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07 激しく悶えて凍りの儀式?


 俺の耳がおかしくなったのか分からないが、とんでもないことを言われた気がする。

 女性の口の中に自分の指を入れて、何をしようというのか。


「あんた、ただの人間だろ?」

「そりゃまぁ……特技を言えるほどの人間じゃないですけど……」

「だからー、この城に来んのに凍え死にそうになってた人間を、どうにかしてやろうって言ってんのさ!」

 

 もしかして、氷にも耐えられる人間になれるってことなのだろうか。

 そういうことならどんな意味であれ、ロッテさんの言うとおりにした方が身の為かもしれない。


「人差し指……でいいんですか?」

「何でもいいよ。とにかく突っ込みな!」

「で、では――」


 何だろう、何かいけないことをするような気がする。しかも相手は、シエルさんの妹さんだというのに、本当にいいのだろうか。


 色々頭の中で疑いと格闘しながら、俺はロッテさんの口の中に自分の人差し指を入れた。


「んっ、……んむっ――」

「ひええええええ!? な、ななななな……」

「すぐ、済む……からっ、そのまま」


 これは一体どこの世界に来てしまったのだろう。言われたとおりにしただけなのに、非常に気まずいし何故かシエルさんに対し、申し訳ない気持ちが込み上がって来た。


「あ、あのー……そ、そろそろ?」

「ふぅぅ……っ、はぁっ――よし、終わりだ!」

「――い?」

「いいぜ、ほら、儀式は終わったから指を引きな?」

「儀式……?」


 俺の指を入れられたロッテさんは、何かに満足したかのように顔を紅潮させている。

 

 さっきまで俺の人差し指を甘く噛みながら舌も這わせつつ、どこかの異世界に飛ばされそうなくらいのねっとりした視線を投げられていた。それなのに、今は何事もなかったような表情を見せている。


 一体俺は、何をさせて何を決められてしまったのか。まさか特別な意味を持つものじゃないよな。


「これであんたは、あたしが持つ能力の一つ、氷をどこでも作れるようになったぜ? あんたにとって必要なものなんだろ? 氷って」

「はっ? ま、まぁ……じゃ、じゃあ、凍え死ぬことが無くなるってことですか?」

「いーや、それは無理だな!」

「ええっ!? 氷は作り出せるのに、寒さには弱いまま?」


 てっきり魔王であるロッテさんと、何らかの儀式をして氷というか寒さに耐えられる人間になったと思っていたのに、氷だけ作り出せる能力って――限定的すぎる。


「そりゃそうだろ! あんた、そんな簡単に何でも出来るようになったら、あたしらの立場ってもんがないよ。喫茶店をやろうとしているあんたには便利な能力だろ? つべこべ言うんじゃないよ!」


 これに関しては何も言えない。彼女の言うとおり、ここへは氷を求めて来ただけだ。


「えーと、帰りはどうやって帰れば?」

「――その前に、"テスト"してやるよ! クマ! あんたはこの場で氷を作ってみな!」

「え、氷を? ど、どうやって!?」

「何だい、人間はそんなことも知らないのかい? こう、握りこぶしを作って、"殴る"ポーズを……」


 所謂魔法の出し方といったところだろうか。しかし予想では、自分の手の平から光を出して氷を作り出す、もしくは冷気を放つものとばかり思っていた。


 それなのに、まるで格闘ゲームの空振りのように何も無い所を殴るなんて。

 本当にそれだけで氷が生み出せるのだろうか。


「わ、分かりました。殴るポーズですね。よ、よし、こうかな?」

「バ、バカッ!!」

「へっ?」


 何も考えずに、シャドーボクシングのように拳を突き出した。

 するとそこには――ドズゥンといったとてつもない鈍い音と同時に、目の前に巨大な氷の塊を登場させていた。


「はぁぁ……全く、何でこの部屋で……あんた、後先考えずに行動するタイプかい?」

「い、いやぁ、どうなんですかね」

「これじゃあ、シエルも手を焼きそうだよ、全く」


 どうやら氷を溶かすことは出来ないようで、ロッテさんの部屋が氷の塊で埋め尽くされてしまった。

 魔王にも出来ることと出来ないことがあるようだ。


「す、すみません! ど、どうすれば……」

「いいさ、部下にでも命じて食わせるさ。――で、シエルの城に帰るんだろ? とっとと行くよ、クマ」

「お、お願いします」

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