095 エルフ の 王国 気になります
一応私のヘッポコ冒険譚を御所望との事でしたので、昨日今日の二日間で遭遇した魔物との熱い戦闘(?)の内容を語る事に致します。
といっても本当にラビ君を棒でドリャー! した位で特に珍しい事してないんですよね。
蜘蛛にも出会いましたが餌を設置して逃亡したと言うと、カイムさんが『あんな蜘蛛なんぞボコっと叩いてやれば問題ないぞぃ?』とか言いつつ凄い笑ってました。
ぐぬぬぅ、次回は蜘蛛に出会っても、もうちょっと気合を入れつつ頑張って戦闘してみようかな。
見た目に騙されている可能性がありますからね!
でもカイムさんのご意見は余り参考にならない気がします。
主に戦闘面では。実力の差がありますからね。
蜘蛛のお話をしてる最中のラティアちゃんはと言うと。
なぜか凄い興味がありそうな顔をして私の言葉を聴いていましたよ……
えええラティアちゃん!? おっきい蜘蛛興味あるの!? なんという事だ。
そんな感じで会話しつつ歩いていると、ラティアちゃんのお家の前に到着致しました。
結構な距離歩いたなーと昨日は思っていたのですが、話ながらだと結構あっという間ですね。
それでは、また今度ねラティアちゃん!
「うん! おねえちゃんばいばーい!」
ラティアちゃん宅からポーションを売りに行く為、メディカさんのお店へと移動開始です。
私の背後からは、玄関前でラティアちゃんが何時も通り笑顔で飛び跳ねつつ、激しい動きで手を振ってお見送りしてくれています。
ラティアちゃんの今日の服装は、下はショートパンツに白黒ストライプのタイツ、上は暖かそうな大き目の白いフワフワが付いているチュニックです。
上着が大きくて丈が長いので、パッと見て下に何も身に着けていない風に見えます。
非常に色々と危険が危ない(?)ファッションです。でも似合ってますね。
今日の服装も、ピョンピョン飛び跳ねたりしても大丈夫! な服装です。
それにしてもラティアちゃん色々な服のバリエーションがあって凄いなぁ……
ラティアちゃんのお母様が沢山購入するタイプの方なのでしょうか。
私なんて子供の頃の服装といったら、地味なジャージばっかり着ていた記憶しかないですよ。
私が寒がりなのがいけないんですけどね。手足とか結構冷えるタイプです。
未だに冬場の制服スカートは厳しく感じる今日この頃。
ファッション重視のクラス女子様達は平然と足を出して暮らしていますけど。強靭すぎる。
そんな事を考えながら笑顔でラティアちゃんに手を振り返している最中。
ふと先ほどの事を思い出しました。そう、例の出来事ですよ。
カイムさんに色々聞こうと思っていた事がありましたよ。
「カイムさん……とりあえず頭をペチコンするのは許して差し上げましょう」
「なんじゃ!? 唐突に年寄りを折檻する算段をつけたと思うたら、直後に許されたぞぃ!?」
私の横で驚愕の表情を浮かべているカイムさん。
私的には至極当然の成り行きだと思うのですよ。
とりあえず適当に自分の観点で物を私に捻じ込むのは、主に私の心臓に悪いので止めて下さいね。
カイムさんのお言葉は聞かなかった事にしておいて、先ほど雑貨屋さんであった出来事をお話しすることに致します。
「雑貨屋さんに買い物に行ったのですが、そこで鑑定師のリーナさんに会いましたよ」
「折檻の話は終わりかの!? というかヤツに会ったのか! アイツ元気じゃったかの?」
唐突な折檻の話がスパっと打ち切られてビックリしたカイムさんでしたが、その後続いた私の言葉にさらに驚いて、何かを思い出す様にアゴを擦りながら私に先を促してきます。
まぁ、元気だったというか何と言うかですね……どう表現したらいいんだろうか。
「初対面時は、雑貨屋さんでフード被った状態でアイテムを持ってハァハァいってました」
「うむ、至極普通の状態じゃな」
とりあえず一番最初にあった時の、第一印象そのままをカイムさんに伝えたのですが。
えぇぇ普通の状態なのか……片っ端から鑑定してるのは昔っからなんですね。きっとカイムさんが持って返って来たアイテムをリーナさんが狂喜乱舞しながら鑑定する、っていう構図だったのでしょうか。
何となく想像が付くのが、いやはや何とも。
「それでですね、買い物を済ませて表に出ようと思ったら、肩を掴まれて引き止められまして」
「なんじゃ、貴重なアイテムでも身につけておったのかの?」
引き止められた所でカイムさんからそのようなお言葉が。
非常に慣れている感じの口調でしたので、これも昔からやっている行動なのでしょうか。
あたり構わず引き止めてたら怒られるんじゃないのかな。
「リーナは昔から貴重なアイテムに対しての嗅覚が凄くてのぅ……ついにはスキルにまで昇華させて周りを驚かせていたもんじゃよ」
「スキルですか?」
「うむ、アレじゃな……至近距離に貴重なアイテムがあると判る、という効果のスキルじゃよ」
「うわぁー、物凄いピンポイントにリーナさんっぽいスキルだぁ……」
そのスキルの効果で私が【緑石のペンダント】を身につけている事に気がついて、私の後を追いかけて肩を掴んだという流れでしょうかね。防犯装置の代わりとかにも使えそうな便利スキルだ。
高級店の出入り口の脇に立っていてもらえば凄い役に立ちそう。
でもそういう場所にくるお客様だと元から貴重なものを持っていそうな気もしますね。うーむ。
でも、どの程度の距離まで近づけば貴重なアイテムの存在を感知できるんでしょうか。
雑貨屋さんの時は、商品のお会計するときにリーナさんのすぐ横を通り過ぎたので、その時に反応を感じたんだろうなぁとは思うのですが。肩を掴まれたタイミング的にもぴったり一致しますし。
その辺カイムさんが知っているかお伺いしてみましたが。
「範囲は物凄い狭いぞぃ! 確実性を求めるなら手が触れ合う位の距離じゃないと駄目だのぅ」
「はー、そこまで使い勝手のいいスキルじゃないんですねー」
リーナさんがいたら、例えば洞窟とか遺跡みたいな凄い貴重なアイテムが沢山ありそうな場所で、迷わずに荒稼ぎできる! みたいな使い方が出来るかなー? と思ったのですが。
流石にそんな美味しい話は無かったようですね。
そもそもリーナさんの戦闘能力は如何程なのか、そこの所も問題になってくるお話ではありますが。
エルフのイメージとしては細い剣とか弓とか魔法とか、そういった物で敵と戦っているといった私的固定概念があるのですけど。ソースは主にファンタジー映画とかですけど。出来るエルフ。
「ヤツは魔法がある程度使えるくらいで、戦闘はからっきしじゃよ」
「木に登るのが得意とか、弓の名手とかそういった感じのは無いんですか?」
「大多数のエルフは自国の森に引き篭もっておるから、その辺のスキルは確実に高レベルじゃな」
ふむ? エルフって実はあまり見かけない種族だったりするのでしょうか。
この二日ですでに2人目の種族エルフとの遭遇でしたので、あまり気にもかけていなかったんですけど。
アルシェさんとリーナさんのお二方ですね。両方『特徴的』で覚えやすい方達です。うん。
そして大多数のエルフは弓と木登りが得意……という事はすなわち、リーナさんはその辺あまり得意じゃないって事でしょうかね。うむ色々と納得。
とりあえず、把握し切れていないエルフの希少価値について、カイムさんに聞いてみましょう。
「実はエルフって珍しい種族だったりします?」
「気が付いておらんかったのかの!? 祝福の冒険者としてのエルフならば昨日から増えたとは思うが……この世界のエルフは普通、森の外にはあまり出てこないんじゃよ」
「へぇー、凄いエルフっぽい暮らしぶりですねー」
「何がどうしてエルフっぽいという感想が出てきたのかよく判らんが、まぁそんな感じじゃよ」
あれですよね、交易とか何かしらの使命を帯びた者とかじゃないと、軽々しく森の外に出てはならぬ! ソレが掟なのじゃ! とか長老っぽい人に言われて、外の世界に興味を持ったエルフが『ぐぬぬ!』 ってするやつですよね!
漫画とか小説でも良くある感じの光景だと思います! これぞファンタジー!
「やっぱり厳しい掟とか勝手に表に出たら追っ手が来る! とかあるんですか!?」
「なんでそんな密偵みたいな設定になっとるのかの!? ナイナイ! そんなの無いワイ!」
あれぇー? もしかして私の想像というか、出典先が怪しいファンタジーなエルフ知識とはちょっと違う感じですか?
でも……そう言われればその通りですよね。
だってリーナさんとか百年単位で王都とやらで鑑定のお仕事とかしてるって話でしたし。
掟とかそういった物があるなら、普通それだけの期間があれば連れ帰られてる可能性が高いですよね。
「エルフという種族自体が一つの『古代国家』として認識されとるから、エルフ達が住んでおる大森林から出たり、逆に入ったりする際の審査が通常より大分キツイ位じゃよ」
「ほぇー、軽々しく足を踏み入れると罰則があるみたいな感じですか?」
「うむ、大体そんな感じじゃな。国境を無許可で越えて侵入するのと同等じゃからな」
なるほど、色々と面倒な手続きが必要って感じですか。
そのうち機会があったら、エルフの大森林とやらにも行ってみたいですね! 旅行気分で!
未だくしゃみ鼻水モード継続中。
一度体調を崩すと長引くんですよね。困ったものです。
次回月曜日も投稿できない可能性が御座います、ご容赦の程をー




