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070 読書で発光!? 『眼鏡の司書さん』

司書のお姉さんその2。

一体図書館で何話使うか……乞うご期待?(何

 念のため、現在装備している【冒険者】装備一式の破損度を確認しておいた方が良いでしょうか。

 身につけている防具系の装備は、魔物から攻撃を受けたりしたら破損するのでしょうか? 転んだりしただけなら大丈夫かなぁ……武器は殴ったら痛むのは確定だろうけれど。


 服とか、ただ身につけているだけでも痛んだりするのだろうか。


 衣服や鎧兜を装備して立っているだけで、ドンドン破損していくのであれば、ちょっと見た目的に面白いですね。ぱっと見はコント番組の様相を呈しそうです。


 まぁ流石に棒立ちしてるだけで鎧がはじけ飛んだりはしないか。

 水とか被ったら金属なら錆びたりはするかな?


 この辺り、装備品関連の詳しい説明は、その筋のギルドやお店で聞いたほうが早いかな。うん。


 折角ですので、最初に装備していた服に着替えて、今装備しているものの破損度を見てみましょう。

 アイテムボックスを開いて【普通の服 上】と【普通の服 下】を身につけます。


 図書館内部で唐突に光始める私。

 迸る装備変更の輝き! ぬわあああ! いかーん! これ恥ずかしさ的にアウトなんじゃ!?


 やらかした! と思い椅子の上でギュっと目を瞑って身構えていましたが……

 案の定、数秒後に目を瞑って視界を無くしている私の右肩を、トントンと優しく叩く方が。


 ……恐る恐る目を開いて、右肩に載っている手を見ます……

 その流れのまま、ゆっくりと右後ろ方面へと顔を向けますと。


 司書の制服を着た女性……先ほど本を探しているときにすれ違った、本の整理整頓をしていた方でした……が、眉間にちょっと皺を寄せた感じの、何ともいえない困り顔で私の顔を覗き込んでいました。


 ……黒髪ロングの背の高い女性ですね。黒縁の眼鏡が非常に似合っています。

 ……ぬああああ! ごめんなさーい! 悪気はなかったのですー!


「あのー申し訳御座いません、館内での加護を使用した装備変更はご遠慮していただけると……」

「す、スミマセンでした!」

「いえいえ厳密に禁止、と云う決まり事がある訳では御座いませんので……加護持ちの方以外は、このような所で着替えたり出来ませんですから」


 そう言って、うっすらと苦笑いの表情を浮かべたお姉さん……罰則等の発生する行動ではなかったようで、その部分だけはちょっと安心しました。


 そりゃどう考えても、着ているものを脱いで新しい服を着る、っていう従来の方法で着替えるのなら、無駄に身体が光ったりしないもんね。

 そして、そもそも普通に考えたら、国営図書館のカウンター前の読書スペースで着替える人が居ないよね。どっきり生着替え。あからさまに白い目で見られる事確定。


 ありえないと思われている行為に対して、罰則がないのも納得は出来ますが。

 やっぱりアイテムボックスの加護とやらは、此方の住人の方にとっては珍しい物なのでしょうかね? ちょっと気になりますのでこの際ですし、お聞きしてみましょうか。


「あの……不躾で申し訳ないのですが、ちょっとお聞きしたいことが」

「はい? どの様な御用でしょうか?」


 話す事はもう済んだとばかりに、作業に戻るために私の肩から手を離して、本が沢山載っているカートの方へ歩き始めようとしていた黒髪の司書さんが、私の声を聞いて首を傾げながら此方へ振り向きます。

 ああ、ちょっと申し訳なかったかな。


「いえその、アイテムボックスの加護と云うのは、やはり普通なら珍しい物なのでしょうか?」

「ああ、罰則についての流れで気になったという所でしょうか?」


 合点がいったという表情でニッコリ微笑んだ黒髪の司書さん、Uターンして再び私の隣付近に歩み寄ってきますと、色々と【アイテムボックス】について説明して下さいました。


「祝福の冒険者の方々には馴染み深い加護だと思いますが……この世界に済む者たちにとっては、非常に珍しい加護、となっております」

 

 立ち話もなんですので、とお隣の席をお勧めして座ってもらいました。業務中だと思うけど、大丈夫だったかな……

 何か反応があるかな? と思い、横目でカウンターに座っている先ほどのウサギ耳お姉さんの動向を確認してみましたが。


 特に此方へ気を向けている様な雰囲気はありませんでした。うん、一応問題ない感じかな?


「アイテムボックスの加護の名前自体は、とても広く知れ渡っているのですが……所持していた人物となりますと有名なのは、その身一つで商売を始め、富豪となった大商人が居ますね。ご自身で伝記まで書いて売りさばいていたりする、根っからの商売人な方です。後は……強い祝福を受けた神殿の騎士様が持ってた加護だ、というちょっと古い物語がありますね」

「ほー……物語の中や本当に限られた人しか持って居なかったものなんですねぇ……」

「まぁ……一昨日から一転して、珍しいスキルでは無くなってしまった訳ですけれど、ね?」


 そういって微笑みつつ私の顔を見てくる司書のお姉さん、うーん美人! 眼福眼福。


 でもまぁ、そのお話の通りに……プレイヤーにとっては、このゲームにログインした時から普通ーに使えている物ですよねコレ。

 まったくもって有り難味のないモノではあります。便利ですけれどね。


 珍しいって言われてた加護を持ったプレイヤーが、何千人単位で現れましたよ! ってなれば住人さん達もビックリすること請け合いですよね。

 大商人さんの株大暴落。安らかに眠ってくだされ。


「昔話で『祝福の冒険者ならば普通に持っている加護』という話は良く聞いていたことですが」


 私が顔も知らない大商人さんの落胆ぶりを想像しておりましたら、司書さんからそのようなお言葉が。

 祝福の冒険者なら所持していて普通! と云うのは、この世界の住人さん達の共通認識の様です。

 ならば大商人さんも、今頃何かしら手を打っているかもしれません。


 加護の話を色々と説明して下さった司書のお姉さん、ふと何か記憶を掘り返すようにコメカミ辺りへ指を伸ばして、目を瞑りつつ考え込むと……

 何か思い出した様な表情で一度頷き、先ほど私が目を通していた法律の本をスッと手に取り、大分後半のページ部分をパっと開いて、私に差し出してきます。


 うん? これは、ここを読んで見てって事かな?


「どうぞ、宜しければ此方の項目をご覧になってみてください。昨今まで所持するものが殆ど居らず、ほぼ形骸化してしまっていた、アイテムボックスの加護による不正行為を罰する法が書かれている所です」


 法律の本の本当に後ろーの方、後書きや著者名等が載っているページのちょっと前辺りに、チョロっと載っている数ページの簡単な物でした。


 内容としては、お店の品物を勝手に仕舞わない様にとか、アイテムボックスを開きっぱなしで建物内部に入らない様に、とかです。

 町の外なら開いたまま移動しても大丈夫みたいなので、私の採取方法はギリギリセーフだった!


 危ない危ない! 次から街中では気をつけて行動しないとね!

 あと、基本的に不必要なときは閉じているようにしないと疑われるよ! って事みたいです。


 それと、場所によってはボックスを開こうとしただけで、罰則が発生する場所もあるようです。

 主に貴重品が多く保管されているような場所はアウトだと。


 博物館や銀行はもちろん、普通の建物に配置されている防犯魔道具や防御用魔道具でも、設定次第ではアイテムボックスを開くという行為、それだけで不正の反応が出る場合があるとの事。

 うわー……これ知らないと大変な事になるんじゃないのかな?

 運よく教えてもらえて良かったんじゃなかろうか。


 無知な装備変更で、惜しげもなく身体を派手に光らせた事も、全くの無駄ではなかったのかもしれない! と、折角だから思っておきたい。


「このように、アイテムボックスの加護にも決められた法律が御座いますので、是非ご参考の程を」


 つまりは、今度からは気をつけてアイテムボックスの加護を使ってくださいね? という事ですね!

 そりゃもー非常によーく判りました! 色々スミマセン、ハイ!

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