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ヒーローストーリー!   作者: ミツヲ
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第5話「始まりの罠」

ハイル達一行が王都を発つ直前、南門の近くでの出来事。紺色のローブを深く被った人がニ人いた。

「彼だネ。青いバーダーに引かれている車だヨ。しくじるなヨ。」そう言ってその場を後にしたローブの人物。もう一人は無言のままその場に佇んでいた。




一方ハイルは「はえーー!やっぱ王都の車は違えや」車の窓から顔を出してその速さを体感していた。現在ハイルの村の近くブルーフォレストに向う途中で班はついでにハイルを森手前の村まで送っていくところだった。班はニ班に分かれて、ハイルはニ台目のバーダーに引かれた車に乗っていた。バーダーとは鳥類のモンスターである。身軽なうえ力があるので王都ではよく運搬や送迎などで愛用されている。そして人間にはとても忠誠的な態度である。レオンは前の車で先陣を切っているのでハイルはレノと名乗る魔術憲兵組の車にのっていた。王都騎士団には魔導兵団という組織が附属していて一応騎士団の支配下ではあるが魔導兵団は協力的であった。しかしレノは魔導兵団ではなく最近結成された魔術憲兵隊の一期生、そしてその隊長であった。剣術も魔術もどちらも一流に役割を果たすという目的で結成されたらしいが魔術も剣術も中途半端な隊が出来てしまったという結果の状態らしい。まあ一期生だし仕方がないと本人は気にしていない。しかし今回の任務ではそんな力が必要となるらしく、もし及ばないならばレオンが片付ければいいという話だ。ちなみにこの班で騎士はレオン一人、あとは魔導兵と魔術憲兵といういかにも魔法お試し任務だった。しかしもしもの場合騎士一人で大丈夫だろうか。

「あるいみ大丈夫じゃないかもね。あいつの強さは国を挙げるくらいだから、俺たちも巻き込まれてやられちゃうかもな」すこし不安な顔したハイルにレノはそう応えて車の中に笑いをもたらした。そうしてるうちに日が徐々に沈むころ車は休息のため一旦とまった。長距離には少し疎いバーダーなのでこういった休息を移動中に挟まなくてはならなかった。レオンが車から降りてきてこちらに向かって来て言った。「僕はここら一帯を見回ってくる。君たち休んでいてくれ。ハイルも初めてのバーダーの揺れは疲れただろうから、ゆっくりしていてくれ。三十分後に出発だ、何かあったら音玉を投げてくれ直ぐに駆けつける。それじゃあ」そう言って行ってしまった。やや焦っているように見えたがここら辺が危険なのだからだろう。王都から大分離れたので辺りは木々や岩に囲まれた風景だった。ハイルはいつも安全な道から来ているのでここの立地は詳しくしらない。「あと少しでダン村だと思うんだけどなぁ〜」バーダーの足の速さといつもと違う近い方の道だと考えるともうそろそろでもおかしくないとおもった。そもそも騎士様がわざわざ見回りするほど危険な場所ではないはずだ。ダン村では野獣が出たとしても村人が退治できるくらいのものだし「魔獣なんて見たこともないからなぁ」と言ってるハイルに途中経過を記入していたレノが「魔獣も野獣もそんなかわんねーよ!しかも魔獣はほとんど夜行性だし今出てくる心配はねーさ」と不安を和ませてくれる。でもまだ不安はあった。野獣がでてきたとしてもこの班が負けるとは思えない、魔獣はほとんどが夜行性だというから日暮れ時ならまだ余裕がある。となるとここら辺の脅威は野蛮なバリアントロールか盗賊などといったところだ。それでもこの班であれば大丈夫だと信じたい。そもそもこの班での任務は本当に魔法お試し任務なのだろうか。最近外交での小競り合いが多発しているのでその為に魔術憲兵隊が結成されたと言ってもいい。だとしたらレオンが焦っていたってのはまさかーーーー


瞬間、爆音と爆風にその思考は停止させられた。

ハイルは気を失ってしまった。


声が聞こえる。「…ル!」「ハイル!」目を覚まして一番初めに見えたのがレノの顔だった。レノが顔を覗き込んでなにやらそわそわしている。ここは車の中だろうか、少し暗い。ぼんやりした思考が咳き込むことによってハッキリとし始めた。「ハイル!よかった目が覚めたか。体の方は大丈夫か?」レノが言った。「ああ、確かいきなり爆発に巻き込まれて…」「ああ、俺たちは罠にはめられた。俺も気付いたらこの洞窟に…」とレノが言うと、ハイルは驚いた様子で「罠!?それに洞窟??」どうりで暗いわけだ。「でもなんで?誰の仕業なんだ??」とハイルは疑問ばかりが浮かんだ。「おそらく外にいるデストロールの仕業だろう。二体洞窟の入り口らしき方を見張ってやがる」とハイルとレノ以外の二人の魔術憲兵のうち一人が言った。この人が一番初めに目覚めたらしくその時くらトロール達はずっとあっちを見張りっぱなしだという。「落ち着こう。レオン達もおそらく状況に気付いているだろう。でもここで待ってるわけにもいかない。いいな?」とレノが言って腰にある剣に手を置いた。「あいつらと戦うのか?」「ああ、すまないハイルここで待っていてくれ。ここは俺たちで対処する。」ハイルは余計に不安になった。デストロールとはバリアントロールがデスという名のいかにも悪い奴に操られているトロールのことだ。知識は操られているのでそこそこ上昇し、力も増し、武器も扱う厄介な奴らだ。「俺も戦う!何か…武器はないのか?」ハイルは必死になるとレノは「だめだ!危険過ぎる。それに俺以外の武器はないからおそらくあいつらに取られた。俺は幸い短剣だったからバレなかった。」レノの剣は刃渡りは短いが、刃幅が太い、腰に据えたとき、ちょうど隠れるくらいの剣だったのでトロールからは見えなかったのだろう。「生憎こっちは魔術憲兵なんでな、武器は剣だけじゃない。後ろを向いている状態だから奇襲を狙う。お前は炎魔術で初手を頼む、そこから俺が斬り込みに行く、その後のフォローはお前に任せる。」と他の魔術憲兵二人に言った。これが憲兵達なのか、不覚にもこの状況でかっこいいとハイルひ思ってしまった。「ハイル、もし俺たちがやられそうになったらお前だけでも逃げてくれ。それだけの時間だけなら稼げる。なんとか洞窟を出てレオンの所へ」と予想外の場合の時の説明をしたレノ、ハイルは言い返した。「そんなっ、見捨てられるわけないだろ。俺もーー」「危ない!」トロールがこちらに気付いたのかデカイ岩を車へ投げてきた。奇襲作戦はもう既に失敗だ。「クソ!作戦はそのままで行く!頼むぞ!」

殺伐とした洞窟で戦いが始まろうとしていた。

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