは、エロ担当か?

「けしからんっ。『サンダーッ』」
《ぎゅるる、ぎゅるっ》

 うわっ。喋ったよこいつ。とりあえず叩くか。とりゃっ。
 よし、死んだ。

「次の得物はなんだ!?」

 気のせいだろうか、随分とモンスターが寄って来ている感じがする。
 そういや、イカ漁とかって夜の海を明るく照らしておびき寄せるんだっけか。でもこいつらはイカじゃないし、気のせいだよな。





 つい目的を忘れてレベル上げに専念してしまった。だってうじゃうじゃいるんだし、ノンアクティブだから安全だし狩り放題じゃん。
 でもそろそろ目的を思い出してワカメワカメっと……どのくらい必要なのか聞いておけばよかったな。
 とりあえず三十本集まったが、足りるだろうか?

 月明かりの下、急いで町に戻ってみたがもう夜だしなぁ。
 俺の時間の間隔と、ゲーム内での時間の移り変わりは別物だし、もう夜中に該当するやもしれない。
 けど……けど、新しい技能を手に入れたいっ。
 ついでにドジなNPCがぽろりした『重力操作』についても、大賢者とか設定されてるおじいさんなら知ってるだろうし、こっちも聞きたい。
 その為にも、おじいさんの腰痛を治さないとな!

 家の明かりが消えてたらここは素直に諦め、付いてたらノックする。
 うん、それでいこう。

 ……。

 付いてたーっ!
 まてまて、焦るな俺。近所迷惑だってあるんだ、ここは静かにノックしないとな。
 って、ここはゲームの中なんだし、近所迷惑なんかある訳無いよな。
 うーん、VRに毒されはじめてんのかなぁ。

 とにかく今はノックだ。
 静か〜にノックすると、出てきたのは親父さんの方だ。

「冒険者さん、まさか本当に行ってきたのですか? さすがと言うべきなのでしょうが、あなたはピリカの恩人ですから、無茶はして欲しくなかったのに」
「いやいや、俺、雷属性が得意なんで、海岸にいるようなモンスターなんて、屁でも無いですから」
「おぉ、そうだったんですか。とにかくまぁ、中へお入りください。ピリカは既に眠っておりますので、その」
「おっと、すみません」
「いえいえ、ではこちらへどうぞ」

 親父さんに通されて中に入った家は、木製のテーブル、木製の椅子、壁も床も木製の、ファンタジーな世界としては誰もが想像できるような造りの家だ。
 椅子にはおじいさんも座ってて、俺を見て驚いたような顔をしている。

「まさか、本当に行ったのか?」
「行ったいった。さぁ、ワカメですよ大賢者様。これをどうやって使うのか知りませんが、足りますか?」

 インベントリから塩ワカメを取り出そうとすると、光の粒子が腕時計から出て来て、俺の手にワカメが握られていた。
 微妙に……ぬるっとしてて気持ち悪いな。

「ぐぬ……そ、そうじゃ! それは加工せねば使えぬ。わしは調合技能は持っておらぬから、このままではただのゴミじゃ。あぁぁ、痛い。腰が痛い。お前さんも調合技能なんぞ持っておらぬであろう。残念じゃ。非常に残念じゃ!」

 くっ。そうだったのか。
 いや、そうだよな。薬になるってんだから、粉にするとか、ぐつぐつ煮込んで溶かすとか、あるよなっ。

「解った大賢者様。調合技能持ってる人を探して頼んでくるぜ!」

 ダッシュで家を出ると、そのまま町の中心部へと向った。
 さっき、ピリカの家に向う途中にも通ったが、中央はプレイヤーが集まってて賑やかだったからな。
 ちらほらと取引を呼びかけるプレイヤーの声もあったし、昼間にギルドの事を教えてくれた人みたいに生産特化の人もいるかもしれねえ。
 寧ろ昼間の人がいたらなぁ。

 四車線道路ぐらいの広さの中央通り。道の両端には屋台が建ち並んでいるが、店主はNPCっぽいな。
 定期的に聞こえる「いらっしゃいませ」があんまり感情も篭ってないし、なんか無機質に感じる。
 そんな屋台の間にはござを敷いた人が座っていて、こちらは感情の篭った言葉を発していた。つまりプレイヤーだな。

 調合か。薬っていうか、ポーションとかを作る為の技能だろうな。
 なら、ポーションを売ってるござ露店を探すか。
 えーっとポーション、ポーションっと……

「あれー。イケメンダークエルフの新規君じゃん。どうしたん?」
「えーっと、ポーション屋、ポーション屋……」
「ねぇねぇ、ポーション探しとるの? 私、少し在庫持っとるけど、買う?」
「え?」

 後ろから声を掛けられていたことに気づいて振り返ると、薄紫色の髪と目をした、女エルフのプレイヤーが立っていた。
 なんたる偶然。なんたる奇跡!
 LUK1でも、リアルラックはカンストでしょう!

「探してたんだ! 欲しいのはポーションじゃなく、調合技能持ってる人なんだ!」
「え? え?」

 かくかくしかじかで事情を説明する。

「ふーん。NPCのお使いクエストかぁ。うん、私、調合もっとるよ。まだレベル2だけどね」
「十分十分。このワカメを薬に加工できれば、なんでもいいよ」
「オッケー。任せるばい。まぁレシピが無いけん、試行錯誤せんとだめやけど」

 三十本で足りるだろうか?
 足りなければ追加の材料も取ってくるか。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ