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028 帰還方法 と 町の案内板

 それでは、戦闘区域から離脱して【革細工】のクエストを進めていく事にしましょう。


 今日中に終了させておかないとゲームを終えた後、気になってソワソワしてしまいますからね。

 ポーションと同じような感じで進んでいくのならば、なめし革を作成して終了になると思うのですが。何かしら装備品等作らないと駄目なのであれば、ちょっと時間が掛かりそうです。


 先ほどの魔法練習で倒したラビの御蔭で一枚増えた【ラビの毛皮】を確認しつつ、北門のほうへ足を進めます。

 ゲームログイン直後に比べると、北門前も少し人が減ってきたような感じがしますね。

 恐らくこの場所を卒業して、他の手ごわい敵がいそうな場所へと移動して行っているのでしょう。

 そう、人数がいれば安全に進めるでしょうし。


 そういえば、私は一人でプレイしているので気にしていませんでしたけれど、最大で何人まで一緒にパーティプレイできるのでしょう?

 1000人で一匹の敵に突撃ぃ! とか出来るのでしょうか。そこまでいくと戦争物みたいになっちゃうような気がしないでも有りませんが。流石に多くても十人位だよね。


 帰りの途中にも、辺りに残されていた薬草を採取しつつ戻ります。

 材料は大事ですからね。しっかり集めてお金を稼がねばなりません。


 何かの材料にでもならないかなーと思いつつ、手のひらに収まる程度の大きさの石ころ等も拾って、アイテムボックスに入れてみます。


 アイテム名はそのまま【石】でした。判りやすいというかなんと言うか。


 なにかの重し位には活用できるかな。投げつけたりも出来るかもしれない。

 焚き火の薪を囲うために丸く並べたりするのも、雰囲気があって良いかもしれません。


 でも、このゲームって外でキャンプとか出来るのだろうか? テントとか売ってるかな?

 昼間は視界が良好だからまだ良いとして、夜とかテントで横になってたら突然魔物が出てきたりして、ゆっくり睡眠とれなそうな気がするのですけれど。

 そのあたりはどうにかする手段があるのでしょうか。安全に寝れるアイテムとかあるのかも。


 そもそも外で寝泊りというか、ゲーム内で夜明かしをしなければならない様な出来事が起こる可能性があるのか、そこが一番気になるところではあるのですが。


 確かめるためにわざと野宿するなんて大冒険する気は、ちょっと無いですね……


 さて、なめし革は何処で作ろうかな?

 また公園にでも行って作成してみるかなぁ……うーん。


 そうだ! 折角お金が手に入ったんですから、生産職のためのレンタル生産用スペースとやらを活用してみましょう! 一体どういう施設なのかこの目で確認しておきませんと!


 通いなれた北門を通り抜けて、いつもの場所でお仕事中のガルドスさんにペコリと挨拶。折角なので毛皮集めが滞りなく完了した事をご報告しておきましょう!


「ラビの毛皮、無事に集め終わりました!」

「お疲れさん! 大分熟練の冒険者の風格が出てきたんじゃないか? はっはっは!」

「いやいやいやいや!」


 ないですないです! 本物の熟練冒険者さんに怒られますよ!

 そうだ、挨拶ついでにさっき疑問に思ったアレコレを聞いてみよう!


「ちょっとした質問があるんですが、今はお時間大丈夫ですか?」

「うん? この町に恵みを与えて下さる祝福の冒険者サマからの質問とくれば、イイエの選択肢は無いな! 基本的な門番の仕事の一つに、他所から来たお客さんに町の事を色々と教えて差し上げるってのがあるからな。まぁ案内板代わりってとこだ。遠慮せずにどんどん質問してくれて大丈夫だぜ」


 そう仰ると、ガルドスさんがグッっと親指を立ててコブシを突き出します。

 なんともイケメン風味漂うありがたいお言葉。何度も色々な知識を教えて頂いて、本当ーに助かっております。感謝感謝!


「流石! ガルドスさん有能!」

「おいおい褒めてもナニもでねぇぞ!?」


 私の掛け値なしの賞賛に対して鋭いツッコミが発生いたします。えー。


 いやいや、むしろ既に沢山の情報を出して頂いていると言うか何というか。

 実際問題、私ほど頻繁にあれやこれやと聞きに来る人は、この辺りには居ないのではないでしょうか。お礼にこっそり小銭でも握らせた方がいいのだろうか。

 ヘッヘ イツモアリガトウゴザイマス! みたいな感じで。悪代官かな?


 でも、なんとなく町の門番さんって公務員っぽいイメージがあるし、こんな所でお金とか渡されると、賄賂を受け取った的な容疑が掛かっちゃったりするかもしれない。しれなくもない。

 不安が残りますのでお金を進呈するのは止めておきましょう。

 まぁ、先ほどポコ豆を差し上げちゃったので、物で釣ってると言われそうではあります、はい。

 

 そういえばパーティ人数の事以外にも、他のプレイヤーさんは一体何処でどうやって、一緒に冒険へ行くための仲間を募ってるのか、それも謎のままです……

 何処か不特定多数の方々とパーティを組めるような、そんな施設があるのでしょうか。


 パーティの最大人数も気になるし、この機会にその辺りも全部まとめて聞いてみましょう。


「えっと、冒険者でパーティを作成するときって、人数の上限とかはどうなっているのか判りますか? あと、パーティの人員募集をする場合って、何か決まった場所や方法があるのでしょうか」

「ああ、確かひとつのパーティは六人が上限だったはずだな。メンバーの募集なんかは、町の南側にあるギルドで行なってると思うぜ。各種依頼なんかもあったりするから、そういうのに興味があるなら覗いて確認してみると良いかもな」


 なるほど、南側というと例の生産用スペースがある辺りかな。生産職にもギルドがあったりするのかも? マップで施設の名前を確認すればわかるかな。

 

「お、なんだなんだ? そんな事聞いてくるってぇ事は、遂に一緒に冒険に行く仲間でも募集かい?」

「あはは……まぁそのなんといいますか」


 パーティの詳細を聞き始めた私の行動へ、なにを深読みなさったのか判りませんが、ガルドスさんがニヤニヤしながら私の横に近づいてきて、右肩辺りをバシバシ叩いてきます。

 いえ、違うのデス。違うのデスヨ…… 


 私が現在覚えている生産スキルの材料なんて、パーティメンバーなんて募集しなくたって、北の平原や森で取れる材料ばかりですし、一人で十分賄えてしまうのです。

 わざわざ募集までかけまでパーティ組むなんて、とてもじゃないですが申し訳なくて出来ませんですよ。

 「一緒に薬草とってください!」とか、あまりにも達成難易度低すぎて、頼めるわけが御座いません。


 そのうちスキルが成長してきて、もっと危険度の高い場所にあるものが必要になったら、その時はきっとパーティを組むはず。組めれば。組みたいなぁ……


「ああ、うん、表情でそれとなく察したわ」


 察しの良いガルドスさんが私のシブイ表情を見て色々と理解を示して下さいました。

 やっぱり有能じゃないですか。

 うん大丈夫です、凹んだりしてはおりません、私は元気ですハイ。


「あ、あとですね、もし何かしら理由があって町の外で一晩過ごす場合、何か安全に夜を明かす方法とかコツとか、あったりするのでしょうか?」

「閉門時間まで外に居て、町の中に戻れなくなっちまった時の対処法って奴か。冒険者やってりゃ結構ある話らしいが」


 やっぱりこの手の話題は良くあることなのですね。

 そういえば、プレイヤーにも夜になったら眠くなるとか、動き回って疲れたら眠気が、みたいな物はあるのでしょうか。もしくはその様なものは無くて、余裕で二十四時間戦ったり出来るのでしょうか。どうなんだろう。


「一応、非常口みたいなものはあってな。緊急の用事があった場合なんかには、そこを使う許可が下りるんだが、普通に帰りが遅くて間に合わなかったーなんて場合は使えないな」


 そういってガルドスさんが北門の横にある、人が一人通れるサイズの頑丈そうな扉を指差します。 

 大怪我した人がいるんだ! とか、重大な連絡があるから開けてくれ! 見たいなシチュエーションで使うのでしょうか。


 まぁ折角防壁で囲っているのに、帰るのが遅くなった、って言って何度も非常口開閉していては防壁の意味を成さないでしょうからね。


「一晩外で過ごす場合なんかは、大体は門の横辺りに陣取って、一応不寝番を交代で立てたりして朝まで過ごす、ってー感じじゃなかったかな。一人の場合は寝ずに一晩過ごさにゃならん可能性が高いかもな」

「ひえー、とりあえず閉門時間に遅れないように肝に銘じます……」


 万が一私が締め出されたら、夜の間ずっと動き続ける事になる可能性が高い! って事ですね。

 オールナイトで採取ですか。夜のラビ狩りデスマーチですか。

 うん、字面的にも非常に遠慮したい。


「まぁダンジョンや外であっても、安全に過ごせるような場所が一応存在するらしいが、どの辺に有るのかってー聞かれると俺は知らんなぁ」

「ほほー、そんな場所もあるんですか」


 こう、神聖なる場所で敵が近寄れない的な、そういう雰囲気の安全地帯があったりするんでしょうか。

 北の平原付近には、ざっと見た感じですがそういった場所は見当たらなかった気がします。

 やっぱり魔物のボスが居る場所の前とか、町と町の中間地点みたいなチェックポイント風味な場所にあるんでしょうか?


 そういえば、町から締め出されたら夜が明けるまでゲームからログアウトしちゃう、って手段が使えるかもしれないですね。でも、適当な場所で普通にゲーム終了させたり出来るのでしょうかね?

 ちょっとガルドスさんに、そこの所も聞いてみましょう。


「あの、祝福の冒険者が町の外みたいな安全じゃない場所でログアウトした場合、どうなるか判りますか? そもそもログアウト可能なのかも判りませんけれど……」

「あー町の中や安全な場所じゃなくて、表で【依り代】(アバター)からあっちの世界へ戻る場合か。流石に俺達じゃぁその辺の詳しい情報は判らんなぁ……女神様の加護関係の話題だし、神殿で聞いてみれば答えてもらえるんじゃないか?」

「なるほど……神殿の方で聞いてみます!」


 これはアレイアさん辺りにお伺いを立ててみれば、詳しく教えてくれるかもしれませんね!

 マップの時みたいに、またメニューに説明が書いてあるような事柄かもしれませんけど!

 それでも臆さずに聞いてしまいましょう! そう、私があっちこっち調べるより、ズバっとアレイアさんに聞いた方が絶対早いのです。確定です。


 では、早速噴水前まで戻る事にしましょうか。


「戻るのかい、頑張ってな。凄腕冒険者になるのを期待してるぜ!」


 何故にプレッシャーを掛けてくるのですがねガルドスさん。頑張りますけど。


「えー、なめし革作ったら凄腕になれるのでしたら、すぐなんですけどね……」

「はっはっは、何事もまずは最初の一歩からだ! うっし、それじゃあ俺も門番の仕事に戻るとするかね」

「はい、ありがとうございました! お仕事ファイトです!」


 門前へと戻っていくガルドスさんを見送りつつ、コブシをぐっと突き上げてガッツポーズで応援いたします。何度もお手間を取らせてすみません、はい。

 私のガッツポーズを受けたガルドスさんが、ニヤニヤ顔で顎を擦りつつ此方に振り向き、一言。


「それにしても、今日はお嬢ちゃんの御蔭で色々と門番の仕事が発生して、全く退屈しねぇな!」

「……それは有り難がられているのでしょうか……面倒だと言っているのでしょうか……」

「はっは! どっちかっていうと、まぁそこはご想像にお任せだ!」


 ガルドスさん笑顔だし大丈夫だと信じたい。信じたい。

2016 5.28 AM 7:20 追記

※ 少々体調を崩してしまいました。

  次回投稿が遅れる可能性が御座いまする。

  申し訳御座いませぬ。

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