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071 アイテムボックス と 空腹の 罠

またフワモ的説明回ですので。

適当にささーっと流し読みで問題ないです。

 司書のお姉さんからの無言の念押しを、ソレはもうシッカリバッチリ理解いたしました。

 心のメモ帳にしっかりと刻み付けておきましょうね。


 そうだ! カウンターで購入した本物のメモ帳の出番でもありますね!


 ココまでで見知った事柄を、簡単にでも良いので書きとめておきましょう。

 こういった記憶の取っ掛かりになる様な保険を用意しておけば、うっかり内容を忘れたり誰かに知識を教えたりする時にも安心です。備忘録万歳。


 カウンターで購入した紙束とペンを魔法のポーチから取り出して、今まさにお聞きした内容を要点だけの箇条書きで書き留めていきます。

 よーしコレで大丈夫、のはず! 唸れ私の記憶力。


 ついでに一冊目から今までの分の内容も思い出しつつ、一目で判るように書き連ねていきます。

 冊数とページ数は大分ありましたけれど、必要な内容といえばそれ程多くないですね。


「アイテムボックスの加護が云々、と考えると少々把握し辛い感じがしますが、大きい荷物袋を抱えている、と云う風に喩えて考えれば、少し判りやすいと思いますよ」


 私がメモ帳に色々と書きとめつつ首を捻っていたら、司書のお姉さんが黒縁眼鏡に右手を添えつつ、判り易い例え話をして下さいました。

 そっか、ものを出し入れ出来るっていう機能だけで喩えれば、変に難しく考えないで良いのか。 


「でっかい袋の口を開けて持ち歩いているって想像すれば、怪しいって言われるのも判りますね」

「……祝福の冒険者さん用に、アイテムボックス専用の本を用意しても良さそうですね……」


 そう言って、ブツブツ何か呟きながら胸ポケットから取り出した小さいメモ帳に、何か文章を書き込んでいる司書のお姉さん。ペンの動きが物凄い素早い。

 もしかして本の作成を注文するつもりなのでしょうか……お仕事大変だなぁ挿絵の人。


 アイテムボックスは、プレイヤーにとっては薄っぺらい板状の物ですけれど、住人の皆さんから見れば中身の確認できない大きな荷物袋に見える訳ですねぇ……サンタクロース?

 アイテムボックスを開いているという事は、大きい袋を持ってるという事と同義である、といった意識を持って行動していれば、住人の皆さんから怒られる事も無いかな?


 魔法的なパワーでアイテムボックス内も確認できるような、現実のお店に設置されている様な、出入り口で荷物をスキャンする、万引き防止装置の魔道具とかもあったりするのかな。色々とハイテク風味な物が存在したりしますし。


 そういった物が設置されてそうな、大きい店舗へ入場した事が無いですし、今度見に行ってみようかな!


「それでは、仕事も残っておりますので、そろそろお暇させて頂きますね」


 色々と考えながらメモ帳の内容を確認しつつ、そうだ店舗と言えばブラシをまだ購入していなかったよ! という事に私が気付いたタイミングで、司書のお姉さんが微笑みつつ静かに席を立たれました。


 あぁそうだった! お仕事に戻る途中で引き止めてしまったのでしたね!


「はい! 長々とお時間取らせてしまってスミマセンでした!」

「いえ、ちょっとした休憩にもなりましたので」


 私が恐縮してペコペコと頭を下げていると、笑いながらそう仰って下さった司書のお姉さん。天使か。


 あと、読み終わった本は書籍の整頓ついでに本棚に戻しておきますよ、との事。

 至れり尽くせりで感謝感激。


 私の持ってきた本を右手で抱えつつ、颯爽とした歩き方で仕事に戻っていく司書のお姉さん。

 その後姿を見ながら、そう言えば自己紹介をするのを忘れてるよ! と毎度ながら気が付くのでした。


 何時も通り迂闊な私であった。二度あることは何とやら。


 もー挨拶の事もメモ帳に書いておこう……片っ端から思いついた事書いちゃおうかな。


 でも……適当に書き込み過ぎると後で見たときに『あれぇ? この文章どういう意味だっけ?』ってなるんだよね。自分で思いついて書いた内容なのにね! なりますよね……なりません?

 実際問題、私には良くあるお話なのですよ。


 ノリとインスピレーションだけでメモると起こる悲劇である。さようなら貴重なアイデア。


 先日、自分で書き記した意味不明なメモ内容に、小一時間悩まされた事があったのを思い出して、一人でトホホと苦笑いです。


 あっとそうだ! 身体発光インパクトの凄さで脳内から掻き消えてたけど、わざわざココで装備変更したのは、冒険者装備の破損度を確認する為だった!

 あまりのショックでスポーンと目的が飛んでいってました。


 今からする行為は怪しい事ではないですよー! という証明になるかなーと思い、カウンターに座ってらっしゃるウサギお姉さんから、シッカリ見えるような角度でメニューを呼び出して、アイテムボックスに収まっている冒険者装備の破損度を確認してみます。


 うん、両方『問題無し』の表示でした。良かった良かった。


 恐らく、壊れてきたら見た目も変化するでしょうし、何かしらの兆候が見られたら、その時に一度確認しましょう。

 ……装備を元に戻すのは後にしましょうかね。また輝く訳には行きませんのでね。


 それでは『しっておきたい 【アイテム】の色々』の続きを見て行きましょう。


 『品質』の説明の続きに、『破損度』の最大値は『品質』に影響を受けると書いてあります。


 例としては『品質』が高いと『破損度』の部分が『性能低下』状態になるまでの猶予が長い、という事らしいです。これは『品質』が低いと痛むのが早くなり高ければその逆、っていう事ですね。理解しましたよ!


 後は『属性』と『付加効果』の二つの項目ですね。


 『属性』の方は、主に素材の元々の性能が一つと、生産物ならば材料の組み合わせ等によって現れる、特殊な効果全般の事を表している物らしいです。後は加工の手順や完成度でも変化するとか?

 物によって『付加効果』がない物は存在するようですが、基本的に『属性』の方は全てのアイテムにある項目だと書いてあります。


 そして『付加効果』の方ですが、スキルや装備の効果によって付けられたり、特殊な手順を用いれば他の品物に移し変える事の可能な特殊効果、という感じ? みたいです。


 うーん、難しいですね……

 あと、『付加効果』には能力に難易度が設定されている? 等と表記されています。

 この二つの特殊な効果を合わせたものが『その品物の性能』という表現になる、と締め括られていました。


 つまりは、この『属性』と『付加効果』の内容がわかれば、どの様なアイテムであるかが、ほぼ判るという事でしょうか。やはりアイテムの能力は奥深いですね。


 次の『効果待機時間』は、そのままそのアイテムに定められた待ち時間、で正解のようです。

 ここで問題なのは、効果を発揮するアイテムと、効果を受ける対象、両方にこの『効果待機時間』が存在する、という面倒な法則があると言う所。


 例えば装備品であるならば、装備したプレイヤーの方には特に待ち時間は存在せず、持ち替えた後に武器の『効果待機時間』が経過すれば、ちゃんと装備本来の性能を発揮するらしいのですが。


 これがポーションとなると、ポーションの待機時間とポーションを使われたプレイヤーの待機時間の2種を気にして使用しないといけない、という何とも頭の痛くなる仕様があるとか?

 色々と難題ですね……ううむ。


 最後の『詳細』はその名の通りアイテムの細かい説明等が確認できる部分、だという事です。

 そのまんまの意味ですね。深く考えなくて良いのは助かります。


 最後の項目を読み終え、パタリと本を閉じて両目を手で揉みます。

 長時間本を読んでいると精神的な物ですが疲れますね……現実世界とは違い、別に身体が疲労していたりはしていない様ですが……首をグリグリしたりウーンと両手を上に伸ばして伸びをします。まぁ気分の問題です。


 ふと思いついて、現在ステータスを確認してみると、読書はスタミナを消費する行動みたいですね。

 スタミナのゲージが最大値から2割ほど減っていました。

 座って本読んでいるだけで、時には動悸息切れしたりするのでしょうか……嫌な光景だなぁ。


 等と考えつつ、読み終わった本を本棚へ戻しに行く為に立ち上がろうとしたその時。


 静かな空気の流れる図書館内部で、グゥーと盛大にお腹のムシが活性化し始めるのであった……

 ぬわぁ!? 何でいつも絶妙なタイミングでお腹が鳴るの!?


 周りを見回してざっと確認、音が聞こえる様な距離に人が居ない事を把握して、ほっと胸をなでおろしたのですが……

 受付カウンターに座っていたウサギ耳の司書さんが、大きなお耳をピクピクさせつつ、此方を視認しておられました……あー! あれ聞こえてる! 聞かれたよコレ!


 例の開いているのか閉じているのか判らない、細い目からの視線が、ゆっくりと私の顔とお腹の辺りを行き来します。

 その後、生暖かい微笑みと頷きを頂けましたよ……いっそ大声で笑ってやって下さいデス……

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