1
「でもさ、前まではこんなに暗殺者が家に来ることなかったよね!?もうこれ何回目だと思ってんの!?」
「183回目です、オレがお嬢様付きになってからの話ですが」
「数えなくていい!」
「そうですか」
そうですかじゃねーよ、こっちは本気で困ってんだよ!という視線を送ると、傍にいるギルベルト、私付きの従者は満足げに笑った。
くっそー、無駄に顔がいいせいで言い返す気が失せる。なんで君そんな顔面偏差値高いわけ?
40回目のため息をしそうになったところで、ズドーンと私の部屋のドアが開いた。
「お嬢様!」
「…!」
(びっ、くりした…心臓止まるかと思った…!)
「おい、ハンナ!部屋を開ける時はノックしろって何度も言ってるだろ!」
「はいはい、すんませんでした。でお嬢様、外のやつ片しといたけどいつも通りでいーですか?」
「…ええ、ありがとう…」
「ハンナお前、まさかあれ」
「ん?あぁ、私が1人で倒してきましたけど」
「はぁ……お前なぁ戦闘狂だからって」
「また『女は引っ込んでろ』って言うんですか?先輩だって、男で半魔のくせに全然戦えないじゃないですか。唯一の取り柄の魔法だって部屋にかけてたの私に破られてますよね」
「認識阻害魔法は普通の人間には破れねーんだよ!なんでお前しれっと破ってんだよ使うの大変なんだぞ?」
「勘でお嬢様がここにいる気がしただけですよ。今度は私に見つからないように頑張ってくださいね、まぁ無理だと思いますが」
彼女ーーハンナは戦闘狂である。メイドとは言うものの、彼女の得意分野は身支度の手伝いやお茶入れではない。寧ろ、護衛という方が近い。
そしてギルの方は、ハンナとは正反対、頭脳明晰だが運動の方はからっきし。私と一緒にハンナに守られる始末である。
ただし、彼は半魔だ。
ギルは家族の話はあまりしてくれないが、とにかく両親のどちらかが魔族だったんだろう。彼が魔族しか使えないはずの魔法を使えるのはそういう訳である。
ただ、何故か彼が使えるのは空間系の魔法だけだ。もしかしたら半分入った人間の血のせいかもしれない。
とにかく2人はタイプが違う。だから気が合わないというのも分かるんだが…
毎日毎日目の前で喧嘩されればつかれてもくるものである。
そもそも、主人である私の前でこんな姿を見せる2人は不敬そのものなのだが、2人が不敬な部分は指摘すればキリがない。




