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093 東門内散策 と 毛玉ラティアちゃん

 いやぁー予想外の場所で同志(蜘蛛が苦手的な意味で)を発見してしまいましたね。

 唐突に横から会話に割り込んだにも拘らず温かい反応を頂けた事にとても感謝です。


 その後、あのフサフサ具合が駄目! とかあのワサワサいってる足の動きが苦手! など蜘蛛の見た目的な脅威についてお二人が会話しているのを、横で頷きながら聞いておりました。


 そして、お話だけの冷やかしで露店を後にするのは何ですので、折角だから薬草の束を幾つか購入させてもらいました! ポーションにして売れば普通に儲けが出る金額設定ですから問題無しです!


 清算を済ませた後にペコリと頭を下げて露店を後にしようとすると、背中に『頑張ってねー』という声援を頂いてしまいました。はい! お姉さんも露店頑張って下さい!


 いやぁーアイテムボックスが材料でパンパンです。

 これは今日の【調薬】はハードな作業になりそうですねー。


 休憩しながら進めても、スタミナが枯渇して時間が掛かってしまいそうですね。

 さて、今朝はラティアちゃんとカイムさんは、公園に来ていらっしゃっているでしょうか。


 早くポーション作成を終了させるべく、東門をくぐって即座に公園へと向かおうと思いましたが、折角町の東側に来ているのですし、この辺りにはどのような建物があるのか確認するのも悪くないかな? と思いつきまして。


 とりあえず周囲を確認しつつ、毎度お馴染みの噴水前まで中央の通りを進んでみる事にしました。

 この辺りにも、なにか便利なお店とかがある可能性がありますからね。


 左右を眺めながらゆっくりと通りを進んでいきますと、看板にベッドの絵が描いてある二階建ての建造物を発見いたしました。あの建物ってもしかしなくても宿屋さんではないでしょうか?


 となると、ゲーム内で睡眠を取る事が可能なのかもしれません!

 ゲームプレイしながら寝るってどういった感じなのでしょうか?


 身体の方は横になっている状態ですし、ある意味寝ているといっても過言では無さそうなのですけれど……あれかな? 脳の活動を抑制とかして休む! みたいな感じなのかな?


 でもわざわざゲーム内で寝る人ってどれ位居るんでしょう?

 時間を潰す為としても、ログアウトしていたほうが実質二倍の速度で時間が流れるわけですし。


 何か寝ることで良い効果とかが有るのかも知れないですが、ちょっと想像がつかない感じです。


 宿屋さんの他にも、飲食店っぽい建物が幾つもあるのを発見しました。

 入り口からちょっと中を覗いたりしてみましたが、結構お客さんが入っている感じですね。


 店舗前の透明なケース内部に、凄い精巧な食品サンプルっぽい物が置いてあるのを見て、ファンタジーっぽくないよ! とちょっと笑ってしまいました。


 すっごい普通のレストランっぽい外観なんですもの。変なところで現実風ですよねこのゲーム。

 判りにくいよりは判りやすい方が断然良いので、こういう所はウェルカムですけど!


 こういうお店はやっぱり女性のお客様が多いみたいですねー……

 私みたいに、男性に混じって立ち食い系の食事をしている人は少ないのだろうか。

 もしかして私って悪目立ちしてたりする可能性が!?


 そう思って、噴水周りの露店で食べ物を買っていた人たちの、男女比を何となーく脳内に残っている記憶で確認して見ますと……

 あーうん、多分女性プレイヤー殆どいなかった気がする!

 気のせいじゃない気がします! 普通はゆったりお店で食事する物なのでしょうか。


 立ち食い系の食事って感じがしますもんね、噴水周りの屋台で食べると。仕事頑張ってる系。


 ま、まぁレストランの食事とかアイテムボックスに保管したり出来ないでしょうし!

 適当に持ち歩ける食べ物の方が私にはあっていると思うのですよ!


 決して言い訳じゃないですよ? 金銭的な問題も有りますからね! うん納得。


 でも今度一度で良いから食べに来てみようかなと、心の中のメモ帳に書き記しておくのです。

 ついでにアイテムボックスから本物のメモ帳(国営図書館で買ったヤツ)にも、町の東にレストランがあって食事できる、とメモっておきました。これで忘れる事はないはず。


 メモ帳の存在自体を忘れてしまう可能性は考慮しません。まぁ大丈夫でしょう、うん。


 そんなこんなで無事噴水前までたどり着きました。

 町の東側には完全に冒険者向け、と云う感じのお店は少なかったですね。

 ショッピングモール的位置付けなのでしょうか。


 今だに多数の露店が開かれている噴水周りを見回しつつ、公園へ向けて歩を進めます。流石にお財布の中身が乏しくなってきましたので、露店で衝動買い! とかは止めておきましょう。

 お買い物するならば、まず稼いでからです。


 何時も通りマップを開きつつ、何時も通りの道を進んで迷うことなく公園へと到着。


 進むルートを固定すれば、マップ無しでももう迷わないで済みそうですね。

 変に近道しようとすると絶対迷うと思いますし。


 最短ルートじゃなくても目的地に安全につく事を優先するのです、うむ。

 公園に足を踏み入れますと、滑り台の所に見覚えのある姿を確認致しました。


 ラティアちゃんの色鮮やかな青色の髪の毛と可愛いお耳は、遠くからでも目立ちます。


「あっ! フワモおねえちゃん!」

「ラティアちゃんお早うー!」


 私を発見したラティアちゃんが、素早い動きで滑り台から滑り落ちて着地、こちらに駆け寄ってきてガシっと私の尻尾に抱きつきます。

 うむ、ラティアちゃんも私自慢の尻尾がすっかりお気に入りですね。


 そんな事を思いつつ、尻尾めり込み状態からラティアちゃんが再起動するのを待っておりましたが。


 尻尾モフモフを堪能中だったラティアちゃんの動きが急に停止、ズボっと尻尾から顔を引っこ抜くと……

 左右に何度も首を傾げながら、不思議そうな顔をして小さい右手で私の尻尾をナデナデし始めました。


 ん?……あれぇ!? 何? 何か私の尻尾に変な所でもあったかな!?

 不安になったので私自身も尻尾に触ってみましたが、おかしい感じはしませんね??


「なんだか きょうのフワモおねえちゃんのしっぽ すごいふわふわしてる」

「ふわふわ?」


 理由を考えて数秒……ああきっとあれですね!


 ココに来る前に、蜘蛛に激しく攻撃された心を落ち着かせる為と言いつつ【ふわふわブラシ】で念入りに尻尾をお手入れしたからですね。悪い事じゃないのなら問題ナッシングです。


 その後も飽きずに私の尻尾をモコモコ弄っていたラティアちゃんに、カイムさんは今朝も来ているのか聞いてみた所、何時も座っているベンチで毎度お馴染み一服中との事。

 あのお爺様もマイペースですよね。人の事は言えませんけれども。

 

 じゃあカイムさんの所に行こうか、とラティアちゃんとお手手を繋いで移動を開始したのですが、私の右手に抱えられているメリアの毛入り布袋を視認したラティアちゃんが、袋上部からモッコリと湧き出ている白い毛の塊を見て首を傾げています。


「フワモおねえちゃん そのしろいのなぁに?」

「これはねー、町の外の牧場で買ってきた、メリアっていう動物の毛だよー」

「あっ! メリアしってるよ! おでかけしたときに みたことあるよ!」


 そう言ってニンマリ笑ってドヤ顔しているラティアちゃん。うん可愛い。


 ラティアちゃんがメリアの毛を触ってみたそうに、興味津々な感じで袋を見詰めていましたので、物は試しと毛入り袋をラティアちゃんにお渡しして持ってもらった所。


 がっちりと袋を抱えたラティアちゃんの上半身が、完全に袋と毛で隠れてしまいました。

 袋を両手で抱えつつ、私の顔を笑顔で見上げながらピョコピョコと歩いているラティアちゃん。


 うん、これはこれで非常に良い。やっぱりお手伝いしたい年頃なのだろうか。


「ほほぅ、可愛らしい毛玉が歩いておるのぅ」

「あっ! おじいちゃん? おじいちゃんどこー!? みえないよー!」


 ベンチに座っていたカイムさんが、大きい袋を抱えて歩いているラティアちゃんと私を発見して立ち上がると、此方に向かって歩きながら声をかけてきました。ラティアちゃんが反応してて面白い。


 その後カイムさんと合流した私とラティアちゃんは、すっかりポーション作成施設と化してしまった、毎度お馴染みの公園休憩場へ移動を開始するのでした。

 さあ頑張ってポーション作りますよー!

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